ボールを見極めるタイプと積極的に打ちにいくタイプ
プロ野球の2024年シーズンも残り少なくなってきた。混戦のセ・リーグもソフトバンクが独走状態のパ・リーグも、ここから先は気力、体力の勝負となっていく。
長いシーズンを戦い続けるうちに疲労は蓄積し、暑い夏になるとコンディション維持も難しくなる。積極的な姿勢はいいが、つい打席での集中力を欠き、早打ちして凡打に終わる…ということもあるだろう。
それでもしっかりとボール球を見極め、得意なコースや球種を振り切れる打者は好成績を残すはずだ。そこで今季の規定打席に到達している打者の1打席あたりの投球数を調べてみた。12球団のベスト10は以下の通りとなっている。
村上宗隆、野間峻祥、近本光司がTOP3
栄えある1位は村上宗隆(ヤクルト)で計1876球、1打席あたり4.56球を相手投手に投げさせている。ここまでセ・リーグで下から2番目の打率.234だが、四球数は断トツの73個を選んでおり、選球眼を表す指標「IsoD」も.140でトップ。打率は低くてもセ・リーグトップの21本塁打をマークしているのはボール球に手を出さず、甘い球を待てているからに他ならない。
2位は4.35球の野間峻祥(広島)。リーグ5位の打率.292をマークして首位を走るチームに貢献している。
3位は4.31球の近本光司(阪神)。打率.264、15盗塁を記録しており、不動のリードオフマンとして相手投手に多くの球数を投げさせている。
4位は4.27球の外崎修汰(西武)。チームは最下位に低迷しているが、10年目の31歳が粘りの姿勢でチームに貢献している。
パ・リーグ首位打者を快走する近藤健介(ソフトバンク)も4.2球を投げさせて5位にランクイン。パ・リーグトップの66四球を選んでおり、今や日本球界屈指の強打者と言っていいだろう。
6位以下は小郷裕哉(楽天)が4.19球、矢野雅哉(広島)が4.18球、秋山翔吾(広島)が4.18球、サンタナ(ヤクルト)が4.09球、岡本和真(巨人)が4.09球で続いている。
積極姿勢で結果を出している小園海斗
では、逆に1打席あたりの投球数が少ない“淡泊”な打者は誰だろうか。ランキングは下の通りとなっている。
規定打席に到達しているセ・パ両リーグ46人中最も少ないのは小園海斗(広島)の3.21球。ただ、小園は今季4番を任されており、打率.289と結果を残している。淡泊というよりは積極的に好球必打を実践していると言った方が正確だろう。
45位は岡大海(ロッテ)の3.49球。1番での起用が多い岡もここまで打率.293、7本塁打とキャリアハイの成績を残す勢いで、積極的な姿勢が結果につながっている。
44位は鈴木大地(楽天)の3.54球。パ・リーグ6位の打率.283をマークしているが、早打ちだけあって四球数は17個と少ない。
以下、佐野恵太(DeNA)の3.65球、松本剛(日本ハム)の3.68球、紅林弘太郎(オリックス)の3.68球、牧秀悟(DeNA)の3.7球、宮﨑敏郎(DeNA)の3.71球、郡司裕也(日本ハム)の3.72球、周東佑京(ソフトバンク)の3.74球と続いている。
2つのランキングを見比べると、粘っこい打者はヤクルトや広島に多く、淡泊な打者はDeNAや日本ハムに多い。早打ちが決して悪いわけではないが、昨季から四球の査定ポイントを上げた阪神は誰も淡泊な打者ランキングに入っておらず、チームカラーが表れていて興味深い結果となった。
※成績は2024年8月7日終了時点
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