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昨季はリーグ3連覇の偉業を果たすも、“関西シリーズ”となった阪神との日本シリーズは3勝4敗で敗れ、日本一連覇を逃したオリックス。今季は阪急ブレーブス時代の1975年から1978年以来となる球団2度目の4連覇、そして日本一の奪還を目指す。
強固な戦力で優勝候補の一角であることは間違いないが、4連覇への道のりは当然ながら楽ではない。オフにはFAで西川龍馬の獲得に成功するも、3年連続でパ・リーグの投手四冠に輝いた大エース・山本由伸がポスティングシステムを利用してドジャースに移籍。さらにはローテーション左腕の山﨑福也もFAで日本ハムへと移籍した。
単純計算でも16勝+11勝の損失。思えば昨季の開幕前も打の大黒柱・吉田正尚が抜けた不安を指摘されながら勝ち切ったという経験はあるが、今季はそれ以上に厳しい戦いとなることが予想される。
やはり主戦2人が抜ける先発陣の再編はシーズン通しての課題となることだろう。その中で“ポスト山本由伸”となる次代のエース誕生が待たれるところだが、現状でその位置に最も近い存在と言えば宮城大弥になる。
プロ2年目の2021年から3年連続で2ケタ勝利を達成中で、昨季は開幕前にWBCに参加する難しい戦いの中で10勝4敗、防御率2.27の好成績をマーク。防御率はキャリアハイの数字だった。
しかし、これまでに手にした勲章は2021年の新人王のみ。日本を代表する左腕に上り詰めながら、昨季も勝率はリーグ2位で、2021年は勝利数・勝率・防御率の3部門すべてで2位。目の前には常に山本由伸という大きな壁があった。
その山本の渡米を受け、今オフは契約更改後の会見やテレビ出演時にもとにかく“タイトル”への想いを強調。偉大な先輩が独占してきたリーグNo.1の座を奪い取るべく、早くも闘志を燃やしている。
これまでは先輩からイジられるシーンも目についた23歳だが、今季は名実ともにチームを牽引する存在へ。春のキャンプでは“エース”を意識した立ち居振る舞いに注目だ。
その宮城に待ったをかけるのが、昨季の新人王・山下舜平大と東晃平という若き2人の右腕。ともに昨年飛躍を遂げ、山下は「12」から「11」へ、東は「95」から「12」へと背番号を変更して新シーズンに臨む。
さらに昨季はドラフト1位ルーキーとして期待を受けながら1勝（2敗）止まりだった曽谷龍平も、2年目の逆襲を目指すうえでこの春のキャンプは重要な期間となる。世代の近いライバルたちと切磋琢磨していく中で、ローテーション定着とその先にあるエース争いまで歩みを進めることができるだろうか。
そして最後に、毎年のように新星が登場するオリックス投手陣において、今季のブレイク候補として注目したいのが高卒2年目の齋藤響介だ。
ルーキーイヤーの昨季はファームで11試合に登板して1勝2敗も、防御率は2.25と安定した投球を展開。9月には一軍デビューも果たしている。
昨季の公称では177センチ・72キロと小柄にも映る体型ながら、一軍デビュー戦となった9月26日の西武戦では最速150キロの速球を臆することなく一軍の打者相手に投げ込み、4回を投げて2安打・3奪三振で無失点とプロ初登板としては上々の内容。走者を背負っても慌てることなく堂々と投げ抜いた。
このオフにはテレビ番組内で山本由伸から直々にネクストブレイク候補として名前を挙げられたことでも脚光を浴びた。昨季の山下や東のような快進撃が見られれば、チームにとっては大きなプラスとなる。
ほかにも、この1月には25歳のアンダーソン・エスピノーザと28歳のルイス・カスティーヨという日本で化ける可能性を秘めた20代の新外国投手を補強。現役ドラフトでは中日から鈴木博志、さらにトレードで日本ハムから吉田輝星も獲得しており、しっかりと投手陣の再編に向けた体制を整えた。
若手の競争と成長、新戦力の台頭でどこまで退団した選手の穴を埋めることができるか。一人で埋めるのは困難でも、ここで取り上げた選手たちが期待通りかそれ以上の力を発揮すれば、秋には山本・山﨑の退団を感じさせないような陣容が完成している可能性も大いにある。
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