「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ソフトバンクの黄金期はどこまで続くか?野手・投手の年齢別成績を分析

2018 11/18 07:00SPAIA編集部
ソフトバンク,年齢別成績,2018年,インフォグラフィック
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

ソフトバンクの選手年齢構成をインフォグラフィックで可視化

ソフトバンク,年齢別成績,2018年,インフォグラフィック

ⒸSPAIA

※表中の数値は小数点以下を四捨五入。年齢は2018年12月31日時点

2011年以降で5度目の日本一を達成したソフトバンク。現在のプロ野球界において、その立ち位置は「王者」といえるが、黄金期はどこまで続くのか。今回はチームの年齢構成を分析する。

ソフトバンクはCSで日本ハム、西武を破り、日本シリーズでは広島を4勝1敗1分けと圧倒した。このポストシーズンで対戦した3球団に共通するのは、若手主体のチーム構成であるということだ。

一方、ソフトバンクは特に野手に関して、内川聖一や松田宣浩をはじめベテランが主体。多くのレギュラーが過去の日本一を経験しており、ポストシーズンでは試合巧者ぶりが印象的だった。

しかし、野手の高齢化はじわじわと問題になりつつある。

2018年シーズン出場平均年齢(1試合でも一軍出場があった選手を対象)は野手29.7歳、投手28.3歳。ともに12球団で3番目に高く、平均年齢で見ても「大人のチーム」といえそうだが、実際に年齢層別の活躍度合いはどうだったか。

年度ごとで若干の違いはあるが、ここ数年のプロ野球選手の平均引退年齢は29歳前後となっている。

そこで29歳を基準に、今季一軍出場があった選手を「23歳以下」「24歳~28歳」「29歳~33歳」「34歳以上」と4つの年齢層に区分し、チーム成績における割合をインフォグラフィックで可視化、2019年シーズン以降を分析してみた。

野手高齢化 29歳以上の打席数は12球団で2番目の高さ

まずは2018年シーズン両リーグトップの202本塁打をマークした野手から見ていく。各年齢層の主な選手は以下の通り。

■「23歳以下」
上林誠知(23)

■「24歳~28歳」
甲斐拓也(26)
牧原大成(26)
今宮健太(27)
西田哲朗(27)
髙田知季(28)

■「29歳~33歳」
中村晃(29)
柳田悠岐(30)
福田秀平(30)
デスパイネ(32)
グラシアル(33)
明石健志(33)

■「34歳以上」
長谷川勇也(34)
川島慶三(35)
松田宣浩(35)
内川聖一(36)
髙谷裕亮(37)

ソフトバンク,年齢別成績,野手,2018年,インフォグラフィック

ⒸSPAIA

打席数は「29歳~33歳」40%、「34歳以上」24%と、やはり中堅からベテラン勢が多くを占めた。チーム打席数における29歳以上の割合64%は、12球団で中日(76%)に次いで2番目に高い。

23歳の上林がレギュラーとして608打席に立っているため、「23歳以下」の割合12%は高い部類に入るものの、「24歳~28歳」の24%は巨人(20%)に次ぎ、中日と並んで2番目に低い。ポストシーズンで対戦した3球団は「24歳~28歳」の割合がチーム内で最も高くなっており(日本ハム57%、西武50%、広島48%)、年齢構成は対照的だ。

安打などの各成績を見ても、中堅以降がチームの中心となっていることがわかる。特に柳田や中村らが該当する「29歳~33歳」は本塁打51%、四球52%など各部門で打席数の40%よりも高い割合を残した。

内川、松田らの「34歳以上」も盗塁以外は各部門で打席数の24%と同程度の割合がある。人数としても多い中堅からベテラン勢が、しっかり結果を残しているからこそ、現在の安定した強さがあるといえるだろう。

一方、今宮、甲斐らの「24歳~28歳」は打席数の24%に対して盗塁以外は各部門の割合が低くなった。特に本塁打と四球は「23歳以下」との合計がチーム全体の4分の一程度だ。単純な出場人数以上に、攻撃面では中堅からベテラン勢への依存が大きい形になっている。

投手は野手と対照的に若手が主体

■「23歳以下」
大竹耕太郎(23)
高橋礼(23)
モイネロ(23)

■「24歳~28歳」
武田翔太(25)
千賀滉大(26)
岡本健(26)
加治屋蓮(27)
石川柊太(27)
森唯斗(27)
東浜巨(28)
二保旭(28)

■「29歳~33歳」
嘉弥真新也(29)
岩嵜翔(29)
ミランダ(30)
バンデンハーク(33)

■「34歳以上」
中田賢一(36)
サファテ(37)
和田毅(38)

ソフトバンク,年齢別成績,投手,2018年,インフォグラフィック

ⒸSPAIA

投球回数は「24歳~28歳」が56%を占める。これは日本ハム(74%)、広島(57%)に次いで12球団で3番目に高い。「23歳以下」の13%はあまり高い方ではないが、それでも28歳以下の69%は12球団で4番目に高く、球界全体でも若い部類の年齢構成といえる。

「24歳~28歳」は先発ができる投手として武田、千賀、石川、東浜、リリーフには加治屋、森とバランスも良い。頭数は多くないが、「23歳以下」も大竹、高橋、モイネロと力のある投手がいる。

年齢層別の防御率は「23歳以下」4.04、「24歳~28歳」3.80、「29歳~33歳」3.47、「34歳以上」4.61。バンデンハーク、嘉弥真らの「29歳~33歳」が最もよかったが、28歳以下の防御率も決して悪くはない。

ここから2、3年が大きな転換点か

野手、投手それぞれの年齢構成を分析すると、投手の若手層が厚く、野手は年齢層が高いものの、まだ数年は活躍が計算できる33歳以下がチームの核となっている。すぐに低迷期が訪れるようなことは考えづらい。

2018年シーズンは牧原が夏ごろから二塁手のスタメンを掴み、甲斐、上林はここ2年ですっかりレギュラーに定着した。甲斐は日本シリーズMVPに輝き、上林は日米野球で活躍するなど、若手野手の活躍は印象的でもあった。

しかし、グラフで全体を俯瞰して見れば、28歳以下の野手層の薄さは無視できず、世代交代に苦労する予兆は明らかに見えてきている。

勝ちながら次の世代を育てることができるか。ここから2、3年は将来のチームにとって大きな転換点となるのではないだろうか。

(本文作成:青木スラッガー)