7月24日から8月8日まで両国国技館で開催
東京オリンピックが7月23日にいよいよ開幕する。全33競技が行われる今大会の中で、注目したい競技のひとつがボクシングだ。東京都墨田区にある両国国技館で7月24日(土)から8月8日(日)に熱き戦いが繰り広げられる。
オリンピックのボクシング競技といえば、2012年のロンドンオリンピックミドル級で金メダルを獲得した現WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太やバンタム級で銅メダルを獲得した清水聡の活躍が記憶に新しい。
日本で行われる今大会も男子はフライ級の田中亮明、ライト級の成松大介、ウェルター級の岡沢セオン、ミドル級の森脇唯人の4選手、女子はフライ級の並木月海、フェザー級の入江聖奈の2選手の計6選手が出場し、メダル獲得が期待されている。
アマチュアボクシングは、プロボクシングと違い3分3Rと短い時間で勝敗が決まる。そのため、プロボクシングにはない、ハイテンポかつスピーディーな技術戦を見ることができる。世界各地から選抜されたトップアマチュアボクサーの試合は、何が起こるかわからないため一瞬たりとも目が離せない。
日本人で出場する全6選手中、それぞれに金メダル獲得を期待する要素があるが、これまでの国際大会での実績から、とりわけ金メダル獲得に期待がかかる選手は岡沢セオンと並木月海だ。
男子の最注目は高いディフェンス力を持つウェルター級・岡沢セオン
男子ウェルター級に出場する岡沢セオン(INSPA所属)はガーナ人の母と日本人の父を持つハーフ。日大山形高校でキャリアをスタートさせ、中央大学、鹿児島県体育協会、INSPAにてボクシングを続けてきた。
2018年に行われた全日本選手権での優勝を皮切りに、国際大会へと活躍の舞台を広げ、東京オリンピックには男子出場4選手のうち、ただ1人自力で出場権を獲得している。
また、2019年にロシアで行われた世界選手権ではヨーロッパの主要大会でも金メダルを独占しているパット・マコーマック(イングランド)に判定2−3の惜敗を喫したものの、その実力が世界トップレベルであることを示した。
独特の間合いと高いディフェンス力を持ち、相手選手の攻撃を最小限に抑えながら、長いリーチを武器に確実にポイントを奪う戦いが世界で評価されている。
女子の最注目は自衛隊体育学校所属のフライ級・並木月海
女子フライ級日本代表の並木月海は、格闘一家に育ち幼少期より兄と姉が通う極真空手を習い始め、那須川天心(TARGET)と空手で対戦した経験を持つ。
2013年に東京での開催が決定したオリンピックへの出場を目指してボクシングに転向。花咲徳栄高校、自衛隊体育学校と女子ボクシング界のエリート街道を突き進んできた。
高校時代は27戦無敗。自衛隊体育学校所属となって臨んだ2018年世界女子ボクシング選手権では日本人2人目となる銅メダルを獲得している。
女子フライ級の中では身長153cmと小柄ではあるが、一瞬で間合いを潰す素早い出入りとパンチ力が持ち味のサウスポー。女子ボクシング競技は2012年ロンドン大会からオリンピック種目となったが、今大会が日本人初出場となる。彼女の活躍が今後の日本女子ボクシング界に多くの影響を与えるはずだ。
まもなく始まる東京オリンピック。ボクシング競技ではどんな感動的な場面を見ることができるだろうか。出場する日本選手6人全員にメダル獲得のチャンスがあり、目が離せない戦いとなる。無観客での開催となるが、テレビやネットを通した観戦で一瞬一瞬の攻防に酔いしれたい。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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