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ボクシング日本とイギリスの対戦成績、井上尚弥が日英対決を制して4団体統一なるか

2022 11/28 06:00SPAIA編集部
井上尚弥とポール・バトラー,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

井上尚弥がポール・バトラーとバンタム級4団体統一戦

プロボクシングのWBA・WBC・IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(29=大橋)がWBO王者ポール・バトラー(34=イギリス)と戦う4団体統一戦は12月13日に東京・有明アリーナで行われる。

井上がイギリス人と戦うのはこれが2度目。初対戦は2018年5月にWBAバンタム級王者だったジェイミー・マクドネルに挑戦し、1回TKOで3階級制覇を達成した試合だった。

あれから4年半。2019年5月に当時IBFバンタム級王者だったエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2回で倒した試合は英国グラスゴーでの開催だった。4団体統一まで長い時間を要したが、イギリス人王者からWBAのベルトを奪い、イギリスでIBF王座を奪い、イギリス人王者との対戦でバンタム級を統一すると考えると、不思議な巡り合わせだ。

イギリスと言えばサッカーやクリケットのイメージが強いが、ボクシングでも多数の世界王者を抱える強国。現役ではWBCヘビー級王者タイソン・フューリーや井上が戦うバトラーら9人(暫定王者含む)が世界王者として君臨している。

これまで日本とイギリスの世界戦は以下の通り15回ある。

①1953年10月27日(後楽園球場)世界フライ級
白井義男 15回判定 テリー・アレン
(白井が3度目の防衛)

②1965年11月30日(日本武道館)世界バンタム級
ファイティング原田 15回判定 アラン・ラドキン
(原田が初防衛)

③1968年1月23日(英ロンドン)WBCフェザー級王座決定戦
ハワード・ウィンストン 9回TKO 関光徳
(ウィンストンが王座獲得)

④1975年2月27日(東京都体育館)WBCライト級
ガッツ石松 15回判定 ケン・ブキャナン
(ガッツ石松が3度目の防衛)

⑤1987年7月1日(英ロンドン)IBFスーパーライト級
テリー・マーシュ 6回TKO 亀田昭雄
(マーシュが初防衛)

⑥1995年7月30日(愛知県体育館)WBCバンタム級
ウェイン・マッカラー 12回判定 薬師寺保栄
(マッカラーが王座獲得)

⑦2010年10月24日(両国国技館)WBCスーパーバンタム級
西岡利晃 12回判定 レンドール・ムンロー
(西岡が5度目の防衛)

⑧2014年11月22日(英リバプール)WBAスーパーバンタム級
スコット・クイッグ 12回判定 大竹秀典
(クイッグが5度目の防衛)

⑨2015年5月9日(米ヒダルゴ)WBAバンタム級
ジェイミー・マクドネル 12回判定 亀田和毅
(マクドネルが2度目の防衛)

⑩2015年6月13日(英ブリストル)IBFバンタム級暫定王座決定戦
リー・ハスキンス 6回TKO 岩佐亮佑
(ハスキンスが王座獲得)

⑪2015年9月6日(米コーパスクリスティ)WBAバンタム級
ジェイミー・マクドネル 12回判定 亀田和毅
(マクドネルが3度目の防衛)

⑫2017年5月13日(英バーミンガム)WBAスーパーフライ級
カリド・ヤファイ 12回判定 村中優
(ヤファイが初防衛)

⑬2017年10月28日(英カーディフ)WBAスーパーフライ級
カリド・ヤファイ 12回判定 石田匠
(ヤファイが2度目の防衛)

⑭2018年5月25日(大田区総合体育館)WBAバンタム級
井上尚弥 1回TKO ジェイミー・マクドネル
(井上が王座獲得)

⑮2022年6月4日(英カーディフ)IBFスーパーフェザー級
ジョー・コルディナ 2回KO 尾川堅一
(コルディナが王座獲得)

白井義男、ファイティング原田、ガッツ石松、西岡利晃は勝利

初の日英決戦は1953年だった。日本人初の世界王者となった白井義男が後楽園球場の特設リングでテリー・アレンに判定勝ちし、世界フライ級王座3度目の防衛に成功した。

「黄金のバンタム」と呼ばれたエデル・ジョフレを大番狂わせで破って世界バンタム級王座に就いたファイティング原田は初防衛戦でアラン・ラドキンに判定勝ち。切れ味抜群のパンチで「名刀正宗」の異名を取った関光徳は、1968年に敵地ロンドンでハワード・ウィンストンとWBCフェザー級王座決定戦に臨んだが、9回TKOで敗れた。

「幻の右」でWBC世界ライト級王座を5度防衛したガッツ石松は、3度目の防衛戦でケン・ブキャナンに判定勝ち。1987年に敵地で当時日本非公認だったIBFスーパーライト級王座に挑んだ亀田昭雄は、テリー・マーシュに6回TKOで敗れた。

1995年にはWBCバンタム級暫定王者だった辰吉丈一郎との激闘を制して王座を統一した薬師寺保栄が、5度目の防衛戦でウェイン・マッカラーと対戦。2-1の判定でマッカラーに敗れて引退した。

その後しばらく日英対決はなかったが、15年ぶりに挑んだのが西岡利晃。2010年10月に両国国技館でレンドール・ムンローに判定勝ちし、WBCスーパーバンタム級王座5度目の防衛に成功した。

日本対イギリスは日本の5勝10敗

2014年11月にリバプールでWBAスーパーバンタム級王者スコット・クイッグに挑んだ大竹秀典は判定負け。2015年6月にはIBFバンタム級暫定王座決定戦で岩佐亮佑がリー・ハスキンスに6回TKOで敗れた。

WBOバンタム級王者だった亀田和毅はベルトを返上してWBAバンタム級王者ジェイミー・マクドネルに2015年5月と9月に挑んだが連敗した。

元WBAスーパーフライ級王者カリド・ヤファイには日本選手が相次いで敗れている。2017年5月にバーミンガムで挑んだ村中優、同年10月にカーディフで挑んだ石田匠はいずれも判定負けだった。

2018年5月には先述の通り、井上尚弥がジェイミー・マクドネルを1回で倒してWBAバンタム級王座を奪取。記憶に新しい2022年6月にはIBFスーパーフェザー級王者・尾川堅一が敵地で初防衛戦に臨み、ジョー・コルディナに2回KO負けして王座陥落した。

日英対決は日本が通算5勝10敗と負け越している。日本ボクシング界の至宝・井上尚弥はバトラーに勝って日本に6勝目をもたらし、4団体統一を果たすか。12月13日の大一番はdTVおよび、ひかりTVで独占配信される。

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