「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

二塁手・三塁手の台頭が不可欠 18年の課題から見る今季開幕<日本ハム編>

2019 5/6 11:00青木スラッガー
イメージ画像ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

積極補強で臨む日本ハムが18年から持ち越した課題は

開幕から1か月が経過し、徐々に各チームの戦力が鮮明になってきた。ここまでの戦いぶりを振り返るうえで、ひとつ注目したいのが、今季のチームは2018年シーズンのチームと比較し、どれだけ進化しているのかという点。“弱点”とされていたポイントを克服できているかどうかが、そのわかりやすい指針となるだろう。

そこで「2018年シーズンに生まれた課題に対して、今季はどのような動きがあったのか」という視点から、各チームの開幕1か月を見ていきたい。今回はオフに台湾の4割打者・王柏融ら大物選手を多数獲得し、戦力を上げて臨んできている日本ハム編。

二塁手の打力に課題 三塁手も大砲のレアードが退団

昨季の日本ハムは74勝66敗、勝率.529の3位。5位(60勝83敗)に低迷した前年から巻き返しを見せるシーズンになった。前半戦終了までは何度か西武に肉薄。西武やソフトバンクのような爆発力はなかったが、チーム防御率(3.77)はリーグ2位、チーム得点(589)はリーグ3位と、バランスの良い戦力を築いた。

特に優秀だったのはリーグダントツの救援防御率3.17を残したリリーフ陣。今季は秋吉亮らの加入でさらに盤石な継投が期待できる。ただ、近年のプロ野球は多少投手が不安定でも打ち勝って優勝するのがトレンドだ。そこで打撃面に焦点を当てると、どのポジションにも好打者を置けた西武・ソフトバンクに対し、日本ハムは二塁手の打力がウィークポイント。その分で下位打線の厚みに差がついた。

2018年の日本ハム二塁手成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


また、三塁を守る主軸として4年間活躍したレアードがオフに退団。王の加入で外野、指名打者は充実したが、内野の2ポジションは若手の成長にかける形で今季の開幕を迎えている。言い換えれば、若手に期待が大きいからこそレアードを手放したと見ることもできるが、開幕から1か月の戦いで二塁手と三塁手はどのような起用になっただろうか。

横尾不調、渡邉出遅れで課題を払拭できず

三塁手は、4年目の横尾俊建のスタメン出場が続いた。開幕スタメンは今季から三塁挑戦の淺間大基が掴んだが、打撃・守備ともに結果を残せず15日に二軍落ち。しかし、横尾もまだ調子が上がってきていない。昨季は193打数で9本塁打とパワーを発揮した右の長距離砲候補。2割少しの打率は昨季と変わらないが、1か月でノーアーチは少し心配だ。

2019年の日本ハム二塁・三塁出場選手成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


一方の二塁手は1人の選手に固定する方針は見られず、多くの選手がスタメンを経験している。開幕スタメン入りした石井一成は1か月でヒットを出せず、ヤクルトからトレード加入の谷内亮太ら他の二塁手もなかなかスタメンを勝ち取るほどの成績を残せていない。

ただ、4月下旬に入って渡邉諒が調子を上げてきた。昨季は後半戦に出場機会を増やして161打数で7本塁打をマークした6年目のドラ1。怪我で少し開幕に出遅れたが、本来なら最もレギュラーに近い選手だった。このまま良い流れに乗っていけるかどうか。

強みのブルペンに綻び ますます野手の踏ん張りが必要な状況

1か月終了の時点では、懸念されていた二塁手・三塁手の打力はまだチームのウィークポイントとして残っている。期待されている横尾、渡邉がレギュラーに定着し、その課題を埋めていけるのか注目していきたい。

それがなければニューヒーローの登場に期待していかなくてはならない。昨季まで一軍での出番がほとんどなかった選手に注目すると、4月最後の試合で三塁手として今季初スタメンを飾った4年目の平沼翔太は出場機会を増やしている。レギュラー候補のダークホースとしておもしろい存在になってくる可能性もありそうだ。

ここまで野手の二塁手・三塁手に絞って日本ハムの開幕1か月を振り返ったが、最後に投手陣の方にも目を向けると、新外国人のハンコックや昨季好投した浦野博司が打たれ、守護神の石川直也が二軍調整中。強みだったはずのブルペンが新たな課題となってきている。ますます野手の踏ん張りが必要な状況だ。