「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

日本ハム清宮、ロッテ安田ら 和製大砲候補に待ち受ける外国人大砲との定位置争い

2019 3/7 07:00青木スラッガー
清宮幸太郎,ⒸYoshihiro KOIKE
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸYoshihiro KOIKE

「和製大砲候補」清宮と「外国人大砲」王柏融

若手の「和製大砲候補」が、最初に乗り越えなければならない壁が「外国人大砲」だ。これからはじまるシーズンで予想される、両者のポジション争いに注目してみたい。

将来の4番打者を期待される若手有望株が非常に充実している、現在のプロ野球界。筆頭はやはり清宮幸太郎(日本ハム)だろう。昨季は1年目の王貞治氏に並ぶ7本塁打を放ち、二軍ではイースタン・リーグ2位タイの17本塁打を記録。期待に違わぬ順調なスタートを切った。ただ、2年目のレギュラー獲得には強敵が立ちはだかる。

今季の日本ハムは台湾リーグから王柏融を獲得。「4割打者」が通り名だが、2017年には三冠王も達成しているスラッガーだ。昨季も一塁手と外野手に中田翔や近藤健介といったポジションが被る強打者が多かった清宮にとっては、さらに同じ左打者のライバルが増えることになった。

若手打者で注目度ナンバーワンの清宮といえど、じっくり打席を与えて育成……といった起用は考えにくく、常に結果が求められることになるだろう。ところが、3日のオープン戦で右手を骨折してしまい、開幕は絶望的な状況となってしまった。復帰まで3か月かかる見通しとのことだが、焦らず万全の状態で一軍の舞台に戻ってきてもらいたい。

ロッテ・安田、楽天・内田の前にも外国人大砲が

清宮世代のひとり、安田尚憲(ロッテ)もレギュラーを獲るには外国人大砲に勝たなくてはならない。日本ハムを退団した三塁手のレアードがロッテに入団。昨季の正三塁手・鈴木大地と三つ巴のレギュラー争いが予想される。打撃に加え、守備にも定評がある2人にどれだけ食い下がっていけるか。

昨季12本塁打をマークした内田靖人(楽天)や、イースタン本塁打王の和田恋(巨人)も「ブレイク間近」と目される楽しみな大砲候補だが、競争相手には外国人大砲の存在がある。

昨季の内田はペゲーロ、アマダーが離脱した時期に三塁手として出場機会を増やし、終盤戦の本塁打量産にこぎつけた。しかし、今季はマイナー通算169発のブラッシュが新たに入団。銀次、今江年晶のほか、ウィーラーも内田とポジションが被り、まだまだレギュラーが確約された立場ではない。

外野手の和田は、まずは重信慎之介、亀井善行、石川慎吾、松原聖弥ら日本人選手と、一軍ベンチ入りを争う。そこからレギュラーへ登り詰めるには、ゲレーロとの左翼手争いを制さなくてはならない。

昨季は不振だった2017年の本塁打王だが、今季は復帰した原辰徳監督の打撃指導もあり、ここまでは息を吹き返している様子。やはり手強い相手となりそうだ。

堂林ら中堅選手も外国人大砲とレギュラーを争う

外国人大砲に挑むのは若手だけではない。プロ10年目を迎える堂林翔太(広島)は、志願して一度は断念した三塁手に挑戦。安部友裕とともにかつての正三塁手同士でポジションを争う構図となる。さらにそこにもうひとり、昨季ウエスタン4冠王を達成した注目の外国人右打者メヒアが加わる。同じ右の三塁手として、一軍にとどまることができるのはどちらになるだろうか。

阪神の陽川尚将は、再び厳しいレギュラーへの道を歩むことになる。昨季は新外国人のロサリオが不振に終わったことで徐々に一塁手として出場機会を増やし、過去最高の299打席を記録。6本塁打・48打点を挙げる飛躍の1年になった。

だが、今季も一塁手には主砲候補の新外国人が入団してくる。大リーグでシーズン15本塁打を打ったこともあるマルテは、陽川と同じ右の強打者。補強した以上はマルテが優先的に起用されることになる可能性が高く、陽川としては昨季のように少ないチャンスをものにしていかなければならない。

どのチームも1人や2人はパワーヒッターの外国人打者を用意して、自前の育成だけでは間に合わない長打力を補っている。長打力を売りにこれから一軍で定位置を掴んでいこうとする日本人打者は、まずは彼らを押しのけていかなければならない。注目の「和製大砲候補」たちはその試練を乗り越えられるだろうか。