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【ドラフト通信簿】パ・リーグは5球団競合制した楽天が最高評価、低評価となった球団は?

2024 10/27 07:00SPAIA編集部
パ・リーグの指名選手,ⒸSPAIA
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野手中心の西武、投手中心のオリックス

関西大・金丸夢斗が4球団、明治大・宗山塁が5球団競合と、投打の目玉2人に人気が集中した今年のプロ野球ドラフト会議。支配下では69人、育成指名では54人、計123人がNPBへの切符を掴んだ。

今回はチームの補強ポイントに適した選手を指名できたのか、SPAIA編集部が独自の視点でパ・リーグ各球団のドラフトを評価した。

【2024年ドラフト指名選手一覧はこちら】

【西武】評価:B
得点力不足が課題の西武は野手中心のドラフトとなった。1位指名では即戦力遊撃手の明治大・宗山塁に初回入札したが、5球団競合の末に交渉権を得られず。再入札した花咲徳栄高・石塚裕惺も巨人と競合して抽選を外した。結果、再々入札で金沢高・齋藤大翔の交渉権を獲得。超高校級の守備が魅力の遊撃手で、現レギュラーの源田壮亮の後継者にふさわしい素材の指名に成功した。

2位では1位候補にも挙がっていた大商大・渡部聖弥、4位で日本経済大・林冠臣と2人の大学生外野手を指名し、レギュラー不在が続く外野手の好素材も確保。即戦力リリーフを確保できなかったのはマイナスだが、西口文也新監督のもと動き出したチーム再建への第一歩としては、満足のいく結果だったのではないだろうか。

【オリックス】評価:B
1位ではロッテと競合した青学大・西川史礁を外したが、走攻守3拍子揃った富士大・麦谷祐介を指名。1年目から外野レギュラー争いに加わることが期待される。2位の日体大・寺西成騎は総合力が高く、1年目から先発・リリーフ双方で活躍期待の素材だ。下位指名では、例年通り社会人の即戦力リリーバーを2人確保した。

支配下での野手の指名は2人のみ。今季貧打に泣いたチーム状況を考えるとやや物足りなく感じるが、今季不振だった選手たちの巻き返しに期待といったところだろうか。4位まで高校生を指名した昨年のドラフトとは打って変わって、大学生・社会人中心の手堅い指名となった。

【楽天】評価:A
1位では5球団競合の宗山の当たりくじを引き当て、不動の遊撃手としてはもちろん、打撃面でも将来的に中軸を担える可能性のある逸材の獲得に成功。2位以下では環太平洋大・徳山一翔、四国IL・徳島の中込陽翔、日鉄ステンレスの江原雅裕と力のある即戦力投手を確保した。

2位の徳山は左肘痛で4年春は未登板だったが、本来の実力はドラフト1位の投手たちと遜色ない素材。5位の早稲田大・吉納翼まで含め、予定通り即戦力中心の指名に成功し、事前の想定以上となる大満足のドラフトだったのではないか。

補強ポイント埋めたロッテ、育成次第の日本ハム

【ロッテ】評価:B
昨年のドラフトでは抽選で3連敗したロッテだったが、今年はオリックスと競合の末、大学球界屈指のスラッガー・西川の交渉権を獲得。2位のヤマハ・宮崎竜成、6位の日本生命・立松由宇も強打に定評がある内野手で、課題の長打不足解消へ即戦力性の高い選手の確保に成功した。

一方、投手は3位の東洋大・一條力真、5位の東海大九州キャンパス・廣池康志郎の2人を指名。ともに大卒だがまだ粗削りで、数年後に期待の素材だ。メジャー志向の高い佐々木朗希のこのオフの渡米がないのであれば、満足度の高いドラフトと言えるが果たして……。

【日本ハム】評価:C
宗山とは縁がなかったが、ソフトバンクと再度競合した福岡大大濠高・柴田獅子の当たりくじを新庄剛志監督が引き当てた。投手として最速149キロ、打者として高校通算19本塁打を記録した二刀流候補で、どう育てるのか注目だ。

2位以降では198センチ左腕の東海大相模高・藤田琉生をはじめ、スケールの大きい投手を次々と指名。即戦力と呼べるのは支配下唯一の野手となった早稲田大の遊撃手・山縣秀のみだが、ロマン満点の投手たちを確保した。素材買いの色が濃いため低評価としたが、育成次第で5年後に”神”ドラフトとなっているかもしれない。

【ソフトバンク】評価:B
宗山、柴田を1位指名で外して、3度目の指名で神戸弘陵高・村上泰斗に。最速153キロの速球とフォークを武器に奪三振能力が高い点が魅力で、本格的に投手を始めたのは高校からと伸びしろは計り知れない。2位の神奈川大・庄子雄大は俊足に定評がある遊撃手。今宮健太の後継者として期待される。

4位の早稲田実高・宇野真仁朗、5位の愛工大名電高・石見颯真はともに遊撃手だが、プロでは打撃を生かして他のポジションを守る可能性も。3位で富士大・安徳駿、6位で東洋大・岩崎峻典と即戦力投手も確保し、抜かりない指名を見せた。

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