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DeNAの新助っ人T・オースティンを分析 長打力はMLBでも一級品だが…

2019 12/11 06:00棗和貴
DeNAに加入するT・オースティンⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

DeNA新助っ人T・オースティンは筒香の穴を埋められるか

11月15日、DeNAはタイラー・オースティンと契約に合意したことを発表した。オースティンは、ニューヨーク・ヤンキースやサンフランシスコ・ジャイアンツなどで活躍した28歳。右投げ右打ちで、ポジションは主にファーストだが、レフトとライトも守ることができる。

オースティンには、来シーズンからMLBに挑戦することを発表した筒香嘉智の穴を埋める活躍が期待されている。オースティンの加入で、DeNA打線の主軸が右打者ばかりになってしまう懸念はあるが、きっとメジャー通算33本塁打の新助っ人がラインナップに厚みをもたらしてくれるだろう。

そこで、今回はオースティンがどのような選手なのか紹介したい。

超メジャー級の長打力

タイラー・オースティンの魅力は、なんといってもその長打力にある。だが、成績だけを見ると、2016年のメジャーデビューから4年間で33本塁打というのは決して多いと言える数字ではない。注目すべきは、オースティンのスラッガーとしての素質である。

メジャーリーグでは現在各球場にトラッキングシステムが導入されており、選手一人ひとりの動きや投球・打球は、細かくデータとして表れている。ピッチャーの投げる球の回転数や、外野手がどれだけ一直線に打球を追っているかなど、トラッキングシステムがもたらしたデータによって、結果の数字ではなくプレーの質によって選手を評価できるようになった。

オースティンの長打力は、トラッキングシステムによってもたらされたデータによって証明することができる。現在MLBでは「バレル(Barrel)」という指標がよく使われている。バレルとは、ホームランになりやすい打球速度と打球角度の組み合わせのことであり、例えば99マイル(約159キロ)の打球が25度から31度の角度で飛べば、その打球はバレルと言える。100マイル(約161キロ)であれば、24度から33度とより広い角度でもホームランになる確率が高いとされている。

オースティンは、このバレルの割合がMLBの並み居るスラッガーの中でも優れているのである。2019年、オースティンは50以上打撃イベント(BBE)があった478人のメジャーリーガーの中で、バレルの割合(Brls/BBE)が12位の15.9%だった。つまり、オースティンが放つ打球の約6回に1回はホームラン性の当たりだということである。この割合は、ナ・リーグのホームラン王でMLBの新人ホームラン記録を更新したピート・アロンソ(15.8%)や、40本塁打&40盗塁が目前だったロナルド・アクーニャJr.(15.0%)よりも高い。

課題は三振率

バレルの割合(Brls/BBE)を見る限り、タイラー・オースティンは当たれば飛ぶということがわかる。ただ、問題は彼のバットになかなかボールが当たらないということだ。

2019年シーズン、オースティンの三振率(K %)は150打席以上のメジャーリーガーのなかでワースト5位の37.4%だった。特に変化球への対応が悪く、スライダーやカーブといったブレイキング・ボールの空振り率(Whiff%)は49.5%、フォークやチェンジアップといったオフスピード・ボールの空振り率は52.8%だった。

とは言え、今シーズンの筒香嘉智も空振りが多かった(三振数、三振率ともに12球団でワースト5位)。その穴を埋めるのだと考えれば、三振を恐れてこじんまりしてしまうより、当たれば飛ぶという怖さの方がよっぽど大切に思える。