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戦力の新陳代謝が活発な日本ハム 野手・投手の年齢別成績を分析

2018 12/29 07:00SPAIA編集部
日本ハム,2018年,年齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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戦力の新陳代謝が活発な日本ハム 現在の「年齢別成績」を分析

戦力の入れ替えが激しく、FAやトレードなどで主力が退団しても、次々に若手が台頭してくる印象がある近年の日本ハム。2016年の日本一から主力が抜けた中で、2018年シーズンも夏場まで首位争いを繰り広げた。現在は非常に若いメンバーが主体という印象があるが、チームの年齢構成はどうなっているだろうか。今回は年齢別成績の視点から戦力を分析してみたい。

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近年のプロ野球選手の平均引退年齢は29歳前後となっている。若手・中堅・ベテランをどこで区切るかはスポーツによって異なってくるが、プロ野球の場合は29歳がひとつの分岐点といえそうだ。

そこで、29歳未満・以降を大きなくくりで「若手」と「ベテラン」に分けて考えてみる。さらにそれぞれを2つに区切って「23歳以下」「24歳~28歳」「29歳~33歳」「34歳以上」と4つの年齢層に区分(2018年シーズン一軍出場があった選手)。単純な出場機会だけでなく、各年齢層がどのくらいチーム成績に寄与していたのかインフォグラフィックで可視化してみた。

野手は生え抜き高卒入団の若手が中心

<主な野手>
■「23歳以下」
清宮幸太郎(19)
太田賢吾(21)
清水優心(22)
淺間大基(22)
石川亮(23)
渡邉諒(23)

■「24歳~28歳」
石井一成(24)
近藤健介(25)
松本剛(25)
横尾俊建(25)
西川遥輝(26)
杉谷拳士(27)
中島卓也(27)
アルシア(27)
大田泰示(28)

■「29歳~33歳」
中田翔(29)
レアード(31)

■「34歳以上」
鶴岡慎也(37)
田中賢介(37)
矢野謙次(38)

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野手は出場人数、打席ともに28歳までが全体の70%以上になる。打席数57%と、チームの中心となっているのは「24歳~28歳」だが、清宮幸太郎らの「23歳以下」も8人が出場。これは楽天と並んで12球団最多で、他球団に比べ多くの若手が一軍の打席を経験している。

「24歳~28歳」は大田泰示、中島卓也、西川遥輝、中島卓也、近藤健介のレギュラー格のほか、横尾俊建、松本剛、石井一成らがポジションを争う。「23歳以下」の渡邉諒、清水優心も2018年シーズンは大幅に出場機会を増やした。

ただし、本塁打と打点に関しては「29歳~33歳」の中田翔とレアード2人にかなりの割合を頼っている。20代の主力メンバーもまだ長距離砲として本格台頭している選手はおらず、レアードが退団した穴は大きい。獲得が決定した台湾リーグの4割打者・王柏融にも長打力の面で大きな期待がかかる。

年齢層が若いことに加え、生え抜きの高卒入団選手が非常に多いというのも特徴だ。「24歳~28歳」は近藤、松本、西川、中島、「23歳以下」は渡邉、清水、淺間らが該当。今年のドラフトも支配下の野手指名は2位の野村佑希ら3人が全員高校生である。

その育成方針は、2018年シーズンの清宮を見ればわかりやすいだろう。清宮ほど1年目から一軍の出場機会を与えられたのは淺間くらいだったが、高卒入団野手は二軍で1年目からしっかりした出場機会を与えられ、早い段階で一軍昇格も経験する。そうして同学年の大卒選手が入ってくる年齢では一軍の主力となっているケースが多い。ベテランが少ない日本ハムだからこそ可能な育成方針といえそうだ。

投手は野手以上に若手主体だが、大学・社会人出身選手が目立つ

<主な投手>
■「23歳以下」
北浦竜次(18)
堀瑞輝(20)
石川直也(22)
宮台康平(23)

■「24歳~28歳」
上沢直之(24)
上原健太(24)
井口和朋(24)
西村天裕(25)
加藤貴之(26)
有原航平(26)
公文克彦(26)
玉井大翔(26)
高梨裕稔(27)
ロドリゲス(27)
マルティネス(28)
鍵谷陽平(28)

■「29歳~33歳」
浦野博司(29)
トンキン(29)
宮西尚生(33)
村田透(33)

■「34歳以上」
石井裕也(37)

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投手も野手と同じく20代メンバーが大半。「34歳以上」の記録は石井裕也が引退試合で投げた1/3回のみ。28歳までが81%と、野手以上に極端な年齢構成となっている。

ただ、野手と異なるのは大卒・社会人出身選手が主力メンバーに多い点だ。先発ローテーションの高梨裕稔、加藤貴之、有原航平、リリーフの井口和朋、玉井大翔などが入団からすぐに活躍。シーズンを通して主力として投げた生え抜き高卒投手は上沢直之、石川直也くらい。投手は高卒を育成する野手とは対象的に即戦力で戦力を整える傾向にあり、そのため「23歳以下」の投球回数は全体の7%にとどまった。

役割別に投手の顔ぶれを見ると、先発投手が28歳までに集中している。2018年シーズン11勝をマークして大躍進した上沢直之と10勝のマルティネスのほか、高梨裕稔、加藤貴之、有原航平がメインでローテーションを回った。「29歳~33歳」は浦野博司、トンキン、宮西尚生と勝ちパターンのリリーフを多く出す形となっている。

リリーフ中心の「29歳~33歳」が防御率3.22を記録したのに対し、74%の投球回数を担った「24歳~28歳」の防御率は3.90。15先発以上の高梨、加藤、有原が防御率4.50に達し、上沢以外の日本人ローテーション投手は課題を残した。

彼ら若手先発陣の成長がチーム浮上の鍵となりそうだ。上原健太や「23歳以下」の堀瑞輝らの台頭も期待される。2014年の沢村賞投手・金子弌大の加入が若手投手たちにも良い刺激となるだろうか。

ここまで野手・投手の年齢別成績を見てきたが、やはりどちらも非常に若手の比重が大きい編成となっている。野手(打席)・投手(投球回数)ともに、28歳までの出場機会がチーム全体に占める割合は12球団で最も高い。まだ成長段階の選手を主力としており、伸びしろは計り知れないチームといえそうだ。

(本文:青木スラッガー)