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ジョンソン、ブキャナン、ハフらチームに溶け込む「ナイスガイ」

2019 5/10 07:00勝田聡
セットアッパーとして活躍する阪神・ジョンソンⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ジョンソンはいつでも仲間へ感謝

今シーズンも多くの外国人選手たちがプロ野球で活躍している。すでに実績がある2年目以降の選手もいれば、今シーズンから加わった新しい選手も当然いる。

外国人選手といえば、豪快、破天荒、気性が荒いといった性格的な要素で取り上げられることもある。しかし、今シーズン活躍している外国人選手は、そのイメージとはかけ離れた、まさしく「ナイスガイ」と呼びたくなるような選手も多くいる。

そのひとりが阪神のピアース・ジョンソンだ。頭文字を取って「PJ」とも呼ばれる助っ人右腕は、開幕からセットアッパーとして起用されている。

役割上、大事な場面での起用が多く1点を失ったら、チームの敗戦にも直結する緊張感の中、16試合連続無失点を記録するなどまさに鉄壁の存在だ。

ジョンソンは150キロを超えるストレートを豪快に投げ込むわけでない。球速は140キロ台ながら、ストライクゾーンの四隅を狙うコントロールで三振を量産している。

そのジョンソンはおごることなく、「守ってくれるみんな、リードしてくれる梅野(隆太郎)に感謝したい」とも語り、捕手をはじめとしたチームメートに感謝の気持ちをいつも述べる。

「成績よし、性格よし」のまさに優良助っ人。リリーフ陣を支える存在は上位浮上のためにも欠かせないことは間違いない。これからも注目しておきたいひとりである。

信頼関係抜群!ヤクルトのブキャナンとハフ

ヤクルトにも同じようにナイスガイと呼びたくなるような外国人選手がそろっている。そのひとりがデービッド・ブキャナンである。今シーズンは開幕から出遅れ、4月末まで白星はなく、5月6日の阪神戦でようやく1勝目をマークした。

その試合でブキャナンは4対0と4点リードで迎えた6回に2点を失い、なおも2死二塁とピンチは続く。「あと一人だけ投げさせてくれ」とでも言っているかのような、人差し指を立てるジェスチャーを見せるが、無情にも投手交代。

しかし、決してふてくされているような態度を見せることはなかった。ベンチに戻ってからは、後を受けたデーブ・ハフの投球を見守り他の選手とともに応援。その姿は「わがまま」とはまさに正反対の行動だった。

それに応えるかのようにハフは後続を断ち、ブキャナンの今シーズン初勝利につなげた。ヒーローインタビューでは、ハフからバケツいっぱいの水を浴びせられた。それほどの信頼関係があるということだろう。

ブキャナンは昨シーズン、「ラリーキャップ」(逆転を祈願する願掛け)をチームメートとともに行い、輪の中に溶け込んでいたことも記憶に新しい。国籍の垣根を超えて、まさに一体となっていたのである。

中継ぎのハフもことあるごとに味方選手の好プレーへ、大きなリアクションで感謝を表している。BB/9(1試合にいくつの四球を与えるかを表す指標)は3.79と決してよくはなく、塁上をにぎわすことも多くある。しかし、後ろで守る仲間を信じ、臆することなく力強い投球を続けている。

また、守護神や8回を任されるセットアッパーではないため、役割上仕方ないが、ブルペンで肩を作る回数は他の投手と比べると明らかに多い。もちろん肩を作っても登板する機会が訪れないこともある。しかし、そのような状況でもチームを鼓舞する姿は変わらない。その献身的な行動には頭が下がるばかりである。

チームを上位争いへ導くためには、こういった性格面も優れている存在が非常に大事となってくる。成績面だけでなく、精神的な面でも影響を与えてくれる「ナイスガイ」な助っ人外国人選手にこれからも注目だ。

※数字は2019年5月8日終了時点