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多田武史、盛實海翔、平岩玄ら成長続ける“八村世代”【Bリーグ】

2020 3/25 11:00ヨシモトカズキ
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一芸に秀でる多田と多芸の盛實はともにクラブの有望株

NBAで活躍するワシントン・ウィザーズ#8八村塁を筆頭に、将来有望な選手が集う1997年4月2日から1998年4月1日生まれの年代。その多くは今季特別指定選手などでシーズン途中にBリーグ入りし、すでに活躍を見せている選手が多い。前回はその中からすでにスタメンに起用されるなどチームの主要メンバーになっている選手を紹介した。

この後編では、今後の成長が期待される選手たちをピックアップする。

ハイレベルな東地区で奮闘する秋田ノーザンハピネッツには、本契約の#3大浦颯太に、今春に専修大4年生となる#12西野曜、拓殖大を卒業する#22多田武史の3名が途中加入となったが、中でも多田に注目したい。

高校時代からシューターとして名を馳せていた多田は拓殖大での4年間でもその技を磨いてきた。秋田入り後、早速のそのシュート力を発揮しており、13試合で61点を挙げ、その内48点が3Pシュートである。

出場時間が限られている中しっかりと数字を残しており、生粋のシューターがいない中で多田は貴重な存在。来季以降、出場時間はさらに増えそうだ。

同じ東地区の強豪・サンロッカーズ渋谷に入団した#44盛實海翔も今後の活躍が期待される選手の一人。3年生だった昨季もSR渋谷に加わり、短い期間だったが14.1分の出場で4.7得点と存在感を見せていた。今季はクラブが好調ということ、また同じポジションの選手層が厚くなったことで出場機会の減少が予想されていた。

しかし盛實自身も成長してSR渋谷に帰ってきたことで、15.2分の出場で5.5得点と昨季以上の成績を挙げている。卓越した技術があるからこそなせるトリッキーな1対1にガードもこなせる万能性、腕の長さを生かしたディフェンスと攻守でレベルが高い。どんな役割でもこなすことができ、ボールハンドラーだった大学時代から一転、今はシューターとしての役割を担っている。

育成に定評のあるA.東京は将来を考えた選手を獲得

ここまでは実力を発揮し始めている選手たちを紹介したが、彼らは即戦力としてチームに加入している。その中でアルバルク東京は、即戦力ではなく将来を見据えた選手獲得になった。

現在のA東京の布陣を見るとどのポジションも抜け目がなく、加えて滋賀レイクスターズに期限付き移籍した#2齋藤拓実、#6シェーファー アヴィ幸樹が活躍していることから育成に定評のあるクラブとされている。練習の強度が高く、各ポジションのレベルが高いこと、豊富なタイプのコーチを揃えていることが理由だ。

今季は神奈川大を3年生で退部した#75小酒部泰暉を含め、3名のルーキーを獲得したが、#21平岩玄は中でも有望株で、八村世代を代表する選手である。

高校時代から八村のライバルとしてしのぎを削り、東海大入学以降は何度も日本代表候補に選出されてきた。また特別指定選手で2年時からBリーグに入っており、実績のあるルーキーだ。プレーでは身体接触が強く、速攻の先頭を走ることができる走力も兼ね備える。

そうした実力を誇る選手なだけに、即戦力として中堅クラブに入団する選択肢もあったが、あえてA東京を選んだ。その理由としては自身の成長だ。Bリーグ屈指と言われる厳しい練習に加え、マッチアップする相手もタイプの違った外国籍選手や#15竹内譲次と公式戦さながらの経験ができる。平岩は目先のプレータイムではなく、長い目で見た成長を重視したのだ。

それは同じく東海大からA東京に入った笹倉にも言える。派手さはないものの、ファンダメンタルの高さが光る笹倉だが、大学から本格的にPGにコンバートしたため経験が浅い。

その中で現役時代はPGだったルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチに加えて、日本代表の#3安藤誓哉や、強烈なリーダーシップを誇る#7正中岳城と、A東京には見本にすべき人物が多い。おそらく今季はベンチに入る機会も少ないが、試合以外で成長できるチャンスがあることはプレーヤーとして大きいだろう。

人材豊富な八村世代 Bリーグの将来は明るい

こうした様々な人材が揃っている八村世代。開催は不透明な状況となっているが、今夏予定されている東京オリンピックには、八村やシェーファーといったビッグマンの出場が期待される一方で、来年以降の国際舞台は彼らが主役になる可能性が高い。

すでにA代表候補に名を連ねている平岩に加えて、前編で取り上げた琉球ゴールデンキングス#88牧隼利、タイプの違ったガード陣、川崎ブレイブサンダース#11増田啓介など紹介しきれていない選手や成長過程のビッグマンも控えている。今は出場時間が短い選手も、チームのシステムを理解した来季以降出場機会を増やす選手は出てくるだろう。

4年目を迎えたBリーグは旧リーグに比べて試合数が増え、選手の技術レベルは向上したと言われている。そうした中でBリーグ入りした八村世代の選手たち。近年では最も豊富な人材を誇る年代の選手たちがリーグをさらに盛り上げる存在になるだろう。

牧隼利、中村浩陸、シェーファーアヴィ幸樹…続々とBリーグ入りした「八村世代」が見せる可能性