日本バンタム級4位・与那覇は強気コメント連発
キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心(24=帝拳)のデビュー戦が4月8日に東京・有明アリーナで行われることが13日、発表された。
日本バンタム級4位・与那覇勇気(32=真正)とスーパーバンタム級6回戦。この日行われた会見で両者が顔を合わせ、クールな受け答えに終始する天心に対し、与那覇は強気なコメントを連発した。
2月9日に後楽園ホールで行われたプロテストには100人近い報道陣が詰めかけるなど、デビュー前から注目度は世界王者クラス。いや、それ以上と言ってもいいだろう。
同日はWBA・WBCライトフライ級王者・寺地拳四朗(31=BMB)対WBO同級王者ジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)の3団体統一戦や、WBAバンタム級2位・井上拓真(27=大橋)対同級3位リボリオ・ソリス(40=ベネズエラ)のWBAバンタム級王座決定戦も行われるが、この日の会見では天心が真ん中に座るメイン扱い。司会者が「試合順は最終調整中」と釘を刺したものの、デビュー前のボクサーが世界戦を隅に追いやる異例の会見だった。
対戦相手の与那覇は「めちゃくちゃ興奮しました。これが武者震いかと思うくらい」と試合が決まった時の胸の内を回想。「普段からビッグマウスというか、俺の時代が来るとか、俺は世間知らずだけど世間が俺を知ることになると言い続けてきた。何者でもなかった俺が超大物を食う」と引き立て役では終わらない強い意志を示した。
沖縄向学高時代に選抜優勝の実績
与那覇は確かに言うことは大きいが、単なるビッグマウスではない。沖縄向学高時代に高校選抜バンタム級で優勝した実績を持ち、東洋大ボクシング部で活躍後にプロ転向。アマチュア戦績は50勝(27KO)13敗を誇る。
元3階級王者・長谷川穂積を輩出した真正ジムから2013年5月にプロデビューし、4戦目で後の日本スーパーフライ級王者・奥本貴之(31=グリーンツダ)に8回判定負けするなどつまずきもあったが、12勝(8KO)4敗1分の戦績を残している。
直近では2022年10月に南出仁(27=セレス)に8回判定負け。南出は天心のプロテストでスパーリングパートナーを務めた日本バンタム級1位だ。南出が攻め込まれたプロテストから推察すると天心の有利は動かないが、何が起こるか分からないのがボクシング。アマチュアで63戦、プロで17戦している与那覇は決して「かませ犬」ではない。
会見では「那須川選手は凄いスピードですし、とんでもない動きをする」と天心に敬意を表した上で、「自分のパンチは空振りでも会場がどよめくくらい危険な拳なので、挑戦してきてくれることに敬意を込めて全力で殴り倒しにいく」とKO宣言した。
身長は169センチと天心より4センチ高い右構えのファイター。6回戦ということを考えると前半から倒しにいくことが予想される。
天心は「非常にアグレッシブだし、お客さんを沸かせる気持ちのある選手だと思う」と努めて冷静に与那覇を分析した。日本の格闘技界が注目する4月8日。一瞬たりとも目の離せない試合となりそうだ。
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