3点シュート成功率の高さでスペイン、カナダ撃破
バスケットボール女子の日本代表が2月11日までハンガリー・ショプロンで行われたパリ五輪世界最終予選で「死の組」と呼ばれた厳しいグループを突破し、3大会連続の五輪出場を決めた。
男女そろって自力での五輪出場は1976年モントリオール五輪以来、48年ぶり。4チームが総当たりで争い、強豪のスペインとカナダを倒した裏には、データ上でも3点シュート成功率でトップの35.1%をマークした強さがあった。
トム・ホーバス監督が率いた2021年東京五輪で銀メダルに輝いた日本は今大会「走り勝つシューター軍団」をコンセプトに掲げ、平均身長で10センチ近く上回る相手に3点シュートと運動量で勝負する作戦を徹底。
世界ランキング9位の日本は初戦で、公式大会5戦全敗だった世界ランク4位の強豪スペインを86―75で破る金星を挙げると、第2戦で地元ハンガリーに敗れて冷や汗をかいたものの、最終戦で世界ランク5位のカナダを86―82で倒し、通算2勝1敗として堂々の1位で3大会連続6度目の五輪出場を決めた。
スペイン戦で日本が放った3点シュートは計40本に達し、主将の林咲希(富士通)を中心に成功率も38%と上々のデータをマーク。全4チームが1勝1敗で迎えた運命のカナダ戦では3点シュート成功率が35%で、ハンガリー会場の最優秀選手に選ばれたガードの山本麻衣(トヨタ自動車)と、馬瓜エブリン(デンソー)が両チーム最多の21点を挙げた。
宮崎早織、山本麻衣のダブル司令塔、フリースローも85%成功
日本はスピード自慢のガード宮崎早織(ENEOS)と山本麻衣(トヨタ自動車)のダブル司令塔が機能し、世界屈指の「高速バスケ」で強敵に立ち向かった。
カナダ戦では3点シュートを警戒する相手守備の裏をかき、宮崎、山本の鋭いドライブからレイアップシュートに持ち込む攻撃で得点を量産。第4クオーター終盤までもつれた83―80の残り40秒で山本が執念でねじ込んだ場面は勝敗を左右するターニングポイントになった。
フィールドゴールの成功率は4チーム中トップの47.8%。大接戦の展開でフリースローの成功率も85.1%と冷静さと安定感が光った。
最終戦のカナダ戦ではムードメーカーでもある馬瓜エブリンが3点シュートを4本中3本決めるなど21得点、5リバウンドと攻守に大活躍。山本も3点シュートを含むチーム最多タイの21得点と「走り勝つシューター軍団」を最後まで支えた。
恩塚亨監督のベンチワーク、パリ五輪へ課題はインサイド
日本を指揮した恩塚亨監督はきめ細かい選手交代を徹底し、対戦相手にディフェンスの的を絞らせなかったベンチワークも効果的だった。一方でパリ五輪までに高さの差が出るゴール下でのリバウンド対策は必須で、選手補強と課題も浮き彫りとなった。
「人生の夏休み」と表現し、1年間の休養を経て選手生活に戻った馬瓜エブリンは自身のSNSで「パリオリンピックへの道をちゃんと繋げる事ができて、本当に本当によかった!! 正直、今までに経験した事ないようなプレッシャーで、どうしようかと思ったけど、最後はしっかり腹くくってプレーできてよかった」とコメント。
2度目の引退を経て現役に戻った36歳のベテラン吉田亜沙美(アイシン)も経験豊富なプレーでつなぎ役を見事に遂行し、カナダ戦で最多5アシストをマーク。自身のインスタで「私たち選手は覚悟と勇気を持って相手に立ち向かうことが出来ました。こんな素敵な気持ちを味わえることができ、また新たに夢と目標、そして進むべき道を与えてくれた仲間とBASKETに感謝してます。また次のチャレンジへ」とつづり、悲願の金メダルを目指すパリの舞台でさらなる躍進を期した。
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