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1番・牧原の打撃復調でソフトバンクの課題解決なるか 18年の課題から見る今季開幕

2019 5/4 11:00青木スラッガー
野球ボール
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故障者続出も首位で4月を終えたソフトバンク 18年から持ち越した課題は

開幕から1か月が経過し、徐々に各チームの戦力が鮮明になってきた。ここまでの戦いぶりを振り返るうえで、ひとつ注目したいのが、今季のチームは2018年シーズンのチームと比較し、どれだけ進化しているのかという点。“弱点”とされていたポイントを克服できているかどうかが、その目安となるだろう。

そこで「2018年シーズンに生まれた課題に対し、今季はどのような動きがあったのか」という視点から、各チームの開幕1か月を見ていきたい。今回は故障者続出の非常事態にもかかわらず、豊富な選手層でカバーし、4月を首位で終えたソフトバンク編。

昨季は202本塁打記録するも、1・2番打者に西武打線との差が

昨季はリーグ2位ながらCSを勝ち進んで日本一を達成したソフトバンク。レギュラーシーズンでも前半戦は5割そこそこの勝敗で折り返したものの、最終的に22の貯金をつくる怒涛の追い上げを後半戦で見せた。

チーム成績を見ると、202本を数えたチーム本塁打が目を引く。強力打線の西武をも上回って12球団最多を記録した。しかし、西武の792得点に対してソフトバンクは685得点と、得点では100以上の差をつけられた。

その要因のひとつに考えられるのは出塁率だ。両チームの長打率はあまり変わらないが、出塁率は西武.352、ソフトバンク.326と3分近く開いている。特に、攻撃の起点となる「1・2番打者」に大きな差があった。秋山翔吾(出塁率.403)、源田壮亮(出塁率.333)を並べた西武に対し、ソフトバンクはここを固定できず。中軸の破壊力をより活かすために、1・2番をどう組むかが今季に持ち越した課題といえそうだ。

1・2番に入ることが多かった今宮健太、上林誠知はパンチ力が魅力で機動力もあり、小技も使える好打者だが、常勝軍団の上位打線としては出塁率が物足りないところだった(今宮が.316、上林が.315)。ただ、後半戦は俊足の牧原大成が主に1番打者として打率.317、出塁率.341の好成績をマーク。トップバッター定着への期待が高まりつつ、シーズンを終えた。

今季は2番今宮が4月6本塁打の絶好調も…

今季ここまでのソフトバンクは、4月終了時点でチーム防御率2.59という圧倒的な数字を残し、投手の力で勝ってきている。打者は柳田悠岐、中村晃、グラシアルらを欠き、本来のラインナップには程遠いが、昨季課題となった1・2番タイプの打者に故障者はいない。ここに入った打者はどのような貢献を見せているのだろうか。

1、2番打者成績

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開幕スタメンは1番・牧原、2番・今宮の二遊間コンビ。昨季ブレイクした牧原が9年目でプロ初の開幕スタメンを掴んだ。しかし、開幕1か月は打率.234、出塁率.246と昨季の勢いがストップ。それでも1番打者として起用され続け、首脳陣の高い期待が伺えるところだったが、28日の試合で腰に違和感を訴えて途中交代。翌日の試合では今季初めてスタメンを外れ、コンディション面の不安も露わになった。

一方、今宮は4月だけで昨季本数の半数以上となる6本塁打をマークするなど絶好調だ。出塁率も.379と上位の打者として申し分ない数字を残している。相次ぐ主軸の離脱により19日から3番を打つようになったが、柳田らの復帰次第で2番に戻ってくるだろう。今宮の好調がこのまま続けば、課題となっていた1・2番の半分は解決されたことになる。

釜元、周東、三森が存在感示す

2人のほかでは、釜元豪、周東佑京、三森大貴と俊足が売りの3人が存在感を示している。釜元は8年目でプロ初本塁打を放ち、育成から昇格したばかりの周東はすでに3盗塁。20歳の三森は3割を超える打率を残している。周東、三森はこれが一軍デビューだが、堂々のプレーぶりだ。

開幕直後の戦いからソフトバンクの課題「1・2番打者」の動きを総括すると、2番打者として実績豊富な今宮の好調は非常に大きい。まだ結果が出ていない1番打者は、牧原の状態次第で釜元、周東、三森が競争に加わってくる可能性もありそうだ。

昨季8年目でようやくレギュラーを掴みかけた牧原がその座を守り抜くのか、はたまた一軍で実績の少ない選手が奪うのか。その活躍がチーム力を大きく左右するトップバッターの行方に注目していきたい。