セ・リーグを分析してみた(1イニングにおける得失点量)
前回同様、まずは1イニングにおける得点量から計算してみた。
これだとよく分からないので、1イニングあたり平均得点量(1点以上得点したイニングに限る)を計算してみよう。結果は以下のグラフの通りだ。
仮に9イニング連続で得点したとなると、広島とDeNAで約1点の違いが生まれる。広島と中日で約3点の違いなので、かなり大きな差だ。2017年の広島打線がいかに強力だったのかが分かる。
続いて1イニングにおける失点量を計算してみた。
同じく、1イニングあたり平均失点量(1点以上失点したイニングに限る)を計算する。結果は以下のグラフの通りだ。
パ・リーグ同様に、少し面白い結果になった。
阪神の総失点は528点、防御率は3.29でリーグ1位だが、1イニングあたりの平均失点量で見るとリーグ3位となる。防御率4.21でセ・リーグ最下位のヤクルトとあまり変わりない成績だった。
また、平均得失点量を合算すると、DeNAは-0.06点に対して、巨人は0.01点になる。両チームは勝ち星でたった1勝の差がしかないが、得失点量だけで見れば巨人のほうが優れているという結果になった。
パ・リーグの結果からも言えるが、やはり1試合あたり得失点の回数という「重み付け」が実は重要だとわかる。
セ・リーグを分析してみた(1試合あたり得失点回数)
今度は1試合あたりの得点回数を計算してみよう。その結果、「DeNA・巨人・中日・ヤクルト」と「阪神」と「広島」で3種類の傾向が現れた。
意外すぎる結果だが、完封負けがかなり少ないのは、DeNAと中日だった。
基本的に得点回数はどの球団も1回~3回に集中しているようだが、広島だけが突出して、4回、5回も多い。いかに強力打線だったかがわかる。
前回と同じように、平均得点回数も算出してみた。
巨人より中日の方が、平均得点回数が多いという結果になった。私は巨人=強力打線という印象が強いが、それは既に過去の話になっていた。
続いて1試合あたりの失点回数を計算してみよう。
圧倒的に巨人は完封数が多い。投手王国と名付けても良いかもしれない。投手力に関しては「巨人、阪神」と残り4球団という2つの傾向が現れた。
平均失点回数も算出してみた。
防御率3.39の広島より、防御率3.81のDeNAの方が1試合あたりの平均失点回数が低いという結果が出てきた。
回数と量に分けてみると、どの打者からでも得点が入るのか、稼ぎ頭が決まっているのか、先発・中継ぎ・抑えと揃っているのか、投手陣の駒が不足しているのか継投が下手なのかがよく分かる。
平均得失点回数×平均得失点量から分かるチームの特徴
平均得失点回数と平均得失点量の散布図をそれぞれ描くと、以下のようになる。
チームの打力を「打線が繋がる(≒得点量)」「どこからでも得点をあげる(≒得点回数)」だと定義すると、この2つの変数は比例する関係にあると思われる。
ちなみに、1イニングあたり得点量と総得点の相関係数は0.86、1試合あたり得点回数と総得点の相関係数は0.95だった。
中日のみ外れ値を示している。1イニングあたりの得点量がかなり少ない。もし平均レベルなら得点は+60点は増えており、巨人と4位争いをしてもおかしくなかった。
この点から中日の強化点は打者ではなく打「線」だとわかる。1人、2人のホームランバッターが居ても、打「点」にしかならないからだ。
一方、チームの投手力を「打者を抑える力が無い(≒失点量)」「先発・中継ぎ・抑えの駒が揃っていない(≒失点回数)」だと定義すると、この2つの変数は打力のように比例する関係にあるとは言えないだろう。
ちなみに、1イニングあたり失点量と総失点の相関係数は0.51、1試合あたり失点回数と総失点の相関係数は0.93だった。
どちらかと言えば、1イニングあたり失点量の方が関係無いのかもしれない。つまり、失点を減らすなら、1試合あたりの失点する回数を減らすより、大量失点をとにかく減らす方が効果的だとわかる。
以降は、今回調べた内容を端緒に、2018年シーズンを通して、どのようなチーム運営をすればペナントレース優勝、クライマックスシリーズ出場権獲得をできるのか、これからもデータを通じて分析していく。