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主なきバンタム級で井上拓真は主役になれるか?モンスターの弟が再び世界へ

2023 2/3 06:00SPAIA編集部
井上拓真,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

井上拓真の相手候補リボリオ・ソリスは40歳

前世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(29=大橋)がスーパーバンタム級に転向し、返上された4本のベルトを争う戦いがもうすぐ始まる。無敵の最強王者が去った後、バンタム級は再び群雄割拠の時代に突入しそうだ。

井上尚弥の弟・拓真(27=大橋)はWBAバンタム級2位。1位が空位のため最上位ランカーとなっており、王座決定戦に出場する可能性は高い。

相手候補は同級3位のリボリオ・ソリス(40=ベネズエラ)。元WBAスーパーフライ級王者で、河野公平も破った実力者だ。

2013年12月にはIBF同級王者・亀田大毅との王座統一戦で計量オーバーし、WBA王座を剥奪された。亀田が敗れたにもかかわらずIBF王座を保持するとして大混乱を招いた試合の相手だった。

その後、バンタム級に上げたソリスは山中慎介、ジェイミー・マクドネル、ギジェルモ・リゴンドウら当時の王者に挑みながら、いずれも敗れて2階級制覇に失敗している。戦績は30勝(16KO)6敗1分け1無効試合。実績はあるものの年齢的にもピークは過ぎていると見られ、井上拓真との決定戦が決まれば最後の世界戦となるかも知れない。

実はWBAの最新ランキングが発表されるまで、バンタム級3位はメルビン・ロペス(ニカラグア)だった。アマチュアで100戦以上のキャリアを誇り、プロ転向後も北米バンタム級王座を獲得するなど29勝(19KO)1敗。サウスポースタイルから放たれるパンチはスピード抜群で、3階級制覇のアレクシス・アルゲリョや4階級制覇のローマン・ゴンサレスらを輩出したニカラグアの強豪だったが、最新ランキングでは4位に後退した。

拓真にとって強敵であることには違いないが、もし王座決定戦の相手が3位に浮上したソリスに決まればロペスよりやりやすいことは確かだろう。

井上尚弥に敗れたボクサーが続々と王座決定戦へ

WBCは、ともに井上尚弥に敗れた1位ジェイソン・モロニー(オーストラリア)と2位ノニト・ドネア(フィリピン)による王座決定戦が浮上しながら消滅したと報じられている。

IBFは1位ビンセント・アストゥロラビオ(フィリピン)が、こちらも井上尚弥に敗れた2位エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と決定戦の方向という。

WBOは1位がジェイソン・モロニー、2位がアストゥロラビオ、3位がエマヌエル・ロドリゲスと上位ランカーが他団体と重なっており、4位レイマート・ガバリョ(フィリピン)にチャンスが巡ってくる可能性もありそうだ。

いずれにしても交渉の行方次第で組み合わせは分からないが、上位ランカーの誰かがベルトを巻くことになる。ちなみに井上尚弥に敗れた前WBO王者ポール・バトラー(イギリス)は引退を示唆している。

拓真にとっては大チャンス

井上拓真は尚弥がプロデビューした1年後の2013年、神奈川・綾瀬西高時代にプロデビューし、5戦目で東洋太平洋スーパーフライ級王座を奪取。2018年12月にペッチ・CPフレッシュマート(タイ)を判定で下してWBCバンタム級暫定王座を獲得した。

しかし、翌2019年11月に正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に判定負けして王座陥落。その後は東洋太平洋バンタム級王座や1階級上のWBOアジアパシフィックスーパーバンタム級王座を奪うなど4連勝している。

戦績は17勝(4KO)1敗。ノックアウトが少なく、兄と比べると地味な印象は拭えないが、ディフェンス技術は一級品だ。尚弥が4団体統一した2022年12月13日の同じリングで、ジェイク・ボルネア(フィリピン)を一方的に攻めて8回TKO勝ちしている。

兄弟のためどうしても兄と比べられるが、一人のボクサーとして見れば正統派のテクニシャン。とはいえ、世界戦のチャンスはそう何度もあるわけではない。兄が去った後の今回は千載一遇のチャンスだ。WBA王座決定戦への出場が決まれば、是が非でもベルトを巻きたい。

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