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荒木、松井稼、本多も届かなかった通算400盗塁 糸井と西川は壁を破れるか

2018 12/23 07:00青木スラッガー
阪神糸井Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

荒木、松井稼、本多でも破れなかった通算400盗塁の壁

平成最後のシーズンとなる2018年のプロ野球は、例年以上に名選手の現役引退が相次いだ。選手たちの功績を振り返ると、複数名があと少しとしながら、わずかに届かなかった大記録がある。

今季は盗塁王獲得歴のある4人の韋駄天がユニフォームを脱いだ。NPB通算盗塁数の多い順に中日・荒木雅博(378盗塁)、西武・松井稼頭央(363盗塁)、ソフトバンク・本多雄一(342盗塁)、楽天・聖澤諒(197盗塁)。歴代最多1065盗塁の福本豊ら7名しか達成していない通算400盗塁へ、3人が近いところまで迫っていた。

NPB通算400盗塁が最後に達成されたのは1995年(大石大二郎)。21世紀に入ってからは達成者がひとりも現れていない。

近年最高のリードオフマンといっていいかもしれない赤星憲広も381盗塁で引退。2007年から4年連続パ・リーグ盗塁王に輝いた片岡治大も320盗塁まで。日米通算465盗塁の松井稼はメジャー挑戦前に306盗塁を決めていただけに、NPB通算400盗塁は現実的な目標だったが、日本球界復帰後はそれほど積極的にスタートを切らなかった。

静止した体勢から全力で地面を蹴り、約27.4メートルの塁間を3秒少しで一気に駆け抜ける盗塁は瞬発力が勝負だ。ベテランの年齢になってからも盗塁王を争える選手は中々いない。また、全力疾走の局面が多い俊足プレーヤーは、普通の選手よりも高い故障のリスクを抱えている。

上に挙げた近年の韋駄天たちは300盗塁まではあっさり達成した。しかしその後は走力の衰えや怪我で数字を伸ばせなかった。「400盗塁の壁」のようなものを意識せざるを得ない状況だが……来季以降も現役の選手はどうだろうか。

未だ衰え知らずの糸井、高い成功率誇る西川

今の時点で可能性を感じられるのは阪神・糸井嘉男と日本ハム・西川遥輝だ。

糸井は今季で15年目を終えて通算288盗塁。年齢を考慮すると残り112盗塁は難しいようにも思えるが、走力に未だ衰えは感じられない。35歳の2016年に53盗塁で史上最年長の盗塁王を獲得。このシーズンを含め、最近3年で96盗塁を成功させている。

糸井といえば、走塁面の前にまずはシーズン打率3割を8度達成している打力が売りのプレーヤーである。今季終了で通算打率.301・158本塁打。400盗塁以上と200本塁打を両立させたのは福本のみだ。400盗塁以上で通算打率が3割を超えた選手は1人もおらず、糸井はこのまま盗塁・打撃の両面で記録を伸ばしていけるか期待がかかる。

西川は8年目の今季、44盗塁で2年連続3度目の盗塁王を獲得。6月に通算200盗塁を達成し、シーズン終了で現役では糸井に次ぐ通算226盗塁としている。まだ26歳という年齢、レギュラー定着後の5年間はシーズン平均39.4盗塁を成功させているハイペースを考えると、400盗塁は通過点と思いたいところだ。

盗塁数の多さ以上に、西川が抜群なのは盗塁失敗の少なさだ。現在まで失敗は通算わずか33回で成功率87.3%。400盗塁以上で盗塁成功率の最高記録は広瀬叔功の82.9%だ。広瀬はシーズンの盗塁成功率最高記録95.7%も保持しているが、今季の西川は成功率93.6%と、そこへもあとわずかに迫っていた。

それぞれ歴代最高の打撃成績・成功率での大台到達が狙える糸井と西川。「400盗塁の壁」を破れるか、今後のさらなる盗塁量産に期待していきたい。