マット・ジャニング欠場のピンチも
常に上位に位置し、コロナでチャンピオンシップが中止となった2019-20シーズンを除く全てのチャンピオンシップに進出している川崎ブレイブサンダース。今年も第4節まで5勝3敗、B1リーグ東地区の3位につけ、27日の滋賀レイクスターズとの対戦に臨んだ。
その滋賀は同6勝2敗、ルイス・ギル新ヘッドコーチの下、積極的な速いバスケットボールで勝ち星を重ね、上位を伺っている。ギルヘッドコーチはスペインの若い世代を指導し、過去2年は佐賀バルーナーズでチームをB2昇格させた実力者だ。
川崎はヨーロッパで好シューターとして活躍したマット・ジャニングがケガのため欠場。前節2戦目でレバンガ北海道に63対69で苦杯をなめるなど正念場だ。ジャニングの穴を埋め、どのように勝ち星を伸ばせるかが焦点だった。
そのキーを握っていると思われたのが、ニック・ファジーカス。日本でのプレーが10年目を迎えるおなじみの選手で、日本国籍を取得し日本代表でも活躍。辻直人を広島ドラゴンフライズへの移籍で失ったチームにとって、看板選手はファジーカス一人だけとなっているのが現状だ。そんな中でどうチームを勝たせるのかに注目が集まった。
体を張ったファジーカスの存在感
ジャニングの穴を埋めるべく、藤井祐眞と篠山竜青のツーガードで試合を開始した川崎。ポイントガードは藤井で、篠山はセカンドガードとしてプレーしていた。
いきなりジョーダン・ヒースの3ポイントシュート、長谷川技の2連続3ポイントシュートで幕を開け、川崎がリード。その後もキャプテンの藤井のジャンパーやヒースの正面からの3ポイントシュートで差を広げ、優位に試合を展開する。
滋賀もオヴィ・ソコ、ノヴァー・ガドソン、澁田怜音のシュートで追いすがるが、なかなか差を詰めることができない。
ファジーカスは、チームメイトのために体を張ってプレーしていた。ディフェンスリバウンドを取り、味方へパス。敵陣にボールを運ぶのがポイントガードなら、ゴール前でパスするのはファジーカスの役目だ。
パブロ・アギラールが試合に入り、川崎自慢のビックラインナップ、2m超えの外国出身選手が3人並ぶと、圧倒的なリバウンド力が目立った。試合を通してリバウンドは46対28。ディフェンスリバウンドは安心して見ていられ、オフェンスリバウンドでも12回と滋賀の倍。その中心に鎮座するファジーカスの存在感は格別だった。
ベンチ全員でジャニングの穴埋める
試合後半になるとファジーカスへのマークも甘くなるのか、徐々に自分でも得点を取り始める。
第4Qに入ると、3ポイントシュートの能力の高さを買われて獲得した前田悟がロングシュートを連発し、川崎に移籍以降ケガで思うようにプレイできていなかった熊谷尚也が持ち前の運動能力の高さを発揮して、今季初得点を含む7得点の荒稼ぎ。綱井勇介、増田啓介、鎌田裕也も活躍し、ベンチ全員が活躍する試合内容でジャニングの穴を見事に埋めた。
終わってみれば91-74で快勝。ファジーカスはチーム1位の14得点を獲得した。本来の彼の活躍を知っている人にとってはやや寂しい数字ではあったが、それでもチームトップの記録はさすがと言いようがない。
チーム2位の得点はヒース、3位はアギラールとビッグラインナップが揃い踏み。2人とも昨季以前から在籍ということで呼吸も合っている。ジャニングが復帰するまでチームの柱となることは間違いないだろう。
アシスト数もチーム2位タイの5個ということで、周囲を生かすプレーも積極的に行っているファジーカス。今後、前田や熊谷のプレータイムも伸びてくればさらなる活躍も期待される。
藤井と篠山のツーガードも好調でビッグラインナップとのコンビネーションは抜群だ。東地区はいいチームが多いが、今年も川崎が強豪として君臨することは間違いない。
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