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周東佑京以外にも活躍者はいる、開幕前に支配下登録を勝ち取った選手たち

2020 1/24 11:00勝田聡
福岡ソフトバンクホークスの周東佑京ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

昨年の周東佑京は開幕3日前に支配下登録

2月1日のキャンプインまで、2週間を切った。選手たちは思い思いの場所で自主トレに励み、準備を進めている。なかでも気持ちが入るのは育成契約の選手たちだろう。

現時点で支配下登録が70人を超えている球団はない。春季キャンプやオープン戦の結果次第では、開幕直前に支配下登録されるチャンスがあるわけだ。昨年も開幕直前に支配下登録された周東佑京(ソフトバンク)が、代走のスペシャリストとして大ブレイクをはたした。

11月に行われたプレミア12では日本代表にも選出され、終盤の切り札的存在になったことは記憶に新しい。そんな周東の支配下登録日は2019年3月26日だった。2019年の開幕戦は3月29日。つまり開幕の3日前だったわけだ。まさにシンデレラストーリーである。

さてそんな周東とまでは言わなくとも、春季キャンプが始まった2月1日から開幕までの間に支配下登録を勝ち取った育成契約の選手たちは、当該年度にどのような成績を残しているのだろうか。

過去5年を投手、野手ともに振り返ってみたい。

堂上剛裕は代打打率3割を記録

2015年から2019年までの5年間で、開幕前に支配下登録を勝ち取った野手は7名いる。

春季キャンプから開幕の間に支配下登録された野手の年度別成績ⒸSPAIA

昨年は周東が大活躍を見せたのは前述したとおりだが、その他に結果を残したのが堂上剛裕(巨人)だった。前年のオフに中日を戦力外となり、巨人に育成契約で移籍すると、春季キャンプで結果を残し支配下登録を勝ち取った。

その年は主に左の代打として起用され、代打では打率.300(40打数12安打)、2本塁打、7打点の成績を残している。代打安打は高橋由伸に次いでチーム2位だったが、2本塁打はアンダーソンと並んでチームトップタイの結果。代打で居場所を確保したのである。

その他の選手は苦しい成績が並ぶ。ヒメネス(楽天)と堀内汰門(ソフトバンク)は、一軍での出場機会を勝ち取ることもできなかった。

バリオスは17試合連続ホールドの日本タイ記録達成

一方で投手はどうだったのだろうか。

春季キャンプから開幕の間に支配下登録された年度の成績ⒸSPAIA

昨年は川原弘之(ソフトバンク)が、中継ぎとして19試合に出場。23.2回で14四球と制球面で苦しんだが、左の中継ぎとしてチームに貢献している。2018年には木下雄介(中日)が中継ぎとして14試合に登板し戦力となった。

しかし、ここ5年でもっとも戦力となったのは、当時ソフトバンクにいたバリオス(現:DeNA)だろう。17試合連続ホールドの日本タイ記録を作るなど、開幕から中継ぎ陣を支える投球を見せた。故障により辞退となったが、オールスターゲームのファン投票では中継ぎ部門で1位を獲得したほどだ。

川原、木下、バリオスの3人が支配下登録を勝ち取った年に戦力となっているが、その他の投手たちは結果を残すに至っていない。勝ち星、セーブ、ホールドを記録しているのもその3人しかいないのである。厳しい現実だ。

支配下登録された年に活躍できなくても、それ以降に花が開くケースもある。榊原翼(オリックス)である。2018年開幕前に支配下登録を勝ち取った榊原だが、その年は表にある通り目立った成績を残していない。

しかし、2019年になって先発ローテーションを勝ち取ると初勝利もマーク。シーズン半ばまでは防御率ランキングの上位にも顔を出していた。残念ながら、故障で1年間を全うすることはできなかったが、今年もローテーション入りを期待されている有望株だ。

このように開幕前に支配下登録を勝ち取ったからといって、だれもが周東のようなシンデレラストーリーを駆け上がるわけではない。一軍に昇格し、出番を勝ち取ることだって難しいのである。

はたして今年は何人が支配下登録を勝ち取り、その後一軍で結果を残すことができるのだろうか。育成契約選手たちの勝負の場、春季キャンプはもうすぐだ。

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