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【選手分析】~広島 #21 中崎 翔太~ 「完璧を求めて」

2017 12/22 16:05データスタジアム
【選手分析】 ~広島 #21 中崎 翔太~ 「完璧を求めて」
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目標は「被本塁打ゼロ」

※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点

2015~17年:投手成績

 1979、80年以来となるリーグ連覇を果たした広島。歓喜の瞬間をマウンドで迎えたのは、今季も中崎翔太だった。
 故障による離脱で抑えの座を明け渡したが、5月23日の一軍復帰以降はセットアッパーとして活躍。シーズン終盤は守護神に返り咲き、59試合の登板で防御率1.40を記録した。
 「3年連続で活躍してこそ一人前」と、前年の契約更改会見で語った通りの成績を残した中崎。今回は、そのピッチングに迫っていく。

2015~17年:コース別投球割合

 直近3年はいずれも安定している中崎だが、今季はその配球に変化が見られた。コース別の投球割合を見ると、過去2年は内角に30%ほど投じられていたが、今季は11ポイント減少。
 一方で、外角への投球は62%と過去2年より増えている。

2015~17年:スライダー対左打者コース別投球割合

 特に変化が見られたのは、左打者へのスライダー。2年前は50%投じられていた内角が年々減り、逆に外角のスライダーは今季61%まで増加していた。
 右投手が左打者に対し、スライダーを外角に集めるのは一般的な傾向ではなく、何らかの意図があるものと推測される。

 そのヒントになりそうなのが、開幕前に中崎が掲げた「被本塁打ゼロ」という目標かもしれない。昨季の日本シリーズ第5戦では、日本ハム・西川に内角高めのストレートを弾き返され、痛恨のサヨナラ満塁弾を許した。
 この苦い記憶が、長打を浴びづらい外角への徹底を意識させた可能性がある。

2017年セ・リーグ:被打率ランキング

※登板数が30試合以上の投手を対象

 

 今季はその外角で被打率.165と、前年の.233から成績が改善。重点を置いた外角の好結果もあり、トータルの被打率.173とリーグの主な投手で最もヒットを許さなかった。
 年間被本塁打は昨季同様に2本で公約達成はならなかったものの、リーグ屈指の安定感を見せていたことは間違いない。来季の抑えは同僚の今村と競わせる、というチーム方針のようだが、この内容が続けば抑えを今村に譲ることはないだろう。

 今季オフの契約更改で1億円プレーヤーの仲間入りを果たした中崎。
 しかし、本人は現状に満足しておらず、来季も「被本塁打ゼロ」、「防御率0点台」というハードルを己に課した。完璧を追い求め、成長の歩みを止めようとしない25歳。コイの守護神はさらなる高みを目指し、急流を登り続ける。

 

企画、監修:データスタジアム、執筆者:雲瀬 亮太


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