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井上尚弥が転向するスーパーバンタム級の歴代王者たち、日本では11人が戴冠

2022 12/22 06:00SPAIA編集部
岩佐亮佑,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

井上尚弥がバンタム級王座を返上して転向を明言

プロボクシングの世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(29=大橋)がバンタム級のベルトを返上してスーパーバンタム級に転向する意向を示した。

バンタム級リミットは118ポンド(53.52キロ)でスーパーバンタム級リミットは122ポンド(55.34キロ)のため、2キロ近く減量が楽になる。ただ、ボクシングで1階級上げれば、相手の平均的な骨格やパンチ力もアップするためリスクを伴う。井上はバンタム級でも大きい方ではなく、階級アップは体格面だけで言えばハンデになる可能性がある。

これまでスーパーバンタム級の世界王者となった日本のボクサーは11人。歴史に残る個性派の王者が多い。

「KO仕掛人」ロイヤル小林、「尾張のロッキー」畑中清詞

初めて世界スーパーバンタム級王者となったのは「KO仕掛人」と呼ばれたロイヤル小林。1972年ミュンヘン五輪でベスト8に進出し、国際ジムからプロ転向すると破格の強打でノックアウトの山を築いた。

1976年10月にリゴベルト・リアスコに8回KO勝ちでタイトル獲得。初防衛戦で敗れて在位47日の短命王者に終わったが、それ以上に3階級制覇のアレクシス・アルゲリョ、17連続KO防衛のウイルフレド・ゴメス、19度防衛を果たしたエウセビオ・ペドロサと歴史に残る名王者に挑んで敗れたことが小林の名を上げたとも言える。通算戦績は35勝(27KO)8敗だった。

2人目が東海地区から初めての世界王者となった畑中清詞。無傷の15連勝で挑んだ世界初挑戦はスーパーフライ級だったが、ヒルベルト・ローマンの技巧に屈して初黒星を喫すると、今度は2階級上げて世界再挑戦した。

1991年2月、ペドロ・デシマを6度倒して8回TKO勝ちでWBCスーパーバンタム級王座を奪取。現在は名古屋市内に開設したジムの会長として後進を育成している。

引退後は俳優としても活躍したイケメンボクサー、佐藤修もスーパーバンタム級だった。2002年5月にヨーダムロン・シンワンチャーを倒してWBA王座奪取。初防衛戦で敗れ、フェザー級で2階級制覇を狙ったが、クリス・ジョンに敗れて引退した。

長谷川穂積は3階級制覇、西岡利晃は7度防衛

バンタム級王座を10度防衛した長谷川穂積はフェザー級で2階級制覇した後、最後に奪ったのがスーパーバンタム級王座だった。2016年9月、WBC王者ウーゴ・ルイスとの壮絶な打ち合いを制して9回終了TKO。見事に3階級制覇を達成し、そのまま引退した。

バンタム級でウィラポン・ナコンルアンプロモーションと4度戦い、2敗2分けと惜しくも世界に届かなかった西岡利晃は、2008年9月にナパーポン・キャッティサクチョーチャイを破って、ついに初タイトルとなるWBCスーパーバンタム級王座を奪取。以後、ジョニー・ゴンサレスを3回で倒すなど7度の防衛に成功し、8度目の防衛戦でノニト・ドネアに敗れて引退した。

李冽理は横浜光ジムからプロデビューし、2010年10月にWBAスーパーバンタム級王者プーンサワット・クラティンデーンジムに判定勝ちして王座奪取。初防衛戦で下田昭文に敗れて王座陥落した。

7人目のスーパーバンタム級王者が、その下田昭文。名門・帝拳ジムのホープとして26戦目で世界王座奪取。2011年7月の初防衛戦でリコ・ラモスに敗れてベルトを失った。その後2016年まで現役を続けたが、王座返り咲きはならなかった。

王座返り咲き狙う亀田和毅

現役の亀田和毅は現在もスーパーバンタム級の世界ランカーだ。亀田三兄弟の三男としてメキシコでプロデビューし、2013年8月にWBOバンタム級王座を奪取。3度防衛後、後に井上尚弥が1回で倒すジェイミー・マクドネルに判定負けして王座陥落した。

2018年11月にはWBC世界スーパーバンタム級暫定王者となり2階級制覇。2019年7月に正規王者レイ・バルガスに敗れ、現在は兵庫県西宮市にあるTRY BOX平成西山ジムから王座返り咲きを目指している。

小國以載は2016年大晦日にIBFスーパーバンタム級王者ジョナサン・グスマンに判定勝ち。翌2017年9月の初防衛戦で岩佐亮佑に6回TKO負けして王座陥落した。

小國が岩佐に敗れる5カ月前、WBAスーパーバンタム級王座に就いたのが久保隼だ。2017年4月、ネオマール・セルメニョに11回TKO勝ち。初防衛戦でダニエル・ローマンに敗れた。

スーパーバンタム級11人目の世界王者が前述の岩佐亮佑。習志野高時代に高校3冠を達成してプロ転向し、2015年6月、イギリスでリー・ハスキンスとIBFバンタム級暫定王座決定戦を戦ったが、6回TKO負けを喫した。

1階級上げて迎えた2017年9月、IBFスーパーバンタム級王者だった小國以載に6回TKO勝ちで初戴冠。2度目の防衛戦で敗れたが、2019年12月にはマーロン・タパレスを倒してベルトを奪回した。2021年4月にはWBAスーパー・IBF正規王者ムロジョン・アフマダリエフに5回TKO負けし、王座陥落した。

スーパーバンタム級は印象に残る王者が多いが、西岡の7度が目立つ程度で防衛回数は少ない。それだけ世界に強豪がひしめく階級とも言えるだろう。

過去にはマニー・パッキャオやノニト・ドネア、エリック・モラレス、マルコ・アントニオ・バレラら歴史に残る名王者が名を連ねるスーパーバンタム級。井上尚弥がどんな戦いを見せてくれるのか楽しみでならない。

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