打率.474、2本塁打、13打点の吉田正尚
第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)も決勝を残すのみとなった。21日(日本時間22日)に米マイアミのローンデポ・パークで行われる日本対アメリカ戦で、日本中を熱狂させている宴もフィナーレを迎える。
勝負の行方は野球の神様しか知り得ないが、もし日本が優勝すればMVPは誰になるだろうか。
決勝戦が終わらないと判断はできないものの、準決勝までの活躍ぶりで言えば、吉田正尚(レッドソックス)が最有力だろう。
ここまで19打数9安打の打率.474、2本塁打、13打点、7四死球、2犠飛をマークしており、出塁率は.571、OPSは1.414だ。
13打点は、前回2017年大会でウラディミール・バレンティン(オランダ)がマークした1大会最多の12打点を更新する新記録。松田宣浩(当時ソフトバンク)が2013年と2017年の2大会合計で記録した日本選手WBC通算最多記録の12打点も塗り替えた。
準々決勝のイタリア戦からは4番に座り、準決勝のメキシコでも同点3ランを放つなど勝負強い打撃で打線を牽引している。
大谷翔平は打率.450、1本塁打、8打点に投手で2勝
不動の3番として活躍する大谷翔平も候補の一人だ。準決勝まで20打数9安打の打率.450、1本塁打、8打点、9四球をマーク。出塁率は吉田を凌駕する.621、OPSも1.421と吉田を上回っている。
さらに投手としても1次ラウンド中国戦と準々決勝イタリア戦に先発して2勝。計8.2回で5安打10奪三振、防御率2.08の成績を残している。
仮に決勝で吉田と大谷が同等の活躍をしたとすれば、議論を呼ぶかも知れない。2022年のメジャーリーグでもアーロン・ジャッジ(ヤンキース)と大谷で意見が分かれた。
ア・リーグ新記録の62本塁打を放ったジャッジは、34本塁打の大谷を打撃成績では大きく上回ったものの、大谷は投手としても15勝をマーク。「二刀流」として2人分働いたと考えると、ジャッジより高く評価する声もあった。結果的にはジャッジがMVPに輝いたが、今大会でも同様の議論が起こる可能性がある。
松坂大輔は2大会連続MVP
過去の大会を振り返ると、第1回と第2回は松坂大輔が2大会連続でMVPを受賞。2大会で計6勝を挙げる活躍を見せ、日本の連覇に貢献した。
第3回はドミニカ共和国のロビンソン・カノが受賞。32打数15安打の打率.469、2本塁打の大活躍だった。
第4回はアメリカの右腕マーカス・ストローマンがMVP。決勝のプエルトリコ戦で6回まで無安打無失点の快投を見せるなど3試合で防御率2.47をマークした。
いずれも優勝チームからMVPが選出されており、今大会も同様だろう。過去の受賞者と照らし合わせてみると、大谷は打者としてだけでもMVPに選ばれてもおかしくない成績だ。
しかも、当初はエンゼルスに復帰後の3月24日パドレス戦に登板し、中5日で同30日に行われるアスレチックスとの開幕戦に臨むため、WBCでの登板は準々決勝が最後と伝えられていたが、ここに来て大谷自身が決勝での登板に意欲を示している。決勝の先発は今永昇太と発表されているが、もし大谷がリリーフで登板して胴上げ投手にでもなればMVPに選ばれても全くおかしくはない。
泣いても笑っても最後のアメリカ戦。勝負の行方やMVPが気になるのはもちろんだが、開幕前から何かと話題を集めたWBCが終わってしまうのが何よりも寂しい。
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