【決勝】宮澤の4点シュートから流れに乗ったJX-ENEOS
1Q出だしから互角な戦いが繰り広げられる。残り3分12秒、2点差を追いかけるJX-ENEOSは、#1藤岡麻菜美に代わり#12吉田亜沙美をコートに送り込む。ここから#10渡嘉敷来夢が連続得点、#52宮澤夕貴が4点シュートを成立させ、5点リードで1Qを終了する。
2Qに入って、1Q終盤にビックシュートを決めたJX-ENEOS宮澤がレイアップ、3pを連続で決めて一気に10点リードとした。トヨタ自動車のタイムアウトを挟んでも、JX-ENEOSの勢いは止まらない。吉田、渡嘉敷のホットラインが機能しリードを15点に広げる。トヨタ自動車は前半2回目のタイムアウトを請求し流れを変えたいところだが、再び宮澤が2本のシュートと1本のブロックショットを決めて、トヨタ自動車に隙を与えない。終盤、トヨタ自動車#0馬瓜エブリンらに得点を重ねられるが、渡嘉敷の連続得点で15点リードを維持、前半を終える。
後半に入っても流れはJX-ENEOS。#33梅沢カディシャ樹奈が立ち上がりから連続で得点し、ペースを掴む。中盤でも#11岡本彩也花の3pなどで得点を重ね、最後は渡嘉敷が連続で得点を入れ、25点リードで3Q終了。
4Qに入ってもJX-ENEOSはリードをキープする。終盤、勝利が見えてきたJX-ENEOSは控え選手を投入するなど余裕の試合運び。結局、86-65でJX-ENEOSが勝利し、6連覇を達成した。

Ⓒマンティー・チダ
スタイル不変で貫いた皇后杯6連覇
大会を通じて、JX-ENEOSの強さが改めて目立った。リーグ戦無敗で首位を独走するチームは、トーナメントでも力を発揮し優勝。さらに今季は、藤岡と梅沢がスタート5に入り、吉田がシックスマンになった。選手の配置を変えながらも、皇后杯6連覇を達成した。
「7年前にヘッドコーチになりましたが、その時からバスケットボールのスタイルを変えていないことが優勝に繋がっているのかなと自分では思う」記者会見の席上で、JX-ENEOS佐藤清美ヘッドコーチはこのように話す。
「日本だとこのメンバーでも大きいチームだが、世界に出ると走らないと対抗できない。それを自らのチームで作ると考えている。そこに藤岡や梅沢がマッチできている」と続けた。
吉田は「前日から石原や梅沢が、得点やリバウンド、ディフェンスで本当に頑張ってくれた。決勝はJXのバスケットを、試合を通してできたので、リーグ戦に向けてイチから頑張りたい」とコメントした。

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藤岡、梅沢も課題を残しながら自分の役割を果たす
今季からスタート5に入った藤岡、梅沢も、自分の役割を果たし、チームの皇后杯制覇に貢献した。
佐藤ヘッドコーチは「藤岡は昨シーズンケガで1年間欠場し、今季も代表活動には召集されていたが100%の力を発揮できていなかった。9月からみんなと一緒に練習ができるようになってからのこの日の活躍と考えれば、しっかり仕事をしてくれたかなと思う。梅沢はリバウンドとディフェンスだけ頑張ってくれたらよいと伝えたら、それをしっかりやってくれた」と2人を評価した。
決勝で後半から得点に絡んでいった梅沢は「前半とやることは変わらないので、打てるところで打とうと思っていた」と話す。
「今回はメイさん(大﨑佑圭)が抜けて、リュウさん(吉田亜沙美)も変わり、チームで勝ちに行くという雰囲気が出来ていた。ほっとしたし、嬉しい」と藤岡は優勝について素直に喜んだ。
決勝ではスタート5に名を連ねたが、1Qでリズムが悪くなったところ、3Qの立ち上がりでは吉田が起用される。
後半出だしの吉田の起用について、佐藤ヘッドコーチは「後半の出だしでつまずくと3Q,4Qと苦しい展開となってしまうので、第3Qの最初で、うちのペースに持っていきたかった」と佐藤監督は起用意図を明かす。
藤岡は「あれはヘッドコーチの考え。ヘッドコーチから信頼を勝ち取って、そういうところでも任せてもらえるようにしていかないといけない。自分がやってやるという気持ちを強く持って。どうしてもリュウさんがいるので(笑)。リュウさんがいるからと思ってしまうところも甘い」と反省も忘れなかった。
皇后杯が終われば、残す所はWリーグ制覇。吉田も健在だが、藤岡、梅沢を中心とした若手が躍動すれば、Wリーグ制覇以上のものを手にすることができるだろう。

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