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ヤクルト・長谷川宙輝、大西広樹が好投 投手陣の底上げできれば上位争いも

2020 2/22 11:00勝田聡
東京ヤクルトスワローズの大西広樹と長谷川宙輝ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

4人で3つの外国人枠を争う

昨シーズンは投手陣の成績が低調に終わり、最下位に沈んだヤクルト。このオフには超大物選手の獲得はないものの、多くの投手を補強している。

新外国人選手としては、先発タイプのガブリエル・イノーアとマット・クックのふたりを獲得した。両投手とも2月19日の練習試合(楽天戦)に登板。クックは2回5失点と苦しんだが、味方のタイムリーエラーも絡んでおり自責点は1。また、許した安打もゴロ安打や詰まったあたりだった。捉えられたあたりというのは見られていない。また、相手選手のバットを2本粉砕した。これは球に力がある証拠でもある。日本のボールやゾーンに対応しストライクゾーンで勝負ができれば、面白い存在となる。

一方で制球にばらつきがあったのは気がかりだ。マイナー通算のBB/9(1試合あたりにいくつ四球を出すか表す指標)は1.9、MLBでも2.2と制球力が売りの投手。しかし、この日は2回で2つの四球を出した。また四球にはならなかったものの、結果的にカウントが悪くなることも多く2回で52球を要している。

一方のイノーアは、150キロを超えるストレートや変化球でゴロを打たせる投球で2回1失点。初登板にしては悪くない内容だった。サイドスローだが、極端なフォームではなく、サイドとスリークォーターの中間くらいだろうか。この時期で最速は151キロを記録しており、シーズンが始まればさらに球速は上がりそう。

クックとイノーアに昨シーズンから残留しているアルバート・スアレスそしてスコット・マクガフの4人で3つの外国人枠(投手)を争うことになる。

ドラフト会議では1位から4位指名までがすべて投手だった。1位の奥川恭伸(星稜高)こそ高卒だが、2位の吉田大喜(日体大)、3位の杉山晃基(創価大)、4位の大西広樹(大阪商業大)と大卒の投手を次々に指名している。3人の大卒投手はこの春季キャンプで一軍スタートを果たしており、首脳陣の期待値は高い。

そんな中、大西も外国人投手と同じく19日の楽天戦に同期一番乗りで登板。ほかの投手たちが乱調で12失点と大敗した試合だったが、大西は1回無失点の好投。2段モーションのようなフォームから、制球良くストレート、変化球ともにまとまっていた。

長谷川宙輝は力で押す投球

そしてソフトバンクを自由契約となった長谷川宙輝である。2016年育成ドラフト2位で聖徳学園高校からソフトバンクへと入団。ここまでの3年間で支配下登録を勝ち取ることはできず。

ソフトバンクも長谷川の能力を買っており、制度上このオフシーズンに自由契約となったものの、育成での契約を打診していた。しかし、長谷川は退団を選択し、支配下登録選手として打診のあったヤクルトでのプレーを希望した。

小学生の頃からヤクルトでプレーするのが夢だったという長谷川。この春季キャンプでは一軍スタートを勝ち取ると、ブルペン、シート打撃などで着実に結果を残していた。19日の楽天戦では9回表にマウンドへ登ると、140キロ台後半のストレートを中心にスピードで押す投球。1回を無失点に抑えている。スピードで勝負できる左腕というのはヤクルトに少ない。貴重な戦力となりそうだ。

大西と長谷川の起用法は現時点で明らかになっていない。しかし、どのような起用法にせよ、昨シーズンからの上積みとなることは間違いないだろう。

リーグ中位の投手力があれば上位争いも

毎年のようにヤクルトは「投手陣が課題」と言われ続けてきた。昨年のチーム防御率4.78はリーグワースト。神宮球場という打者が有利な球場とはいえ、唯一の防御率4点台というのはやはり苦しい。

しかし、近年で上位に食い込んだ2018年(2位)、2015年(優勝)はともに圧倒的な投手力こそないが、リーグ内の他5チームと戦える水準にあった。2018年は防御率4.13とリーグ4位だが、3位の広島は4.12と差はわずか。2位の阪神は4.03で0.1差と踏ん張った。2015年もリーグ4位の3.31。この年は中継ぎ陣が安定しており、中継ぎの防御率2.67はリーグトップだった。

つまり、リーグトップクラスの投手陣とまではいかなくても、他球団と同等に戦える水準であれば十分に上位争いに加わることができる。新戦力たちでの底上げが叶えば、上位争いも不可能ではない。

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