強化合宿の打撃練習で観客を魅了
3月に開催される第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、3大会ぶりの世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」。宮崎で行われている強化合宿は19日で第1クールが終了した。
この3日間、連日メディアを賑わせていたのが、今回初選出となった山川穂高(西武)だ。昨季41本塁打を放ち、3年ぶりに最多本塁打のタイトルを獲得。自身3度目の本塁打王となった“アグー”が、日本代表の中でも持ち前のパワーを見せつけている。
合宿初日、昨季セ・リーグ三冠王の村上宗隆(ヤクルト)や岡本和真(巨人)ら本塁打王の経験者らと同組で行ったフリー打撃で、岡本と並ぶトップタイの13本の柵越えを披露。2日目以降も豪快なアーチを飛ばすとともに、持ち前の明るさからムードメーカーとしても存在感を発揮。全国から集まった大勢の観客を沸かせている。
上記3人の他にもDeNAの4番・牧秀悟や鈴木誠也、吉田正尚とかつてないほど強打者がそろっている今回の侍ジャパン。誰が4番に座るのか注目が集まるが、今のところ山川が一歩リードといったところだろうか。
自チームでは不動の4番に座る大砲は、18、19年と連続本塁打王を獲得し、猛打の山賊打線を牽引。リーグ連覇の立役者となった。日本代表でも世界一へと導く一発が大いに期待される。
WBCの本塁打記録更新なるか
また、稀代のホームランアーチストには、WBCにおける本塁打記録更新にも期待がかかる。
まず、これまでの侍ジャパンの最多本塁打記録を見ていきたい。1大会での最多本塁打は3本。多村仁志(2006年)、筒香嘉智、中田翔(いずれも2017年)の3人が記録している。そして、4大会通算でもこの3本塁打が最多となっている。昨年41本塁打を放った長距離砲にとっては、十分に射程圏内の数字だろう。
では、全代表チームにおける最多記録はどうなっているのだろうか。1大会で最も多くのホームランを打ったのは、2006年の李承燁(イ・スンヨプ、韓国)だ。日本のプロ野球でもロッテ、巨人などで活躍したアジアの大砲は、1次ラウンドに3本、2次ラウンドでは2本放ち、計5本塁打をマークした。
一方、これまでの4大会通算では、ロッテ、ソフトバンクでプレーしたアルフレド・デスパイネ(キューバ)の7本(09年:1本、13年:3本、17年:3本)が最多。こちらも日本に馴染み深い選手がトップだった。今大会も代表入りしており、さらに記録を伸ばす可能性もある。
今大会の侍ジャパンは1次ラウンドで韓国、オーストラリア、中国、チェコと4試合、その後に2次ラウンド、準決勝、決勝と、優勝まで最大7試合を戦うことになっている。どこまで勝ち上がるかにもよるが、山川なら1大会5本塁打は十分に狙える数字だろう。ただ、歴代トップとなると、決勝まで勝ち上がったとしても1試合1本以上が必要となり、こちらはかなり厳しそうだ。
侍ジャパンが再び頂点に立つためには、打線の奮起は必要不可欠。特に、一発勝負となる2次ラウンド以降では、一振りで試合を決められる本塁打の価値は大きい。第1回大会では、福留孝介(中日)が準決勝で代打決勝2ランを放ち、宿敵・韓国を撃破。勢いに乗ったチームは決勝でもキューバを下し、初代王者に輝いた。
山川は初の世界の舞台でどれだけのアーチをかけることができるだろうか。お決まりの「どすこい」ポーズを披露すればするほど、頂へと近づくことは間違いない。
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