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井上尚弥の注目は次の次!ドネアと「世紀のリターンマッチ」は実現するか

井上尚弥Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

20日にダスマリナスと防衛戦

日本ボクシング界が誇るスーパースター・井上尚弥(28)の防衛戦が迫ってきた。WBAスーパー&IBF世界バンタム級タイトルマッチは19日(日本時間20日)、アメリカ・ラスベガスの「ザ・シアター」で行われる。

WBA5度目、IBF3度目の防衛戦の相手は、WBA8位、IBF1位のマイケル・ダスマリナス(28、フィリピン)。かつて山中慎介や井上の弟・拓真のスパーリングパートナーとして来日したことがあり、フィリピン国内では「ネクスト・パッキャオ」と呼ばれる強打のサウスポーだ。

世界1位にランキングされる選手に油断は禁物だが、世界で最も権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンド(全階級を同一体重と仮定したランキング)で2位に入る井上が負ける相手ではない。ダスマリナスが前に出てくるようなら前半のノックアウトもあるだろう。

ドネアがWBC王座奪取

気が早いが、井上の「次の次の試合」の方が気になる。井上が2019年11月に右まぶたをカットしながらも判定勝ちしたノニト・ドネア(38、フィリピン)が5月29日、WBCバンタム級王者ノルディーヌ・ウバーリ(34、フランス)を4回KOで破り、ベルトを強奪した。

ウバーリは井上の弟・拓真に2度目の防衛戦で判定勝ちするなど17戦全勝(12KO)だったが、5階級制覇の「フィリピンの閃光」に3度倒されて初黒星。試合前に自身のツイッターで「俺はウバーリの僅差判定勝ち」と予想していた井上も、試合後には「ドネア強ぇ!!!」とツイートするほどの快勝だった。

井上が弟の敵討ちをして王座統一というシナリオはもろくも崩れ、逆に浮上したのが「世紀のリターンマッチ」だ。

井上は20戦全勝(17KO)のプロキャリアで、同じ相手と戦ったことは一度もない。しかし、世界のリングではこれまで何度もライバルと言われる両雄が2度、3度と拳を交えてきた歴史がある。

輪島功一、辰吉丈一郎、村田諒太らリターンマッチで数々のドラマ

古くはファイティング原田がポーン・キングピッチ(タイ)から19歳で世界フライ級王座を奪い、再戦で敗れて無冠となった。海老原博幸もポーンを1回KOして世界王座を奪い、再戦で判定負け。世界ジュニアミドル級王者・輪島功一は7度目の防衛戦でオスカー・アルバラード(米国)に敗れて王座陥落も再戦で奪回し、柳済斗(韓国)にノックアウトされて再び無冠となると不屈の闘志で再戦に挑み、15回KOで雪辱した。

世界スーパーフライ級王者・渡辺二郎はパヤオ・プーンタラット(タイ)に2連勝、世界スーパーライト級王者・浜田剛史はレネ・アルレドンド(メキシコ)から1回KOでベルトを奪い、再戦で敗れて引退した。

世界ミニマム級王者・井岡弘樹はナパ・キャットワンチャイ(タイ)と3度戦い、1勝1敗1分け、世界バンタム級王者・辰吉丈一郎はビクトル・ラバナレス(メキシコ)に敗れて無冠となり、再戦で雪辱した。ダニエル・サラゴサ(メキシコ)、ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)には連敗している。

最近では世界ミドル級王者・村田諒太がアッサン・エンダム(フランス)、ロブ・ブラント(米国)の2人と、いずれも敗れた後の再戦で雪辱して王座を奪っている。他にも挙げればキリがないが、同じ階級で実力の拮抗したボクサーがいれば、自然とリターンマッチは生まれるのだ。

2020年代のボクシング界は井上尚弥中心に動く?

特に井上が戦う本場・米国では、敏腕プロモーターによってファンが望む好カードは何度でも組まれる。1980年代はウェルター級からミドル級にかけて、シュガー・レイ・レナードやトーマス・ハーンズ、ロベルト・デュラン、マービン・ハグラーが何度も拳を交えた。

90年代以降はマイク・タイソンを中心にしたヘビー級戦線が活況で、イベンダー・ホリフィールド、フランク・ブルーノ、ドノバン・ラドックがタイソンと2度ずつ戦っている。

6階級制覇したフィリピンの英雄、マニー・パッキャオはマルコ・アントニオ・バレラ、ファン・マヌエル・マルケス、エリック・モラレス(いずれもメキシコ)らと複数回対戦した。

2020年代は日本が誇る井上尚弥を中心としたバンタム級戦線が、ラスベガスをジャックするかも知れない。井上が順当にダスマリナスに勝てば、次はドネアとのリターンマッチでWBA、WBC、IBF の3団体統一戦となる可能性は十分にある。まずは次戦でスカッとしたKO勝ちを期待しよう。

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