新外国人選手2人を獲得
DeNAは昨シーズン終盤戦に阪神らとの激戦を制し、2位でクライマックスシリーズへと出場した。その結果もあり、アレックス・ラミレス監督は続投。今年はDeNAとなってから初のセ・リーグ制覇を目指すことになる。
しかし、このオフシーズンは大きな戦力減があった。ポスティングシステムを用いて、筒香嘉智がタンパベイ・レイズへと移籍したのである。4番、そして主将としてチームを引っ張ってきただけにその穴はすぐに埋まるものではないだろう。
このオフのDeNAの補強をみると、新外国人の野手として、MLB通算33発のタイラー・オースティンを獲得。投手では先発候補で身長196センチと長身のマイケル・ピープルズを補強している。その他にはオリックスを戦力外となった高城俊人、育成契約の外国人選手を2人迎え入れた。
オースティンとピープルズには期待がかかるものの、外国人枠の争いもある。基本的には昨シーズンのメンバーを中心に戦うことになるはずだ。つまり、日本人選手の若手たちの底上げで、筒香を抜けた穴をどうにかしなければいけないのである。もちろん、ひとりでその穴を埋めるのは不可能に近い。数名の選手というよりは、全員のレベルアップが求められる。
外野手は候補が多数も細川成也、佐野恵太に期待
春季キャンプからオープン戦で熾烈な争いとなりそうなのが、筒香の抜けた外野の「1」枠争いである。昨シーズンのDeNA外野陣の出場試合数を見ると、左翼は筒香(101試合)、中堅は神里和毅(97試合)、右翼はネフタリ・ソト(81試合)がそれぞれのポジションで最多だった。
外野手のスタメン起用回数を見ると、100試合を超えて出場を果たしたのが筒香ただひとり。そもそもが激戦区だったわけだ。また、筒香とソトを除くと、複数のポジションを守っていることがわかる。ソトも二塁で起用されており、流動性は高く、外国人枠や内野の状況に応じて変化をつけることが可能な陣容で、これは強みのひとつでもある。
このオフシーズン、ラミレス監督は外野というくくりではなく、筒香に代わる4番候補としてソト、佐野恵太、伊藤裕季也、そして細川成也の名前をあげた。佐野(18試合)と細川(12試合)は左翼で出場しており、打撃面で結果を残すことができれば筒香の抜けた穴を埋める形になり、チームとしては理想的だ。
その一方で、復活を目指す桑原将志や梶谷隆幸といった、かつてのレギュラー陣も虎視眈々とその枠を狙っている。とくに梶谷は「アピールしなくてはいけない立場」とコメントしており、自分の立場をわかっている。1988年生まれで32歳のシーズンとなる梶谷は、外野争いの中では最年長。キャンプから全力でレギュラーを奪いにくるだろう。
細川や佐野といった若手と梶谷、桑原といった実績者たちの外野争いが熱い。
オースティンとピープルズは緊急時?
争いが激しくなりそうなのは筒香の抜けた外野手だけではない。2人の新外国人選手が加入したことによって、4枠の外国人選手枠争いも熾烈なものとなりそうだ。野手はホセ・ロペス、ソト、そしてオースティン。投手はスペンサー・パットン、エドウィン・エスコバー、そしてピープルズ。この6人で4枠を争うことになる。
現時点でラミレス監督は外国人枠の起用に関しては明言していない。筒香が抜けて、火力が低下した打線の力の代役として期待される佐野、細川そして伊藤らが力を発揮できれば大きな問題にはならない。しかし、そうならなかった場合はソトとロペスに加えて、オースティンが3人目の野手として一軍起用が考えられる。3人目の外国人野手としての昇格を狙うためにも、春季キャンプからのアピールは欠かせない。
一方の投手は中継ぎのエスコバーとパットンが枠を勝ち取るだろう。先発投手陣は比較的揃っており、ピープルズは緊急時の対応となりそうだ。ピープルズもオースティン同様の扱いが予想される。
とはいえ、シーズンは長い。外国人全員が怪我や不振もなく1年間を走り切ることは稀。また、今年はオリンピックによる中断期間もある。コンディション調整は例年よりもむずかしい。夏休みを与えるなどをしながら、臨機応変に起用していくことになりそうだ。
2020年プロ野球・横浜DeNAベイスターズ記事まとめ