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中谷潤人がモロニーと王座決定戦、井上尚弥が倒した相手の双子の弟と同会場で2階級制覇に挑む

2023 3/29 06:00SPAIA編集部
中谷潤人,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

5月20日、ラスベガスのMGMグランドで

プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級1位・中谷潤人(25=M.T)が5月20日に米ラスベガスのMGMグランドで同級2位アンドリュー・モロニー(32=オーストラリア)と同級王座決定戦に臨む。元WBOフライ級王者の中谷は勝てば2階級制覇となる。

中谷は身長172センチで、スーパーフライ級では破格の長身サウスポー。三重県出身で中学卒業後に単身アメリカ留学して名トレーナーのルディ・エルナンデスらの指導を受けた。

帰国後、17歳だった2015年4月にM.Tジムからプロデビュー。2020年11月にジーメル・マグラモ(フィリピン)に8回KO勝ちしてWBOフライ級王座を獲得し、2度防衛後に返上して1階級上のスーパーフライ級に上げた。

ここまで24戦全勝(18KO)と無敗街道を突っ走る。長身のサウスポーという優位性とスピードあふれるボクシングへの評価は高く、バンタム級で4団体統一した井上尚弥に続く「ネクストモンスター」の異名も持つ。

WBOスーパーフライ級のトップコンテンダーとなってから同級王者だった井岡一翔(34=志成)への挑戦が期待されていたが、他団体王者との対戦を望む井岡が王座返上。モロニーと空位の王座を争うことが決まった。

井上尚弥は双子の兄に7回KO勝ち

モロニーの名前に聞き覚えのある方も少なくないだろう。井上尚弥が2020年10月のバンタム級王座防衛戦で7回KO勝ちしたジェイソン・モロニーの双子の弟だ。

会場も同じMGMグランドで何やら因縁めいているが、MGMグランド内のザ・バブルで無観客試合だった井上に比べ、中谷はより大規模のMGMグランドガーデンアリーナで有観客試合で行われる。

もっとも、4団体統一世界ライト級王者デビン・ヘイニー(アメリカ)と元3団体統一同級王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)というビッグマッチのアンダーカードではあるものの、中谷の実力をボクシングの本場でアピールする大チャンスだ。

勝てば他団体王者との統一戦に期待

アンドリュー・モロニーは身長165センチの右ボクサーファイター。元WBAスーパーフライ級王者で、井岡が引き分けたジョシュア・フランコ(アメリカ)と3度対戦(2敗1無効試合)している。戦績は25勝(16KO)2敗1無効試合とフランコ以外には負けていない。

兄と同様、正統派のスタイルで、ガードが高くスピードもある。ボディ打ちもうまい。ただ、正統派ゆえ、中谷にとってやりにくさはないだろう。勝機は十分にある。

中谷がWBO王座を獲得すれば、他団体王者との統一戦の実現が期待される。WBA王者は先述のフランコ、WBC王者はフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、IBF王者はフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)。いずれも強敵には違いないが、中谷が「ネクストモンスター」であることを証明するにはこの上ない相手だろう。

さらに、もし井岡が他団体のベルトを獲得した場合、今度こそ統一戦で対戦が実現するかも知れない。「中谷から逃げた」という批判を払拭したい井岡にとっても、井岡戦を希望していた中谷にとっても戦わない理由はないはずだ。

将来的にはフェザー級まで5階級制覇も視野に入れているという中谷。「ネクストモンスター」が本物の「モンスター」と呼ばれる日もそう遠くないかも知れない。

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