10月12日に有明アリーナで10回戦
プロボクシングの元3階級王者ジョンリエル・カシメロ(34=フィリピン)が日本のリングに初登場することになった。
10月12日、東京・有明アリーナで元IBFスーパーバンタム級王者・小国以載(35=角海老宝石)と10回戦。WBOバンタム級王者時代に対立王者だった井上尚弥(30=大橋)を盛んに挑発し、一度は対戦が決まりながら流れたカシメロが、日本のリングで井上との対戦をアピールできるか注目される。
IBFライトフライ級、IBFフライ級、WBOバンタム級の3階級を制したカシメロは現在スーパーバンタム級で戦っており、WBC6位、WBO3位にランク。WBC・WBO王者・井上尚弥への挑戦を希望しているが、井上はWBA・IBF王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との4団体統一戦の交渉を進めている状況だ。
そこで日本のリングに上がり、日本人の元世界王者に勝って対戦をアピールしようという狙い。元WBOスーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏(32)が設立したトレジャーボクシングプロモーションと契約を結んでおり、同社4度目にして日本では初めての興行でもある。
5月13日にフィリピンで開催した3度目の興行では、カシメロがWBOグローバル王者フィリップス・ンギーチュンバ(27=ナミビア)に12回判定勝ち。戦績を33勝(22KO)4敗に伸ばし、闘争心とエネルギッシュな攻撃が衰えていないことを証明している。
10センチの身長差を活かしたい小国以載
ホームにも関わらず、引き立て役感の否めない小国以載は、2016年大晦日にIBFスーパーバンタム級王者ジョナサン・グスマン(ドミニカ共和国)に判定勝ちして王座獲得。翌2017年9月の初防衛戦で岩佐亮佑に6回TKO負けしてベルトを失った。
その後、リングから遠ざかった時期もあったが、2022年5月に3年ぶりの復帰戦で東洋太平洋バンタム級王者・栗原慶太(30=一力)と4回負傷引き分け。今回が1年5カ月ぶりのリングとなる。
戦績は21勝(8KO)2敗2分。パワーはないものの、身長はライトフライ級から上げてきたカシメロより10センチ高く、体格のアドバンテージとテクニックでカシメロの強打をかわせば面白い試合になるだろう。
発表会見では、データ分析専門の会社の協力でカシメロの動きを分析してデータ化し、丸裸にするプランを明かしている。元世界王者同士だが、負けても失うものがないのは小国の方だ。勝てば35歳にして世界ランク復帰も期待できるだけに気合も入るだろう。
カシメロが井上尚弥戦を実現するには結果だけでなく内容も重要だ。持ち前の爆発力でノックアウトできるか、それとも小国が体格差を活かしてポイントアウトするか。手に汗握る白熱の攻防が期待される。
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