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Bリーグ千葉ジェッツがアルバルク東京に雪辱、富樫勇樹が異次元の能力証明

2021 10/27 11:00窪島亮
千葉ジェッツの富樫勇樹,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

優勝候補激突、第1戦はA東京に軍配

昨季のB1リーグチャンピオンの千葉ジェッツと、2017-18シーズン、2018-19シーズンを連覇しているアルバルク東京。今年も優勝候補と目される両チームの対戦に観る者は魅了された。

千葉ジェッツの富樫勇樹とアルバルク東京の田中大貴という日本代表のガードのマッチアップは、B1リーグの対戦という次元を超えて日本のバスケットボールを応援するものにとって注目の一戦となった。

10月23日の第1戦は72対65でA東京が勝利。富樫はわずか5得点に抑えられ、自慢のオフェンス力が発揮できないまま65点という今季最低得点で敗退。ここからどうやって修正し、本来のゲーム運びを行うのか注目が集まった。

富樫が26得点、6アシストの活躍でA東京に快勝

迎えた10月24日の第2戦。前日同様、ジョシュ・ダンカン、富樫、佐藤卓磨、原修太、ジョン・ムーニーというスタメンだった。強力なリバウンドが武器のセバスチャン・サイズを対戦相手のA東京に移籍させてしまったが、オーストラリアで1シーズンプレーし、1試合平均2桁得点、11.4リバウンドでチームのMVPに輝いたムーニーが代わるリバウンダーとして期待を集めた。

試合はそのムーニーが開始早々得点を重ねリードを奪う。富樫も3ポイントシュートを沈め、持ち前のオフェンス力を遺憾なく発揮。さらにムーニーを積極的に使い、幾度となくキラーパスで得点を演出した。

身長167cmの富樫は、ディフェンスだとミスマッチになりやすい。そのため、藤永佳昭や西村文男といったサブの選手にディフェンスを頑張らせ、富樫はここぞという場面までベンチで休養するのが今季の起用法だった。

ただ、この日はやや事情が異なっていた。富樫は第1Qは出ずっぱり。この後も2本の3ポイントシュートを決め、攻撃をリードした。第2Qに入ると藤永に出番を譲るものの、残り時間5分を切ったところで再び登場し、シュートやフリースローを決めた。

第3Qも頭からプレーしてゴール下のシュートを決め、半ばでベンチに退くも、終盤には再び戦線に投入される。第4Qも同じように残り時間7分強でベンチに下がるが、6分強で試合に戻り、最後の35秒で退くまでずっと出ずっぱりだった。

プレータイム29分56秒は今季最長。挙げた記録も得点が26、アシストが6でともにチーム1位と、まさに看板選手と言うにふさわしい活躍ぶりだった。

第3Qで2ポイントシュート、3ポイントシュートと面白いように成功させて点差を広げ、第4Qでは富樫の真骨頂、スティールで敵のボールを奪い、そのままゴール下に持ち込んでシュートを決めた。終わってみれば88対71の大勝で試合を締めくくり、前日の敗戦の雪辱を果たした。

オフェンスにリズム生んだ富樫

富樫が異次元の運動能力を誇ることは疑いようがない。ミスマッチを気にするあまり他の選手にプレータイムを譲り、結果前日のようにオフェンスが沈黙してしまうようだと千葉の良さはかき消されてしまう。あくまで千葉はオフェンスのチームであり、その中心選手が富樫という原点に立ち返ったのが24日の試合だった。

千葉の武器は、富樫に次ぐ23点を挙げたダンカン。前日はファウルトラブルに見舞われ途中でファウルアウトしてしまったが、今日はそんなこともなく、終盤まで点を取り続けた。

またクリストファー・スミスのシューターとしての能力も非凡。フランス、ベルギー、ハンガリー、ポーランドとヨーロッパを渡り歩いてきた選手だが、途中出場して貴重な得点を挙げてくれるはずだ。

それもこれもポイントガードたる富樫がどのように操るかによって180度成果が変わってくるのが千葉だ。この日のように、あくまで富樫にプレーさせてオフェンスにリズムを作ることがまず目指すべきところだろう。

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