史上3人目となる5度目の開幕4連勝
巨人の菅野智之投手(34)が11日のヤクルト戦で6.0回2失点と好投し、無傷の4勝目を挙げた。6回には村上宗隆から空振り三振を奪い、プロ野球史上60人目の通算1500奪三振を達成。阿部慎之助監督就任後初の単独首位浮上に大きく貢献した。
5度目の開幕4連勝は工藤公康とスタルヒンに次いで史上3人目の快挙。昨季は4勝に終わった12年目右腕は着実に復活ロードを歩んでいる。
好調の要因はどこにあるのだろうか。キャンプからの順調な調整、エース格とぶつからない開幕6戦目の裏ローテ、小林誠司との同い年バッテリーなど様々あるだろう。
そのどれもが複合的に良い方向へ作用して結果につながっていると見られるが、そのうちのひとつに「伝家の宝刀」スライダーがある。
昨季はスライダーの被打率がプロワースト
菅野の最大の武器はスライダー。ただ、昨季はその得意球が打たれていた。最近3年の球種別被打率は下の通りとなっている。
2023年に最も打たれた球種は被打率.313のスライダー。それが今季ここまで.194と大幅に改善されているのだ。
年度別のスライダー被打率を見ると、昨季はいかに打たれていたか分かる。
昨季のスライダー被打率はプロ入り以来ワースト。最多勝に輝いた2017、18、20年などはスライダーの被打率が1割台だったことを考えると、昨季の低迷もうなずけるというものだ。
やはりキャンプからのトレーニングや、フォームのチェックなど入念に準備して積み上げてきたものが、スライダーのキレを取り戻すことにつながったのだろう。本人の努力の賜物であることは言うまでもない。
空振りを取れるスライダー、長所を引き出す小林誠司の配球
興味深いのはスライダーの投球割合と空振率のデータだ。過去5年の数値は下の通り。
今季はスライダーの割合が高いだけでなく、空振率も16%でどの球種よりも高いのだ。
過去4年とも最も空振率が高いのはフォークだった。最速150キロを超えるストレートを持つ菅野が落ちる球を投げれば、相手打者のバットが空を切るシーンが増えるのは合点がいく。
しかし、今季は11%のフォークよりスライダーの方が16%と高いことは、それだけキレが良い証拠だろう。だからこそ球種別の割合も21%と高い。小林誠司が菅野の長所をうまく引き出しているのだ。
野球選手がコンビとして呼ばれることはあまりないが、ファンの間で急速に浸透しつつある“スガコバ”バッテリー。ベテランの域に差し掛かった2人が、巨人のスローガンでもある「新風」を吹き込んでいる。
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