2月18日にアザト・ホバニシャンと対戦
プロボクシングのWBCスーパーバンタム級1位ルイス・ネリ(28=メキシコ)が同級2位アザト・ホバニシャン(34=アルメニア)と2月18日に米カリフォルニア州ポモナで挑戦者決定戦に臨むことが発表された。
勝者はWBC・WBO同級王者スティーブン・フルトン(28=アメリカ)への挑戦権を獲得するが、フルトンは前世界バンタム級統一王者で、現WBOスーパーバンタム級1位の井上尚弥(29=大橋)と5月にも日本で対戦すると米メディアが報じており、井上がフルトンに勝てば、ネリかホバニシャンの挑戦を受ける可能性が出てきた。
「悪童」と呼ばれるネリは日本でも有名だ。2017年8月、当時のWBC世界バンタム級王者・山中慎介が勝てば具志堅用高の日本記録に並ぶ13度目の防衛戦で対戦し、まさかの4回TKO負けした時の相手。しかも、その後にドーピング陽性反応が出たためWBCから再戦を指令されると、翌2018年3月のリターンマッチではリミットオーバーの大失態を演じた。
物腰柔らかい山中が思わず「ふざけるな」と声を荒げ、ネリは王座剥奪。山中が勝てば王座獲得となる条件で行われた両国国技館での一戦は、ネリが2回TKO勝ちで返り討ちにし、山中を引退に追いやった。
ネリはその後、1階級上げ、2020年9月にアーロン・アラメダに判定勝ちでWBC世界スーパーバンタム級王座を獲得し、2階級制覇。2021年5月にブランドン・フィゲロアとの統一戦で7回KO負けして無冠となっている。
戦績は32勝(25KO)1敗。チャンスと見れば一気呵成にたたみ掛ける爆発力を持つ、サウスポーのハードパンチャーだ。
江戸の敵をラスベガスで討つ?
一方、ホバニシャンは右構えの好戦的なボクサーファイター。ガッチリした体格で荒々しい左右フックを振り回す。
2018年5月にレイ・バルガスの持つWBCスーパーバンタム級王座に挑戦して判定で敗れたが、その後は7連勝中。21勝(17KO)3敗と、ネリに劣らずKO勝ちが多い。
両者の戦いはKO必至だろう。わずかにネリが有利と見られるが、いずれにしてもスリリングな展開となることは間違いない。
問題はその後だ。ボクシングの統括団体は王者が最強挑戦者から逃げるのを防止するため、指名期限を設けている。WBCは指名期限を1年としており、1位のネリがホバニシャンとの挑戦者決定戦に勝てば、優先的に世界挑戦の機会を与えられる可能性が高い。
仮に現王者フルトンが井上と5月に対戦すれば、その勝者がネリの挑戦を受けるのが自然な流れ。井上がフルトンに勝ってスーパーバンタム級王者となれば、初防衛戦でネリを迎え撃つ可能性があるのだ。日本のボクシングファンにヒールとして認識されているネリと井上の対戦が決まれば、ストーリー性は十分だけに大いに盛り上がるだろう。
ただ、ネリは山中戦の一連の騒動により、日本では無期限の活動停止処分を受けているため、日本のリングには上がれない。もし、井上vsネリが実現するなら海外しかなく、山中の無念を晴らすべく「江戸の敵をラスベガスで討つ」となるかも知れない。
いずれにしても、まずは2月18日の挑戦者決定戦に目を凝らしたい。スーパーバンタム級戦線がますます熱くなってきた。
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