2025年は5人の新監督が指揮
2024年のプロ野球が終了したが、今オフは監督交代が多い。阪神・藤川球児、中日・井上一樹、楽天・三木肇、オリックス・岸田護、西武・西口文也と5人の新監督が誕生した。
現役時代のポジション別に分類してみると、投手6人、捕手1人、野手5人。40代の監督も増え、2025年はこれまでと違った野球を見せてくれそうだ。
名将・野村克也氏はかつて「投手出身に名監督はいない」と話していたが、実際はどうなのだろうか。21世紀となった2001年から2024年まで監督の現役時代のポジション別成績を調べてみた。
当然ながら在任期間の戦力や監督個々の能力によるので一概には比較できないが、投手、捕手、野手の3つに分類し、それぞれの平均順位を算出した。セ・リーグは下の通りとなっている。
巨人・阿部慎之助は浅沼誉夫以来の捕手出身監督
巨人の阿部慎之助は、2代目監督として戦前に指揮を執った浅沼誉夫以来の捕手出身監督。就任1年目で見事にV奪回を果たした。投手出身も21世紀以降は堀内恒夫しかおらず、2年間で3位と5位。野手出身は長嶋茂雄、原辰徳、高橋由伸の3人で、原辰徳が17シーズン中9回も優勝しているため平均2.62位と高くなっている。
阪神は藤川球児が星野仙一以来の投手出身監督。捕手出身は野村克也と矢野燿大の2人で平均3.2位だった。野手出身は岡田彰布の第2次政権も含め、真弓明信、和田豊、金本知憲の4人が務め、2.59位と上々の成績を残している。
DeNAは投手出身の三浦大輔がクライマックスシリーズから勝ち上がって日本一に輝いたものの、2024年シーズンは3位。牛島和彦と尾花高夫も含めた平均順位は4.38位だが、それでも森祇晶と大矢明彦の捕手出身(5位)、山下大輔、中畑清、アレックス・ラミレスの野手出身(4.55位)よりわずかに高くなっている。
セ・リーグは野手出身監督が好成績
広島はセ・リーグで唯一、捕手出身監督がいない。投手出身で唯一指揮を執った佐々岡真司は3年務めて5位、4位、5位。山本浩二、マーティ・ブラウン、野村謙二郎、緒方孝市、新井貴浩の野手出身監督は平均3.95位となっている。
ヤクルトは野手出身4人のうち、若松勉と真中満が1度ずつ優勝しているが、平均3.59位とそれほど高くない。投手出身の高津臣吾はリーグ連覇を果たしたものの、残りの3シーズンが6位、5位、5位のため平均では3.6位。選手兼任で指揮を執った古田敦也は3位と6位だった。
ポジション別では中日が最も極端な結果となっている。投手出身が星野仙一、山田久志、森繁和、与田剛の4人で平均4.13位。捕手は谷繁元信が4位、5位、6位だったが、落合博満が8年間で4度も優勝し、全てAクラス入りしたため、立浪和義が3年連続最下位に終わっても野手は平均2.85位と高くなっている。
セ・リーグ6球団を総合すると、投手出身監督が平均4.64位、捕手出身監督が平均4.33位、野手出身監督が平均3.42位。数字上は野手出身監督が好成績を収めている。
2025年は投手出身が阪神・藤川球児、DeNA・三浦大輔、ヤクルト・高津臣吾の3人。捕手出身は巨人・阿部慎之助、野手出身は広島・新井貴浩、中日・井上一樹の2人となっている。それぞれの監督がどのような采配を見せるのか見ものだ。
ソフトバンク工藤公康は7シーズンで平均1.86位
続いてパ・リーグを見ていこう。
ソフトバンクは投手出身の工藤公康が7年間で3回優勝して平均1.86位。野手出身も王貞治、秋山幸二、藤本博史、小久保裕紀と4人いるが、平均2.35位と好成績だ。
日本ハムは投手出身監督はおらず、捕手出身の梨田昌孝は4年間で平均2.5位と高い。野手出身の大島康徳、トレイ・ヒルマン、栗山英樹、新庄剛志の4人は平均3.8位となっている。
ロッテは唯一投手出身の吉井理人が2年連続Aクラスで平均2.5位。捕手出身の伊東勤が5年間で平均3.8位、野手出身の山本功児、ボビー・バレンタイン、西村徳文、井口資仁の4人も平均3.82位でほとんど変わらない。
パ・リーグは投手出身監督が好成績
楽天は球団創設の2005年から20年間ですでに10人が監督を務めている。投手出身は星野仙一と石井一久の2人で平均3.86位
、捕手出身が野村克也、大久保博元、梨田昌孝の3人で平均4.63位、野手出身が田尾安志、マーティ・ブラウン、平石洋介、三木肇、今江敏晃の5人で平均4.6位となっている。
オリックスは12球団最多の12人が監督を務め、中嶋聡が就任するまで全員野手出身で平均4.9位だった。しかし、捕手出身の中嶋聡がリーグ3連覇を果たすなど平均2位に押し上げた。
西武は投手出身が東尾修、渡辺久信の2人で平均2.43位、捕手出身の伊東勤は平均2.75位と優秀。しかし、近年の低迷が響き、伊原春樹、田邊徳雄、辻発彦、松井稼頭央の野手出身4人は平均3.31位と順位を落としている。
パ・リーグ6球団トータルでは、セ・リーグとは逆に投手出身が平均2.70位で最も高く、捕手出身が平均3.68位、野手出身が平均3.75位となっている。
2025年は投手出身がロッテ・吉井理人、オリックス・岸田護、西武・西口文也の3人、捕手出身は不在で、野手出身がソフトバンク・小久保裕紀、日本ハム・新庄剛志、楽天・三木肇の3人。パ・リーグでは好成績を収めている投手出身の新監督2人に注目だ。
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