囲い込みたい球団、あえて単年契約を選ぶ選手も
毎年、プロ野球シーズンオフの大きな話題となるフリーエージェント。2023年は国内、海外を合わせて7選手がFA権を行使し、西武・山川穂高がソフトバンク、広島・西川龍馬がオリックス、オリックス・山﨑福也が日本ハム、楽天・松井裕樹がパドレスに移籍。DeNA・石田健大、西武・平井克典、ロッテ・田村龍弘は宣言残留となった。
最近はFA権取得が近い選手と複数年契約を結んで囲い込む球団も少なくないが、球団の複数年提示を蹴り、あえて単年契約を選ぶ選手もいる。選手がFA権取得を機に他球団の評価を知りたいと考えるのも当然のことだ。
2024年も仮にFA宣言すれば目玉となりそうな大物がいる。順調にいけば2024年中に国内FA権を取得すると見られる主な選手は以下の通りだ。
【阪神】
青柳晃洋、坂本誠志郎、大山悠輔、糸原健斗、原口文仁
【DeNA】
京田陽太、佐野恵太
【巨人】
高梨雄平、大城卓三、重信慎之介
【ヤクルト】
高梨裕稔、小川泰弘
【中日】
岡田俊哉、福谷浩司、木下拓哉
【オリックス】
平野佳寿
【ロッテ】
美馬学、西野勇士
【ソフトバンク】
有原航平、石川柊太、甲斐拓也、牧原大成
【楽天】
酒居知史、田中和基
【西武】
増田達至
【日本ハム】
玉井大翔、石井一成、江越大賀
阪神・大山悠輔、青柳晃洋、DeNA佐野恵太ら大物も
38年ぶりの日本一に輝いた阪神は、順当なら投打の主力がFA権を取得する見込み。2023年は全試合4番として出場し、最高出塁率のタイトルも獲得した大山悠輔は、球団から複数年契約の提示を受けたが2億8000万円で単年契約を結んだ。
昨季は8勝どまりだったが、2021、22年に2年連続最多勝の実績を持つ青柳晃洋は2億1000万円で契約を更改。両者とも実績は申し分ないだけにFA宣言すれば争奪戦に発展しそうだが、人気球団の阪神から出ていく例は少ない。年俸が高いこともネックになりそうで、流出の可能性は低いと見られる。
そう考えると捕手として84試合に出場した坂本誠志郎や、木浪聖也がショートのレギュラーに定着したため出番の減った糸原健斗の方が可能性はあるかも知れない。坂本は7000万円、糸原は8000万円と年俸がそれほど高くないのも他球団にとっては魅力だろう。
ビッグネームという点ではDeNAの佐野恵太も注目選手の一人だ。2020年に首位打者、2022年に最多安打に輝くなど実績は十分。球団の複数年契約の提示を辞退して1億5500万円で単年契約を結んでいる。
ヤクルトの小川泰弘は2020年オフに宣言残留して4年契約を結んでおり、2024年が最終年。順調にいけば2回目のFA権取得となるが、前回残留した経緯から移籍の可能性は低いだろう。
育成の難しい捕手を求めている球団は少なくない。中日・木下拓哉は球団から複数年契約を提示されたものの、6800万円で単年契約を結んだ。2024年オフは去就に注目が集まりそうだ。
単年契約したソフトバンク石川柊太と甲斐拓也
パ・リーグで目を引くのはソフトバンク勢だ。石川柊太はパワーカーブを武器に2020年に最多勝と最高勝率に輝いた右腕だが、2023年は4勝に終わり3000万円ダウンの1億2000万円で契約を更改。資金力があり待遇面で恵まれているソフトバンクから流出する例は少ないため移籍の可能性は低いと見るのが妥当だが、果たしてどうなるか。
甲斐拓也も複数年の提示を辞退して2億1000万円で単年契約を結んでおり、去就が注目される。逆に牧原大成は3年契約を結んでいる。
西武のクローザー増田達至は2020年オフに宣言残留して4年契約を結んでおり、2024年が最終年となる。仮に2回目のFA権を取得しても移籍する可能性は低いだろう。
FA権はプロ野球選手にとって勲章でもある。権利を行使するにせよ、しないにせよ、野球人生の節目であることは間違いない。2024年オフの各選手の決断に注目だ。(金額はいずれも推定)
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