荒木、松井稼、本多でも破れなかった通算400盗塁の壁
平成最後のシーズンとなる2018年のプロ野球は、例年以上に名選手の現役引退が相次いだ。選手たちの功績を振り返ると、複数名があと少しとしながら、わずかに届かなかった大記録がある。
今季は盗塁王獲得歴のある4人の韋駄天がユニフォームを脱いだ。NPB通算盗塁数の多い順に中日・荒木雅博(378盗塁)、西武・松井稼頭央(363盗塁)、ソフトバンク・本多雄一(342盗塁)、楽天・聖澤諒(197盗塁)。歴代最多1065盗塁の福本豊ら7名しか達成していない通算400盗塁へ、3人が近いところまで迫っていた。
NPB通算400盗塁が最後に達成されたのは1995年(大石大二郎)。21世紀に入ってからは達成者がひとりも現れていない。
近年最高のリードオフマンといっていいかもしれない赤星憲広も381盗塁で引退。2007年から4年連続パ・リーグ盗塁王に輝いた片岡治大も320盗塁まで。日米通算465盗塁の松井稼はメジャー挑戦前に306盗塁を決めていただけに、NPB通算400盗塁は現実的な目標だったが、日本球界復帰後はそれほど積極的にスタートを切らなかった。
静止した体勢から全力で地面を蹴り、約27.4メートルの塁間を3秒少しで一気に駆け抜ける盗塁は瞬発力が勝負だ。ベテランの年齢になってからも盗塁王を争える選手は中々いない。また、全力疾走の局面が多い俊足プレーヤーは、普通の選手よりも高い故障のリスクを抱えている。
上に挙げた近年の韋駄天たちは300盗塁まではあっさり達成した。しかしその後は走力の衰えや怪我で数字を伸ばせなかった。「400盗塁の壁」のようなものを意識せざるを得ない状況だが……来季以降も現役の選手はどうだろうか。