実績の山田哲人と若さの牧秀悟
第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)に出場する日本代表「侍ジャパン」の宮崎キャンプがスタートした。
エンゼルス・大谷翔平ら一部のメジャーリーガーはまだだが、パドレス・ダルビッシュ有も含めた豪華メンバーが集結。3月開幕の本大会へムードが高まってきた。
3大会ぶりの優勝を狙う侍ジャパンを率いる栗山英樹監督が、セカンドに誰を起用するかは注目ポイントのひとつ。実績で勝るヤクルト・山田哲人か、ルーキーイヤーから2年連続で好成績を残しているDeNA・牧秀悟か、判断は難しいだろう。
そんな2人をデータで比較してみたい。昨年の成績は以下の通りとなっている。
12球団ワーストの140三振を喫した山田哲人
両者とも右打ちの中距離ヒッターで、出場試合数が5試合しか変わらないので比較しやすい。打率は.243だった山田に対し、牧はリーグ8位の.291。二塁打、本塁打も牧がわずかに上回っている。
目立つのは山田の三振の多さだ。2022年は12球団最多の140三振。三振を喫するまでにかかる打席数を示すPA/Kは、規定打席到達者では西武・オグレディに次いで12球団ワースト2位の3.86。1試合で4打席立つとすれば、必ず1三振はする計算だ。
牧は82三振でPA/Kは6.93。最も三振の少なかったDeNA・宮崎敏郎のPA/Kは13.77だが、規定打席到達した48人中21位の牧は平均的な数値と言える。
山田は思い切りのいいスイングが持ち味のため100三振を超えたシーズンが7度あり、元々三振は多いタイプ。ただ、トリプルスリーに輝いた頃に比べると成績は下降線を辿っており、気になる材料だろう。
エラーの多い牧秀悟
逆に牧が大きく見劣るのが失策数だ。山田の3失策に対し、牧は13失策を記録。セカンドの守備率は、規定打席に到達した4人の中では山田哲人がトップの.995、広島・菊池涼介、巨人・吉川尚輝と続いて、牧は最下位の.981となっている。
盗塁数も山田は全盛期より減っているとはいえ、10盗塁をマーク。3盗塁の牧を大きく上回る。守備範囲も含めた身体能力では山田が上と言えるだろう。
トータルで見ると、打撃を重視するなら牧、守備を重視するなら山田と言える。山田は前回2017年のWBCも経験しており、国際試合の経験が豊富な点も強みだ。
牧はファーストの練習にも取り組んでおり、セカンド山田、ファースト牧も選択肢のひとつかも知れない。とはいえ、ファーストが本職の西武・山川穂高や、巨人ではサードを守る岡本和真がファーストを守る可能性もあり、最後まで状態を見極めながら、試合状況にも応じて使い分けることになりそうだ。
日本の初戦は3月9日、中国戦(東京ドーム)。チーム内でハイレベルなポジション争いを繰り広げながら、残り数週間で状態をピークに持っていけるかがカギを握っている。
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