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大神雄子から馬瓜エブリンへ Wリーグオールスターゲームの新旧スター共演

Wリーグ, Wリーグオールスター,馬瓜エブリン,大神雄子,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

新旧のスター選手がコートに大集結

「Denka presents Wリーグオールスター 2018-19 in TOKYO」が2018年12月29日に大田区総合体育館(東京都大田区)で華々しく開催。今年はWリーグ20周年を記念し、様々な企画が用意された。

まずは、Wリーグとしては初の3人制バスケ「3x3」のイベント、「ステーキハウス ブロンコビリーカップ」3x3 1Day トーナメントが行われた。現役からOGまで総勢16選手が4チームに分かれて戦い、見事優勝に輝いたのは、トヨタ自動車アンテローブス現役・OGで構成された「新栄町モーターズ」。女子3人制バスケの大会の運営も担い、女子3x3を引っ張る存在でもある矢野良子率いるチームがトーナメントを制した。

続いて、Wリーグをこれまで引っ張ってきたレジェンドたちの競演「Wリーグオールスター クラシック」。名門チームJX-ENEOSのOGで構成された「TEAM YELLOW」と、シャンソン、富士通、デンソー、トヨタ自動車、日本航空などのOG選手による「TEAM BLACK」による対戦となった。

「TEAM YELLOW」には、大神雄子、立川真紗美ら往年のJX-ENEOSを引っ張ってきた選手たちが顔をそろえ、「TEAM BLACK」には、永田睦子(元シャンソン化粧品)、有明葵衣(元富士通)らが参戦した。途中、吉田亜沙美、渡嘉敷来夢(共にJX-ENEOS)、本川紗奈生(シャンソン化粧品)ら現役選手の参加や、大神雄子や矢野良子が試合途中で「TEAM BLACK」に移籍するなど、賑やかな試合になった。試合は2Q20分形式で行われ、「TEAM BLACK」が28-21で勝利した。

メインのオールスター前には、60秒間で5か所に分かれたシューティングスポットから各5本シュートを放ち得点を競う「3Pコンテスト」と、ドリブルやパス・シュートのスキルでタイムを競う「スキルチャレンジコンテスト」を開催。

Wリーグ, Wリーグオールスター,馬瓜エブリン,大神雄子,Ⓒマンティー・チダ

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「3Pコンテスト」では、3連覇中の山本千夏(富士通)がコンディションの都合により欠場し、代わりに出場を果たした高田汐織(富士通)が20得点で、富士通勢として4連覇を達成。「スキルチャレンジコンテスト」は、4連覇を狙った本川紗奈生を抑え、宮崎早織(JX-ENEOS)が24.4秒で制した。

「U.S.A」のダンスサプライズで流れを掴んだ(?)WESTが勝利

イベントのトリである「オールスターゲーム」は、リオデジャネイロ五輪ベスト8のメンバー、スペインで開催されたワールドカップ代表メンバーなど、日本女子バスケ界を引っ張るスター選手が一堂に顔を合わせた。どんな試合が行われるのかと思っていたら、アップの段階からサプライズが始まる。

EASTとWEST、両チームの選手たちがコートに集合し、EASTが円陣を組んだ瞬間だった。場内に2018年の大ヒット曲「U.S.A」が流れると、WESTの選手たちが踊り始める。サビにかかると、話題になった「いいねダンス」をする選手の傍らで、#0馬瓜エブリン(トヨタ自動車)がコート上で歌い始めると、場内は大歓声。呆然とするEASTの選手を横目に、WESTの選手たちが試合開始前から意表を突いたパフォーマンスで驚かせた。

Wリーグ, Wリーグオールスター,馬瓜エブリン,大神雄子,Ⓒマンティー・チダ

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試合が始まっても、勢いが良かったのはWESTだった。#8高田真希(デンソー)、#24栗原三佳(トヨタ自動車)が連続で3pを沈めると、高田のレイアップ、#12赤穂さくら(デンソー)の得点で一気に10得点を稼ぐ。一方のEASTも#10渡嘉敷来夢(JX-ENEOS)の連続3p、#12吉田亜沙美(JX-ENEOS)の3pを含む5得点で一気に追いつく。その後しばらく拮抗した展開が続いたが、終盤WESTが#22長岡萌映子(トヨタ自動車)の得点などで引き離し5点リードで1Qを終了する。

2Qになると、出場予定がなかった馬瓜ステファニーがWESTの一員で登場すると、いきなりバスケットカウントを成功。「多分アップしていないと思う」と姉のエブリンが話すなど、ぶっつけながら見せ場を作る。EASTが3p攻勢で一時は勝ち越しをするもののWESTは終盤、馬瓜エブリンの3pなどで引き離し53-46でリードし前半を終了する。

後半に入ってガードの選手が多いEASTは、5人全員ガードという奇襲を仕掛ける。それに対してWESTは、ビックラインナップで応戦する。サイズでは不利なはずのEASTが、スティールを見せるなど見せ場を作ったが、WEST7点リードのまま最終Qへ。

4Qに入っても互角な戦いを続けた両チームだが、97-87でWESTが勝利した。

「U.S.A」の歌唱から両チーム最多得点を挙げた馬瓜エブリン

Wリーグ20周年を記念して開催されたオールスターゲーム。本戦でおいしいところを持って行ったのは、MVPを獲得した馬瓜エブリンだった。「U.S.A」を熱唱し(左手のカンニングペーパーを見ながら)掴みをしっかりとれば、ハーフタイムではパフォーマンスを見せていた「Team JCDA」の振り付けを即興で披露する場面も。本戦では16得点(公式記録は19得点だが、うち3得点は急遽出場したステファニー)をあげて、両チーム最多得点とし、プレーでも観衆を沸かせた。

試合後の記者会見では「もうそろそろMVPは欲しいと思っていた。今日は一生懸命やろうと思っていたので、その結果が出て良かった」と素直に喜んだ。『U.S.A』については、WESTのキャプテンを務めた高田の発案だったが「(高田より)歌ってくれと頼まれて、ここで歌わないと自分ではないので、歌えてよかった」と裏事情を明かす。

4Qではフリースローの際には、フリースローレーンに立つEASTの渡嘉敷と宮澤夕貴(JX-ENEOS)にボディビルダーのポージングを披露する洗礼を浴び、「すごく動揺した」と2本ともフリースローを外す。一方の渡嘉敷は「とっさに思い付いた。盛り上がればと思った。(エブリンが動揺したと話すと)作戦は成功ですね」と笑顔で答えた。

Wリーグ, Wリーグオールスター,馬瓜エブリン,大神雄子,Ⓒマンティー・チダ

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MVPのインタビュアーを担当した大神雄子さんも「勝ちだけでなく、MVPを狙っていたような『U.S.A』だった」と称賛するほど、オールスターの盛り上がりに貢献した。リーグ戦や日本代表でも、持ち前の明るさを生かしたプレーを期待したい。

レジェンドもイベントやインタビュアーで大活躍 大神雄子さん

やっぱりこの人もオールスターゲームには欠かせない。昨季限りで現役引退を発表し、現在はトヨタ自動車ディベロップメントコーチ、JBAアンバサダーの大神雄子さん。「Wリーグオールスター クラシック」や自身がプロデュースをした「Shin's Dreams Game」では、コート上を縦横無尽に走り、往年のプレーぶりで会場を大いに沸かせた。

オールスターゲームの試合中は、TV中継でコートサイド解説を担当し、試合終了後はMVPの馬瓜エブリンとMIPの渡嘉敷来夢のインタビューを担当。

イベント終了後、会見に応じた大神さんは「うずうずしますね」と話し始めた。「試合に出たくなるし、選手が楽しくやっていると私のエナジーになってまた頑張ろうという気持ちになる。バスケットボールというよりは、スポーツを一生懸命やっている、楽しんでいる選手は輝いているなあと思った。昨年までは選手としてやってきて、改めて一番大切なものを気づかされた気がする」と現役を退いてから迎えたオールスターを振り返った。

そして、この日はインタビューにも挑戦した。「まず噛まないように意識をしたのと、インタビュアーなので自分が話し過ぎないようにした。いつもはしゃべりたがりなので、単刀直入にしっかりと質問ができるように心掛けた」と笑いながら語った。

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これからも、コートの外から女子バスケ界を盛り上げてくれるのは間違いないようだ。