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“若手台頭”と“大補強”の巨人 野手・投手の年齢別成績を分析

2018 12/30 07:00SPAIA編集部
巨人,2018年,齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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大補強を行った巨人の「年齢別成績」

2016年に高橋由伸監督が就任してからはついにリーグ優勝を果たせなかった巨人。しかし、2018年シーズンは岡本和真が躍進するなど、若手の成長が目立った1年でもあった。このオフは復帰する原辰徳監督体制の下、お家芸ともいえる大型補強が着々と進み、その若手たちは試練を迎えるが、現在のチームはどのような年齢構成で成り立っているだろうか。

巨人,2018年,齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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近年のプロ野球選手の平均引退年齢は29歳前後となっている。若手・中堅・ベテランをどこで区切るかはスポーツによって異なってくるが、プロ野球の場合は29歳がひとつの分岐点といえそうだ。

そこで、29歳未満・以降を大きなくくりで「若手」と「ベテラン」に分けて考えてみる。さらにそれぞれを2つに区切って「23歳以下」「24歳~28歳」「29歳~33歳」「34歳以上」と4つの年齢層に区分(2018年シーズン一軍出場があった選手)。単純な出場機会だけでなく、各年齢層がどのくらいチーム成績に寄与していたのかインフォグラフィックで可視化してみた。

「24歳~28歳」に野手のレギュラーは不在

<主な野手>
■「23歳以下」
岡本 和真(22)
吉川 尚輝(23)

■「24歳~28歳」
宇佐見 真吾(25)
大城 卓三(25)
山本 泰寛(25)
田中 俊太(25)
重信 慎之介(25)
吉川 大幾(26)
立岡 宗一郎(28)
橋本到(28)

■「29歳~33歳」
小林 誠司(29)
坂本 勇人(30)
陽 岱鋼(31)
ゲレーロ(32)

■「34歳以上」
長野 久義(34)
マギー(36)
亀井 善行(36)
阿部 慎之助(39)

巨人,2018年,野手,齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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2018年シーズンのチーム打撃成績はリーグ4位の打率.257、3位の得点625。岡本の覚醒、坂本勇人の復調、ゲレーロの加入など上積み要素がいくつかあった中、平均的な数字に落ち着いた。

年齢別成績を見ると、29歳以上が全体の61%の打席数を占めた。広島やDeNAなど10%以下にとどまる球団が少なくない「34歳以上」(32%)の割合は高く、ベテランが主体のチーム編成であることがわかる。

出場人数が多いのは28歳以下だ。特に「24歳~28歳」の選手が50%を占めた。しかし打席数の割合は20%となっており、これはこの年齢層に控えメンバーが集中していることを意味する。「23歳以下」は岡本、吉川尚輝がブレイクした一方、「24歳~28歳」でレギュラーといえる選手はいない。200打席以上は大城卓三、田中俊太の社会人出身ルーキーのみだった

「24歳~28歳」は本塁打7%、打点10%とチーム成績に対する割合が低い。またグラフから読み取れる情報以外でも、年齢層別打率は「23歳以下」.287、「24歳~28歳」.235、「29歳~33歳」.269、「34歳以上」.272という結果になった。

投手も29歳以降が主力 「24歳~28歳」の出場機会の少なさは野手と共通

<主な投手>
■「23歳以下」
髙田 萌生(20)
鍬原 拓也(22)
谷岡 竜平(22)
田口 麗斗(23)

■「24歳~28歳」
畠 世周(24)
中川 皓太(24)
今村 信貴(24)
アダメス(24)
メルセデス(24)
宮國 椋丞(26)
池田 駿(26)

■「29歳~33歳」
菅野 智之(29)
田原 誠次(29)
ヤングマン(29)
澤村 拓一(30)
吉川 光夫(30)
野上 亮磨(31)
山口 俊(31)
カミネロ(31)

■「34歳以上」
マシソン(34)
大竹 寛(35)
内海 哲也(36)
上原 浩治(43)

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投手陣はチーム防御率3.79・575失点。打高傾向が強かった2018年シーズンのセ・リーグで唯一の防御率3点台・失点500点台となった。四球(406)の少なさもリーグ内で群を抜いており、終盤に打たれて勝ちを逃した試合が多かったものの、全体的には優秀な働きをみせた。

安定した投手力は、野手陣と同様に中堅からベテラン陣が中心となって支えていた。29歳以上の投球回数64%は12球団で最も高く、特にエース菅野智之らが該当する「29歳~33歳」が61%の勝ち星を稼いでいる。

先発陣が集中すれば投球回数が多くなるのも当然だが、リリーフも澤村拓一、田原誠次、カミネロ、2018年シーズンは途中離脱となったがマシソンら中堅以降に主な名前がある。セーブ・ホールドは29歳以降が大半を記録しており、先発・リリーフともに中堅からベテラン勢が主力となっていた。

「23歳以下」には2018年シーズンは不振だったが2017年シーズンまで2年連続2桁勝利をマークした田口麗斗、二軍でタイトルを総なめした髙田萌生の名前もあり、若手に楽しみな存在がいないわけではない。

しかし「24歳~28歳」の層の薄さは野手陣と共通して目立つ部分だ。広島や西武、日本ハム、投手に限ってはソフトバンクと、現在好調のチームは生きのいい「24歳~28歳」が主力としてチームを引っ張っている。巨人は今後の世代交代がスムーズにいくかどうか、不安を感じさせるグラフの形ではある。

(本文:青木スラッガー)