圧倒的な4番打者成績
まさかの4位に終わった2019年シーズンの広島は打撃面で苦しんだ。チーム得点は721点から591点までダウン。強力打線を復活させるためにはどのような部分がポイントとなるのか、打順別データの観点から探っていきたい。
昨季の広島打線を振り返ると、やはり光るのは鈴木誠也が座る4番の攻撃力だ。
広島の4番打者OPS.962はセ・リーグでダントツ。12球団の全打順で見てもヤクルトの3番(OPS.920)を大きく上回ってトップだった。東京五輪でも、日本の4番を打つことが濃厚な鈴木が球界トップクラスの打者であることは自明のことだが、改めて数字で見るとその存在の大きさがわかる。
・鈴木誠也:4番出場時(476打席)
打率.336/出塁率.454/長打率.568/22本塁打/OPS1.022
鈴木を中心に前後をどう並べていくかが焦点となるが、上位打線に関してはポスティング申請していた菊池涼介の残留で2番打者の目途は立った。この2、3年で、着実に経験値を積んでいる西川龍馬や野間峻祥、復活に賭ける田中広輔やそのライバルとなる2年目の小園海斗、さらにはルーキーでドラフト2位の宇草孔基も外野手レギュラー候補に挙がり、広島らしい足を使える上位打線候補は充実している。
5番・松山の復活が強力打線復活のカギに
では5番以降はというと、昨季の5・6・7番打者OPSはいずれもリーグ5位。鈴木以降の並びがなかなか固まらず、打線に迫力を欠いた。その結果、昨季の鈴木の敬遠数はリーグトップの12個と主砲が勝負を避けられる場面も目立った。下位打線の充実を図っていく中で、まずは5番打者の確立が最重要課題となるだろう。
クリーンナップの一角を担う器の選手として期待されていた中、昨季は悔しい結果になってしまったのが松山竜平だ。2018年は初めて規定打席に乗って打率.302・OPS.834・12本塁打を残し、5番打者としてリーグ優勝に貢献したが、昨季は夏場から復調したものの前半戦の不振が響きシーズン成績は打率.259・OPS.701・6本塁打。5番打者としての成績も194打席で打率.260・OPS.715・4本塁打に終わっていた。
広島の中軸候補は移籍2年目の長野久義、新外国人のピレラ、正捕手の會澤翼、また去就が未だ定かではないバティスタも含めて右打者が多い。その中で、左で長打のある松山がラインナップに欠かせない存在であることは間違いない。
現状、松山はキャンプ終盤に腰を痛めて一軍を離脱となってしまっている。開幕までに良い状態で戻ってこられるだろうか。V奪還のキーマンの完全復活をファンは心待ちにしている。
2020年プロ野球・広島東洋カープ記事まとめ