昨季MVPの金丸晃輔とともに加入
今年、初のチャンピオンシップ出場を目指して積極補強を行った島根スサノオマジック。話題は昨シーズンのBリーグMVP、金丸晃輔の獲得だった。日本を代表するシューターの獲得で得点力が大幅にアップするものと考えられていた。
しかしもう一人、島根の目玉の補強選手がいた。ポイントガードの安藤誓哉だ。オリンピック出場こそならなかったものの、日本代表候補選手に名を連ねていた安藤。アルバルク東京に過去4シーズン在籍し、2度のB1チャンピオンに輝いている大型選手だ。
その力は開幕節、昨年度王者千葉ジェッツ戦で如実に現れていた。10月2日の第1戦で自己最高の24得点を挙げると、10月3日の第2戦ではそれを上回る28得点。リーグの得点ランキング2位につける好調ぶりが続けば、今年の島根は非常に面白い存在となる。
レバンガ北海道戦で本領発揮
第2節はホームにレバンガ北海道を迎えて戦った。新加入早々、チームの新キャプテンに就任した安藤。その巧みなボールコントロールで島根を勢いづかせることを期待された。
9日の第1戦はいきなり金丸の3ポイントシュートやゴール下のシュートを演出し、優位に試合を進めた。第1Qは北海道のデモン・ブルックスがインサイドで存在感を発揮して3ポイントシュートも決められ、葛原大智、橋本竜馬にも立て続けにゴールを奪われて22対24と接戦でリードを許した。
しかし、第2Qに島根は小阪彰久の3ポイントシュートで逆転。安藤もゴール下へドライブのシュートを決めると、直後のディフェンスでボールを弾いて味方のポゼッションにつなげ、試合を優位に展開する。
ペリン・ビュフォードの2ポイントシュート、白濱僚祐のフローターで点を加えると、ここから安藤の本領が発揮される。得意の3ポイントシュートを左コーナーから決めると、正面からのジャンパーも沈め、味方に得点をもたらす。
その後も阿部諒の3ポイントシュート、ビュフォードのゴール下2ポイント、金丸の正面ジャンパーを次々と演出し、前半を終わって48対42。島根が試合をリードして折り返すこととなった。
第3Qに入ると北海道・山口颯斗の内外のシュート、ブルックスのアリウープ・ダンクをはじめインサイドでのゴールラッシュを許し、わずか3点差まで詰められる。第4Qに入っても北海道の好調は続き、ダニエル・ミラー、ブルックスのインサイドシュートで加点。そしてもう一人の外国人、ショーン・ロングが第4Q終盤にシュートとバスケットカウントを奪い、試合をひっくり返す。
試合残り時間1分を切ってから80対82と絶体絶命の試合展開。ここで持ち前のハートの強さを見せたのが安藤だった。ゴール正面でボールを受けると、そのまま3ポイントシュート。これが成功し、見事再逆転を果たした。
その後もファウルをもらい、フリースローを2本成功。金丸もフリースローを2本成功させ、87対84で辛くも逃げ切った試合展開だった。
ずば抜けた運動能力と正確なプレーの安藤
終わってみれば、安藤はチーム1位の19得点を獲得。卓越した得点センスを見せつけ、北海道に先勝した。アシストでもチーム1位の5アシスト。積極補強で選手層が大幅に厚くなった島根の戦力を生かすプレーぶりが目立った。
安藤の持ち味は、ずば抜けた運動能力と、それに裏打ちされたプレーの正確さだろう。試合の中でもチャンスとみるやすぐにフロントコートにボールを運び、金丸らへ的確なロングパスを決めていた。これが今年の島根の大きな武器になっていることは間違いない。
島根は3ポイントシュートこそわずか4回成功に抑え、成功率25.0%だったが、ブルックス、ロング、ミラーのインサイドに苦しめられ、あと一歩で敗戦する窮地に立たされた。選手の能力の高さによって何とか勝つことはできたが、インサイドのディフェンスが今後戦っていく上でキーになっていくだろう。
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