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日本男子ボクシングの連続KO記録ランキング、1位は比嘉大吾ら3人並ぶ

2021 9/16 06:00SPAIA編集部
比嘉大吾,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

浜田剛史は1985年に15連続KO

野球で言うホームランと同じように、「ノックアウトはボクシングの華」と言われる。極限まで鍛え上げ、限界まで絞り込んだボクサーが、己の拳だけで相手を倒すダウンシーンは何度もファンを魅了してきた。

しかし、これまたホームランと同じで、パワーだけで倒せるものでは決してない。タイミング、スピード、コンビネーション、当たり所、相手の打たれ強さなど全ての要素がかみ合って初めてノックアウトできるのだ。

それだけ難しいからこそ「連続KO」には価値がある。日本男子ボクサーの連続KOランキングが下の表だ。

ボクシング連続KOランキング


1位には15連続KOで3人が並んでいる。浜田剛史は沖縄水産高時代にインターハイ優勝し、帝拳ジムからプロ転向したサウスポー。当時日本記録だった12連続KOを更新し、1985年にタイ王者のダウトーン・チュワタナを倒して15試合まで記録を伸ばした。

翌1986年には両国国技館でメキシコの強打者レネ・アルレドンドを1回KOで破り、WBC世界スーパーライト級王座を奪取。自身のパンチ力が強すぎるため4度も左拳を骨折した伝説を持つファイターだ。現在は帝拳プロモーション代表を務めている。

渡部あきのりも1位タイ、金井晶聡と別府優樹は14連続KO

渡部あきのりは「牛若丸あきべぇ」のリングネームで亀田興毅らとトレーニングを積み、2007年に15連続KOを達成。しかし、次戦の日本タイトルマッチで敗れ、新記録はならなかった。

比嘉大吾は2017年にデビュー以来無敗の13連続KO勝ちでWBC世界フライ級王座を強奪。同王座を2度防衛して、連続KOを15まで伸ばした。しかし、3度目の防衛戦で減量失敗し、ウエイトオーバーで王座剥奪。試合にも敗れ、無冠となった。

それでも12連続KO以上を記録したボクサーで世界タイトルマッチを含んでいるのは比嘉のみ。浜田でさえ、世界王座獲得前の記録で、それ以外の選手は世界王座を獲得すらしていない。比嘉の15連続KOはそれだけ価値が高いと言えるだろう。

4位タイの14連続KOは金井晶聡と別府優樹の2人。金井はデビュー以来無敗の14連続KOを記録し、日本タイ記録をかけて2005年に日本フェザー級王座に挑んだが、王者・榎洋之にTKO負けした。

「九州のタイソン」の異名を取る別府優樹は14連続KOをマークしたものの、15戦目で引き分けて日本記録には届かず。2019年にはWBOアジアパシフィックウェルター級王者となったが、今年5月に陥落している。

無敗の12連続KOで一世風靡した赤井英和

6位タイの丸山大輔はデビュー戦から9連続1ラウンドKOを記録し、その後も13戦目まで全てKO。しかし、その後は東洋太平洋王座に挑戦して敗れ、結局タイトルを手にすることなく引退した。

小原佳太はデビュー戦で敗れたものの4戦目から13連続KO勝利をマーク。スーパーライト級の日本王座と東洋太平洋王座を奪った実力者だが、世界戦では敗れた。

12連続KOでは7人が並んでいる。長らく日本記録だったムサシ中野に初めて並んだのが「浪速のロッキー」赤井英和だ。近畿大時代にプロ転向してKOの山を築き、1982年に12連続KOの日本タイ記録を樹立。14戦全勝(13KO)の無敗レコードを引っ提げて1983年の七夕に世界挑戦したものの7回TKOで敗れた。現在は俳優、タレントとして活躍している。

ほかにも日本ウェルター級王座を13度防衛した串木野純也、強烈な左フックで日本ウェルター級王座を14度防衛した吉野弘幸、畑山隆則との激闘が印象深いコウジ有沢、引退後にカムバックして12連続KOをマークした大曲輝斉、デビューから12連続KOで東洋太平洋スーパーフェザー級王者となった仲村正男が8位に並ぶ。

今後、記録を更新するハードパンチャーは出現するだろうか。「モンスター」の異名を取る世界バンタム級王者・井上尚弥は8連続KOが自己最長だ。

ちなみに世界記録はラマー・クラーク(アメリカ)が1958年から60年にかけてマークした44連続KO勝ちだが、1日に数試合したり、対戦相手のレベルも低いと見られている。世界王座を3階級制覇したウィルフレド・ゴメス(プエルトリコ)は歴代4位の32連続KO。世界戦14試合を含んだ記録で、世界的に評価が高い。上には上がいるものである。

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