井岡一翔がフランコに判定勝ちでWBA王座奪取
プロボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチで前WBO王者・井岡一翔(34=志成)がジョシュア・フランコ(27=アメリカ)に判定勝ちし、新王者となった。
試合2日前に、前年大晦日のフランコ戦で行われた尿検査の井岡の検体から微量の大麻成分が検出されたと日本ボクシングコミッション(JBC)が発表。さらに前日計量ではフランコが3.1キロオーバーし、再計量でも2.9キロ超過のため王座剥奪となる、いわくつきの一戦となった。
事実上、2階級上のスーパーバンタム級選手と戦うことになった井岡は、ドローに終わった前回と同じ轍は踏まないとばかり積極的に攻める。ダウンシーンこそなかったものの116-112が2人と115-113の3-0判定でWBAのベルトを奪った。
試合後、フランコは引退を表明。井岡はかねてから対戦を熱望してきたWBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(33=メキシコ)との統一戦を改めて望む気持ちを明かした。
WBO王者は「ネクストモンスター」中谷潤人
井岡の戴冠でスーパーフライ級戦線は面白くなってきた。WBAの井岡、WBCのエストラーダに加え、WBOは中谷潤人が5月20日にベルトを奪ったばかり。さらに3階級王者の田中恒成(28=畑中)も各団体で上位にランクされている。
そもそも中谷がWBOフライ級王座を返上し、スーパーフライ級1位にランクされていた当時、井岡は指名試合で中谷との対戦をWBOから指令されていた。しかし、フランコと引き分けたことで再戦を望んだ井岡はWBO王座を返上。中谷は空位の王座決定戦でアンドリュー・モロニー(32=オーストラリア)に12回KO勝ちしてベルトを巻いた経緯がある。
日本ボクシング界初の4階級制覇を果たした井岡と、「ネクストモンスター」と高評価される中谷の対戦を望むファンは多く、一部では「井岡が中谷から逃げた」という批判の声も上がった。王者同士なら今後、統一戦で対戦する可能性もあるだろう。
田中恒成はIBF王座に照準
また、ミニマム級からフライ級まで3階級制覇している田中は、2020年の大晦日に井岡に8回TKO負けしてから再起後4連勝(2KO)。現在、WBA4位、WBC3位、IBF3位、WBO1位にランクされており、スーパーフライ級王座再挑戦の機会をうかがっている状況だ。
自身のインスタグラムでは、IBF王者フェルナンド・マルティネス(31=アルゼンチン)の試合をアメリカで観戦し、「去年からずっとイメージしてる。この選手を倒して四階級制覇したい」と投稿。もし、田中がIBF王者になれば、スーパーフライ級は4団体のうち3団体が日本選手、あるいは井岡がエストラーダに勝って4団体のベルト独占となる可能性も出てきた。
どの組み合わせが実現しても魅力的なカードになることは確実。今後のスーパーフライ級戦線から目が離せなくなってきた。
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