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選手分析「次期エースの新型カーブ」~日本ハム #15 上沢 直之~

2018 11/22 11:00データスタジアム
バッターⒸShutterstock.com

復活を果たした男、上沢直之

2014~18年:投手成績

昨季、前年に受けた右肘手術からの復活を果たした日本ハム・上沢直之。背番号を15に変えて臨んだ今季は、自身初となる規定投球回に到達し、チーム最多の11勝を挙げるエース級の働きを見せた。オフには日米野球の出場メンバーとして侍ジャパンのユニホームに袖を通した右腕が、躍進を遂げた要因に迫っていく。

2014~18年:球種別投球割合

注目したいのが、カーブの握りを変えたことだ。今季の上沢は、春季キャンプで人さし指を立てて握るナックルカーブを習得。開幕直後こそ従来のカーブと併用していたものの、5月以降はナックルカーブに一本化した。新たな握りに好感触を得たのか、上沢が前年から最も投球割合を増やした球種が、このカーブである。

被打率.167、決め球「ナックルカーブ」

2014~18年:カーブ奪空振り率

では、ナックルカーブの習得はどのような結果をもたらしたのか。まず挙げられるのが、バットに空を切らせる確率が格段に高くなったことだ。これにより、今季はカーブの奪三振数が前年の2個から38個に急増。最も多かったフォークの40個に肉薄するなど、決め球としても有効に機能した。

2014~18年:カーブゴロ割合

さらに、バットに当てられたとしても、角度がつきにくくなった。今季のカーブは打球に占めるゴロの割合が69.0%と、NPBでもトップクラスの数値を記録。昨季まではカーブで一発長打を浴びるケースが目立った上沢だが、今季はそのリスクを下げることに成功していた。

2018年NPB:カーブ被打率ランキング

空振りを奪うことにも、ゴロを打たせることにも秀でた、上沢の新たなカーブ。その威力は、被打率.167という数字からもうかがい知れる。春季キャンプからの短期間で絶対的ともいえるボールに磨き上げたのは、多彩な球種を操る彼の器用さゆえかもしれない。

来季もナックルカーブが猛威を振るうのか、あるいはさらなる新球習得があるのか。正真正銘のエース襲名に向け、真価が問われる上沢の2019年シーズンから目が離せない。


企画・監修:データスタジアム、執筆者:大島 甲子郎

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