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2005年のロッテが平成パ・リーグ最強? 「得失点差」で見るパ・リーグ優勝チーム

2019 4/7 11:00青木スラッガー
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Ⓒゲッティイメージズ

得失点差から圧倒的戦力を誇ったチームを探る

平成の30年間で、いつのシーズンの優勝チームがパ・リーグで最も強かったのだろう。勝率で比較するのがシンプルだが、今回は得失点差に視点を置き比べてみたい。

この差が大きいほど、圧倒的戦力で1勝1勝を積み重ねたということになる。1989年からのリーグ優勝チームをランキング形式にし、更にトップ3に焦点をあてる。

3位:2011年ソフトバンク プラス199得点

3位は、プラス199得点の2011年ソフトバンク。2年連続リーグ優勝、2003年以来8年ぶりの日本一達成。これより黄金期に入り、2010年代で5度の日本一を達成。そして、その中で最も得失点差が大きかったのがこのシーズンだった。

2011年の福岡ソフトバンクホークスの成績,ⒸSPAIA

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交流戦はセ・リーグ全球団に勝ち越し、交流戦史上歴代最高勝率(.818)を記録。リーグ内どころか全球団に勝ち越して、史上初となる「完全優勝」を決めた。

このシーズンから“飛ばない”統一球が導入され、球界全体が極度の「投高打低」に陥り、どのチームも例外なく影響を受けた。ソフトバンクもチーム本塁打が前年の134本から90本へ減少している。だが、チーム打率は前年と同じ.267。平成のプロ野球で2位のチーム盗塁180個を成功させ、ボールが飛ばないぶん機動力を活かして点を稼いだ。

2011年の福岡ソフトバンクホークスの打者成績,ⒸSPAIA

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打者にも極端に数字を落とした選手はおらず、FA加入の内川聖一が打率.338で首位打者。本多雄一がキャリアハイの60盗塁で盗塁王を獲得。規定打席には届かなかったが、松中信彦も打率.308、12本塁打をマークして復活を果たした。

2011年の福岡ソフトバンクホークスの投手成績,ⒸSPAIA

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圧巻だったのは、平成のパ・リーグでトップのチーム防御率2.32を記録した投手陣だ。和田毅と杉内俊哉が防御率1点台に抑え、攝津正が14勝、ホールトンが19勝と、ダイエー時代の「ホークス4本柱」を彷彿とさせる強力先発陣が形成された。

リリーフも森福允彦、ファルケンボーグ、金澤健人が防御率1点台と強力で、すべてにおいてスキのないチームだった。

2位:2003年ダイエー プラス234得点

2位はプラス234得点、2003年のダイエーだ。2011年のソフトバンクホークス時とは真逆に、当時はボールが飛びやすかったとされ、球界全体で「打高投低」の傾向が強く、派手な点取り合戦が繰り広げられていた。そんな中、当時のダイエーは投打ともに圧倒的な戦力を誇った。

2003年の福岡ダイエーホークスの成績,ⒸSPAIA

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「ダイハード打線」と呼ばれた打線は、プロ野球史上最高のチーム打率.297を記録。平成のパ・リーグで最高の1試合あたり5.8得点をたたき出し、打ち合いの時代を制した。中軸の松中信彦、城島健司、井口資仁、バルデスが100打点をマークし、プロ野球史上初の「100打点カルテット」が誕生した。

2003年の福岡ダイエーホークスの打者成績,ⒸSPAIA

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一方で上位打線は1番から順に村松有人、川﨑宗則、井口資仁が30盗塁以上を達成し、3人で合計104盗塁を決めている。

2003年の福岡ダイエーホークスの投手成績,ⒸSPAIA

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開幕時、野手陣に比べ有力な選手が少なかった投手陣だったが、そこに新戦力の台頭が重なった。斉藤和巳が8年目で覚醒し、当時の記録を塗り替える先発16連勝を挙げ20勝。絶対的エースに君臨し、そこに2年目の杉内俊哉、新人の和田毅、新垣渚がローテーションとして続いた。

チーム防御率3.94は現在の基準でいうと平凡だが、このときのパ・リーグはチーム防御率2位が近鉄の4.30というありさまで、ダイエー投手陣は頭一つ飛び抜けた戦力を有していた。

1位2005年ロッテ プラス261得点

トップは、プラス261得点の2005年ロッテ。リーグ最高勝率こそ逃したが、プレーオフから下剋上を達成し、日本シリーズでも阪神を圧倒して4連勝で日本一に立った。セ・リーグの得失点差トップは2002年巨人のプラス206得点となっており、ロッテのプラス261得点はダントツの数字だ。

2005年の千葉ロッテマリーンズの成績,ⒸSPAIA

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前述の2003年ダイエーに比べ、ロッテは投手陣の安定感が光った。15勝の渡辺俊介を中心に、清水直行、小林宏之、セラフィニ、久保康友、小野晋吾と、先発ローテーション投手全員が防御率3点台以下での10勝を達成した。

2005年の千葉ロッテマリーンズの投手成績,ⒸSPAIA

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さらに「YFK」と呼ばれた薮田安彦、藤田宗一、小林雅英の勝利の方程式も盤石で、先発の駒が揃い、終盤もしっかり締められる理想的な陣用ができていた。

2005年の千葉ロッテマリーンズの打者成績,ⒸSPAIA

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打撃陣は、フランコ、今江敏晃、福浦和也、李承燁、ベニーの5人が70打点以上を達成。中距離の好打者が多く、それを自在に組み替えて結果を出すバレンタイン監督の「日替わり打線」が猛威を振るった。

メインで4番を務めたのは打率.313、14本塁打のサブロー。盗塁王である西岡剛(41盗塁)の他に主要タイトルに絡む選手はいなかったが、好打者が下位まで並ぶことでつながりが良く、1試合平均の得点は平成のパ・リーグで7位となる5.4得点を記録している。

平成のパ・リーグ優勝チーム得失点差ランキング,ⒸSPAIA

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