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井上尚弥、フルトン陣営の陽動作戦?にも動じず「ナイーブになりすぎ」

2023 7/23 06:00SPAIA編集部
井上尚弥,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

フルトン陣営が井上尚弥のバンテージの巻き方にクレーム

25日に東京・有明アリーナで行われるプロボクシングのWBC・WBOスーパーバンタム級タイトルマッチに出場する王者スティーブン・フルトン(29=アメリカ)と同級1位・井上尚弥(30=大橋)が22日、記者会見に出席した。

フルトンが「イノウエは素晴らしいファイターだが、防衛するために来たので彼の思い通りにはさせない」と話すと、井上も「スーパーバンタム級に上げて初戦でフルトンと戦えることが大きなモチベーション。自分自身に期待しながら試合に臨みたい」と落ち着いた口調で静かに火花を散らした。

井上が挑戦者としてリングに上がるのは、2018年5月にWBAバンタム級王者ジェイミー・マクドネルに1回TKO勝ちした試合以来5年ぶり。「一番の今回のポイント。挑戦者であるということは高いモチベーションもあるし、5年ぶりということで今まで以上のいい試合ができると思う」とチャレンジャーとして胸の高鳴りを抑えきれない様子だった。

会見ではフルトン陣営のラヒムトレーナーが、井上のバンテージの巻き方に関する英文記事をスマホで示しながら注文をつけるシーンがあった。「パンパンのグラブで試合をするのは公平ではない。フルトンに公平さを与えるためにここで発言をした」と経調したが、それだけ井上のパンチ力を警戒している証拠だろう。

陽動作戦とも取れる発言に対して、井上は「凄いナイーブだなと思います。自分は24戦、全試合で正々堂々と試合をしている。何の記事を見たのかわからないけど、少しナイーブになりすぎ」と意に介していない様子だった。

150Rスパーで万全の仕上がり

元々は5月7日に横浜アリーナで開催される予定だった一戦。井上の拳のケガにより2カ月延期されたが、いよいよ運命のゴングが迫ってきた。

井上陣営は元IBFスーパーバンタム級王者・岩佐亮佑を破ったジャフェスリー・ラミド(アメリカ)やWBCフェザー級28位ブライアン・アコスタ(メキシコ)、WBCスーパーバンタム級ユース王者セサール・バカ・エスピノーザ(メキシコ)をスパーリングパートナーとして招聘し、「打倒フルトン」への準備を進めてきた。

父・真吾トレーナーは150ラウンドのスパーリングを消化したことを明かし、「良い感じで仕上がってきた」と自信を見せている。井上自身も「体重はほぼほぼ仕上がっている」と話しており、減量苦もなくベストコンディションでリングに上がれそうだ。

会見後のフォトセッションで並んだ両者を比較すると、やはりフルトンの方が一回り大きい。体格で勝る試合巧者の王者を、パワーとスピードで勝る挑戦者がどう攻略するか。「Lemino」で独占無料配信される大一番は簡単には終わらないだろう。見応えのあるハイレベルの技術戦が期待される。

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