フルトンが王座返上なら井上の対戦相手にライース・アリーム浮上?
プロボクシングの世界バンタム級統一王者・井上尚弥(29=大橋)が4本のベルトを返上し、1階級上のスーパーバンタム級に転向することを表明した。
かねてから口にしていたが、正式に発表したことにより、次は2階級で4団体統一という前人未踏の偉業に挑むことになる。
現在、スーパーバンタム級にはWBAとIBFのムロジョン・アフマダリエフ(28=ウズベキスタン)、WBCとWBOのスティーブン・フルトン(28=アメリカ)と2人の統一王者が君臨。井上はWBOバンタム級スーパー王者に認定されており、階級変更した際は規定で指名挑戦権を得られることになっている。
つまり、WBOのタイトルを持つフルトンと転級初戦でいきなり対戦することも可能なのだが、フルトンがフェザー級に転向して2月25日にブランドン・フィゲロアと対戦する話があるため事態は流動的。仮にフルトンがWBO王座を返上すれば、現WBO1位のライース・アリーム(32=アメリカ)との王座決定戦となる可能性もあるものの、交渉の行方はまだまだ分からないだろう。
カシメロがWBCスーパーバンタム級8位にランクイン
時を同じくして、気になる動きがあった。WBCの最新ランキングでジョンリエル・カシメロ(33=フィリピン)が8位に入ったのだ。
カシメロは12月3日に韓国で赤穂亮(36=横浜光)と対戦。2回にカシメロの後頭部への攻撃(ラビットパンチ)で赤穂のダメージが回復せず、一度は無効試合となったが、試合後に赤穂が「自分の完敗です。正直パンチも効いてましたし後頭部が効いているのか顎のパンチが効いているのかわからない状況でした」と明かしたこともあって、再検証の結果、カシメロの2回KO勝ちに訂正された。
世界挑戦経験もある赤穂をたった2回でノックアウトしたことで、カシメロはスーパーバンタム級でランク入りしたわけだ。ライトフライ級、フライ級、バンタム級と3階級制覇した元王者カシメロも、井上と同じく4階級制覇を狙うことになる。
カシメロと言えば、WBOバンタム級王者時代に井上を盛んに挑発していたことで知られる。井上も4団体統一には避けて通れない相手だったが、カシメロが度重なる試合キャンセルなどで王座を剥奪されたため、井上は対戦することなく4本のベルトをまとめられた経緯がある。
一度は井上との距離を引き離されたカシメロも、今後は同じスーパーバンタム級の世界ランカーとなり、再び挑発するかも知れない。井上は現時点でカシメロとの対戦は考えていないだろうが、もし、カシメロが今後ランキングを上げてきた場合、あるいは井上とは別の団体でスーパーバンタム級王者となった場合などに対戦する可能性もあるだろう。
井上の参戦で俄然、熱を帯びてきたスーパーバンタム級戦線。カシメロも決して無視できない実力者であることは間違いない。
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