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2010年代のソフトバンクは驚異の日本一6回、12球団唯一の負け越しなし

2020 1/16 11:00勝田聡
福岡ソフトバンクホークスの工藤監督ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

12球団唯一、負け越しがなかった2010年代

ソフトバンクは2010年代に圧倒的な強さを見せた。10年間の内、半分の5シーズンでリーグ優勝。日本一には6回も輝いている。平均順位を見ても1.8位、勝率.583はともに12球団でトップの数字である。

2013年の1シーズンだけBクラスに沈んだが、その年も73勝69敗2分(.514)と勝率は5割を超えていた。10年間で1度も負け越しがなかったわけだ。これは12球団で唯一でもある。

表1_2010年代のソフトバンクⒸSPAIA


現在は2009年から11年連続で勝ち越し中。2リーグ制以降でチームの歴史(前身球団含む)をさかのぼってみると、11年以上連続で勝ち越しているのは1950年から1966年の17年連続の一度だけ。チームの最長記録にどこまで迫れるのか注目である。

巨人以来2球団目となる6球団を破っての日本一

ソフトバンクは2010年代に6度の日本一に輝いているが、日本シリーズ出場回数も6回。つまり、日本シリーズに出場したすべての年で日本一になった。また、偶然ではあるが、その6回すべて異なるチームとの対戦だった。戦い方や特色の違うチームとの対戦で全て日本一となり、そのうえで残した通算成績24勝8敗1分、勝率.750は圧倒的と言える。

異なる6チームを破っての日本一は難易度がかなり高い。自チームが強く日本シリーズに出るのは当然だが、その上、異なるチームに勝ち上がって来てもらわなければならない。半分は他力本願となる。日本シリーズの歴史を振り返ってみても、ソフトバンクの他に異なる6球団に勝利して日本一に輝いたのは巨人のみだ。

そもそも日本一を6回以上成し遂げているのが、巨人と西武、そしてソフトバンクだけ。ちなみに西武は阪神に勝利しての日本一がない。1985年に対戦はしたが、ランディ・バースらの活躍の前に敗れ去っている。

日本一6回の偉業を2010年代という短い期間で成し遂げたのは驚異的だろう。

<ソフトバンクの2010年代日本シリーズ成績>
※()は対戦相手

2011年:4勝3敗(中日)
2014年:4勝1敗(阪神)
2015年:4勝1敗(ヤクルト)
2017年:4勝2敗(DeNA)
2018年:4勝1敗1分(広島)
2019年:4勝0敗(巨人)

通算:24勝8敗1分 勝率.750

5度の優勝も2度はゲーム差なし

2010年代の5度のリーグ優勝のうち、苦しんだのは2010年と2014年だった。ともに2位とのゲーム差はなしで、勝利数で見ると2位チームに2勝の差をつけられている。また、勝率は小数点以下3桁(4桁目を四捨五入)では「.547」「.545」、「.565」「.563」でともに2厘差だが、小数点以下4桁(5桁目を四捨五入)で見ると、2010年が1厘3毛差、2014年が1厘8毛差となっており、ごくわずかの差で振り切っている。

表2_2010年代ソフトバンク優勝時における2位とのゲーム差ⒸSPAIA


2010年の大逆転劇は手に汗握るものがあった。9月16日終了時点で2位だったソフトバンクは残り6試合で首位の西武とのゲーム差は3.5。残り試合を考えると絶望的な数字だったが、9月18日から行われた直接対決で3連勝しゲーム差0.5と追いすがる。そして、次のロッテ戦にも勝利し、2試合を残して首位に浮上。終盤戦での大逆転劇で首位に立ち、そのまま優勝を果たしている。

2014年はオリックスとのデッドヒートだった。首位のソフトバンクにとってレギュラーシーズン最終戦となった10月2日のオリックス戦。この試合でソフトバンクが勝てば優勝。一方のオリックスは、この試合に勝って、残り2試合で1分け以上なら優勝という天下分け目の一戦だった。その大一番でソフトバンクはサヨナラ勝ち。チームの最終戦でサヨナラ勝ちによる自力優勝はNPB史上初のことだった。

リーグ優勝時は圧倒的な強さを誇っている印象が強いソフトバンクだが、5度のリーグ優勝のうち、2度は僅差の戦いだったのは意外かもしれない。はたして2020年代はどのような戦い方を見せてくれるのだろうか。

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