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井上尚弥の元対立王者カシメロは無効試合も赤穂亮「完敗です」

2022 12/4 17:00SPAIA編集部
ジョンリル・カシメロ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2回にダウンもラビットパンチであっけない幕切れ

プロボクシングの元WBO世界バンタム級王者ジョンリエル・カシメロ(32=フィリピン)が12月3日、韓国の仁川パラダイスシティホテルで赤穂亮(36=横浜光)と対戦した注目のスーパーバンタム級10回戦は、カシメロの後頭部への打撃(ラビットパンチ)で無効試合となった。

試合が動いたのは2回。カシメロが大振りの左右フックを当ててさらに前進したところにタイミングよく赤穂が左フックを振り、カシメロがダウン。クリーンヒットはしていないが勢い余ってバランスを崩したカシメロは、すぐに立ち上がって猛反撃を開始した。

力強い左右フックを振り回し、何発か顔面に浴びた赤穂は足元がおぼつかない。2回も2分以上が経過したあたりでレフェリーが割って入ると、赤穂が右手で後頭部を抑えながらラビットパンチをアピール。赤穂はニュートラルコーナーで椅子に座ってダメージの回復を待ったが、ドクターも入って試合続行不可能と判断され、無効試合となった。

故意や悪質な反則ならカシメロの失格負けとなってもおかしくないが、流れの中で頭を下げた赤穂の後頭部をかすめるようなパンチが何発か当たっており、本人が主張する通り故意ではないだろう。結果的には自身の持ち味でもある荒々しいファイトスタイルが、消化不良の結果を招いたと言える。

井上尚弥との距離が広がったカシメロ

赤穂は2度の世界挑戦経験を持つ実力者だが、約5分半の内容だけを見ると押されるシーンが目立った。自身のツイッターでは「自分の完敗です。カシメロ強かったです。でも皆さんの応援がほんと力になりました。正直パンチも効いてましたし後頭部が効いているのか顎のパンチが効いているのかわからない状況でした」と正直に明かしている。

パワフルな左右フックをヒットさせて力強さを印象付けたカシメロだが、故意ではないとはいえ、またしても後味の悪さを残してしまった。

2021年12月にウイルス性胃腸炎のため試合をキャンセルし、2022年4月にはイギリスで禁止されているサウナを減量目的で使用したとしてWBO王座を剥奪された。

それまでは4団体統一を目指す井上尚弥(29=大橋)の対立王者として盛んに井上を挑発していたが、ベルトを失ったことで存在感は急激に低下。今回は2021年8月以来のリングで世界戦線への再浮上を狙ったものの、無効試合では厳しいだろう。

試合前は「赤穂に勝ったら次は井上尚弥とやりたい。いつも逃げられているから」と挑発していたカシメロも、さすがに試合後は井上について言及していない。今後は赤穂との再戦が組まれるのか、別の相手を探すのか分からないが、いずれにしても世界戦線への再浮上には時間がかかる。ましてや井上との距離は広がるばかりとなった。

「雑音」の心配消えた井上尚弥

なお、引退してプロモーターに転身した元WBO世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪の初興行となった今回のリングでは、セミファイナルで元世界2階級王者ジョニー・ゴンサレス(41=メキシコ)が登場。元WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級王者の渡邊卓也(33=DANGAN AOKI)に判定負けした。

カシメロが勝っていれば試合後に何を語るのか注目されていたが、井上にとっては「雑音」を耳にする心配もなくなった格好。次は12月13日、dTVおよび、ひかりTVで独占配信される世界バンタム級4団体統一戦にファンの関心は移る。

対戦相手のポール・バトラー(34=イギリス)は5日に来日予定。世界でわずか9人目、日本初となる偉業が達成される瞬間までもうすぐだ。

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