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ついにアジア初のボクシング世界ヘビー級王者誕生!張志磊とは何者だ?

2023 4/19 06:00SPAIA編集部
WBOヘビー級暫定王座を奪取した張志磊,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

中国の張志磊がWBO暫定ヘビー級王座獲得

プロボクシングのWBO暫定世界ヘビー級タイトルマッチが4月15日、イギリス・ロンドンで行われ、同級13位・張志磊(チャン・ジレイ・39=中国)が暫定王者ジョー・ジョイス(37=イギリス)に6回TKO勝ちで新王者となった。

暫定ではあるものの、張はアジア人として初の世界ヘビー級王座獲得。2008年の北京五輪スーパーヘビー級銀メダリストがプロでも世界のベルトを巻いた。

試合は序盤から198センチのサウスポー、張がパワフルなパンチを見舞う。戦前の予想では15戦全勝(14KO)のジョイスが圧倒的有利だったが、暫定王者は顔面にパンチを浴び続けて次第に右目が腫れ上がっていく。

6回、右目が完全に塞がったジョイスにドクターチェックが入り、試合続行不可能と判断。レフェリーが両手を交差してTKOを宣すると、中国人のヘビー級新王者は喜びを爆発させた。

張はこれで25勝(20KO)1敗1分。WBOの正規王者オレクサンドル・ウシク(36=ウクライナ)はWBAとIBFの王座も保持する3団体統一王者で、世界で最も権威があるとされるアメリカのボクシング誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンドで1位にランクされる世界最強ボクサーだ(同2位は井上尚弥)。

張との王座統一戦がいつ実現するかは流動的だが、張にはこれからさらなるビッグマッチが待っているだろう。

張志磊とオレクサンドル・ウシクの統一戦は実現するか

中国では近年、プロのリングに上がるボクサーも増えており、過去にWBCミニマム級・熊朝忠、WBOフライ級・鄒市明、WBAフェザー級・徐燦と3人の世界王者が誕生している。日本の木村翔は2017年に上海で鄒市明に11回TKO勝ちしてフライ級王座を獲得し、その後も中国のリングに上がっている。

張は北京五輪で銀メダルを獲得後、2010年の広州アジア大会スーパーヘビー級で金メダルを獲得し、2012年のロンドン五輪ではスーパーヘビー級2回戦で敗退。敗れた相手は後にプロでも世界ヘビー級王者となるアンソニー・ジョシュア(イギリス)だった。

その後プロ転向し、2014年にアメリカでプロデビュー。無敗のまま白星を重ね、2022年8月にフィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)に判定負けでプロ初黒星を喫したが、今回つかんだ暫定王座挑戦のチャンスを見事ものにした。

パンチのスピードはなく、3団体のベルトを持つオレクサンドル・ウシクやWBC王者タイソン・フューリー(イギリス)に勝つのは難しいが、198センチの巨体から放つパンチはパワー十分だけに、一発当たれば番狂わせがあっても驚けない。

中国は今や世界第2の経済大国となっており、チャイナマネーを狙うスポーツビジネス界が中国初のヘビー級王者を放っておかないだろう。

日本ヘビー級王者・但馬ミツロは5連続1回KO

日本でもヘビー級ボクサーを育成しようという動きは以前からある。現在も但馬ミツロ(28=KWORLD3)が日本ヘビー級王者としてリングに上がっているが、選手層が薄いため日本ランカーは皆無。4月16日にはナビーン・バーマ(インド)を倒してプロデビュー以来5連続1回KO勝利を飾ったが、相手の実力不足もあり、但馬への期待は膨らまないのが現状だ。

所属ジムの亀田大毅会長は試合を動画配信したABEMAの解説で「温かい目で見守ってほしい」と訴え、貴重なヘビー級ボクサーとして大事に育てていきたい考えを明かした。

ただ、アマチュア時代に全日本選手権で優勝したのはライトヘビー級で、身長は180センチとヘビー級にしては小さい。世界との距離はまだまだ遠く、これからの伸びしろに期待するしかないだろう。

日本から誕生した世界王者はミドル級(72.57キロ)が最重量級。90.72キロ超のヘビー級は雲の上の存在だが、いつか日本からも世界ヘビー級王者が誕生することを期待したい。

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