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過去2人はいずれもヤンキースと契約 山本由伸が歩む「MVP獲得」→「MLB挑戦」の道

2023 11/29 12:00SPAIA編集部
オリックス・山本由伸,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

3年連続MVPは史上3人目

2023年のプロ野球総決算『NPB AWARDS 2023 supported by リポビタンD』が28日に行われ、今季の激闘を彩ったタイトルホルダーや表彰選手が一堂に会した。

中でもファンの楽しみのひとつと言えば、ベストナインや新人王、MVPといった表彰の発表だろう。パ・リーグの最優秀選手賞にはオリックス・山本由伸が輝き、これで3年連続のMVP獲得となった。

言わずと知れたパ・リーグ3連覇王者の大黒柱であり、今年も最優秀防御率に最高勝率、最多勝に最多奪三振という“投手四冠”を達成。MVPと同じく四冠も3年連続で、先発投手の栄誉・沢村賞も同様に3年連続で獲得している。ちなみに、3年連続MVPはともに球団OBでもある山田久志、イチローに続いて史上3人目の快挙だ。

押しも押されもせぬ日本球界最高の投手は、このオフにポスティングシステムを利用してメジャーリーグ挑戦という夢を叶えようとしている。日本球界での実績に加え、今春のWBCでも侍ジャパンのエースとして3大会ぶりの世界一に貢献した右腕には早くから熱い視線が注がれており、現地では10球団以上による大争奪戦になるのではないかとも報じられている。

過去にも多くの日本球界を代表する選手が海を渡ってMLBの舞台に挑戦してきたが、実は日本でMVPを獲得した翌年にメジャーの舞台に立った選手はこれまで2人しかいない。そこで今回は山本の“先輩”にあたる2人の歩みを振り返ってみたい。

松井秀喜は100打点超えも新人王逃す

松井秀喜

Ⓒゲッティイメージズ


まず一人目が、2002年のオフにFAで巨人からヤンキースへ移籍を果たした“ゴジラ”こと松井秀喜だ。

首位打者1回、本塁打王3回、打点王3回、最高出塁率も3回。日本屈指の大砲として不動の地位を築いた背番号55は、自身3度目のMVPを獲得した2002年の秋にメジャー挑戦を決断。12月にはヤンキースと契約合意に達し、晴れて夢への扉が開いた。

NPB最終年に記録した打率.334、本塁打50、打点107と比べてしまうと寂しくも映るが、異国の地での過酷な日程の中、1年目から全163試合に出場を果たして打率.287、本塁打16、打点106をマーク。ワールドシリーズでも日本人初アーチを描いてみせ、そのパワーと勝負強さを発揮した。

ところが、オフのア・リーグ新人王投票では惜しくも2位止まり。相手のアンヘル・ベローアは松井を大きく上回る21盗塁を記録したとはいえ、打率.287で17本塁打、73打点という成績。当時ヤンキースのオーナーだったジョージ・スタインブレナー氏が全米野球記者協会に向けて抗議の声明文を出したことも大きな話題となった。

その後の活躍はご存じの通りで、2009年には日本人として初めてワールドシリーズMVPを受賞するなど長きにわたって名門球団の主軸に君臨。晩年はエンゼルスやアスレチックス、レイズと渡り歩き、日本で10年・アメリカで10年のプロ野球人生にピリオドを打った。

田中将大は1年目から6年連続2ケタ勝利

田中将大

Ⓒゲッティイメージズ


続いて二人目が、2013年のオフにポスティングシステムを利用して楽天からヤンキースに移籍した田中将大である。

野村克也監督の下、若きエースとして1年目から一軍で経験を積んだ右腕は、最多勝2回に最優秀防御率も2回、最多奪三振1回で最高勝率2回と9年間で数多くのタイトルを奪取。中でも渡米前ラストイヤーとなった2013年は圧巻で、28試合に登板して24勝0敗1セーブ、防御率1.27という驚異的な成績を残し、チームを創設初優勝・日本一へと導いた。

自身2度目の沢村賞、そして初めてMVPを獲得した年のオフ、新たな協定が成立したばかりだったポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を表明。年が明けて2014年の1月にヤンキースと7年契約を締結した。

NPB時代と同様にメジャーでも1年目からローテーションを任され、20試合の登板で13勝5敗、防御率2.77と奮闘。ア・リーグ新人王投票では5位に終わったが、1年目から6年連続で2ケタ勝利を達成するなど安定感抜群の投球でチームの先発ローテを支えた。

その後、コロナ禍でシーズンが60試合制となった2020年は10試合の登板で3勝3敗、防御率3.56という成績でオフにFAとなり、翌年1月に古巣・楽天への電撃復帰が決定。以降は戦いの場をNPBの舞台に戻している。

山本由伸の新戦闘服もピンストライプが有力?

こうして振り返ってみると、最優秀選手という勲章を手に海を渡った先人は、2人ともヤンキースを契約を結んだという共通点があった。そしてそのヤンキースは、山本由伸の獲得にも強い興味を示しているチームのひとつであることがすでに伝えられている。

MLB屈指の名門は今季82勝80敗とレギュラーシーズンを勝ち越して終えるも、順位はア・リーグ東地区の4位。7年ぶりにプレーオフ進出を逃すという悔しい結果に終わった。

投手陣では大黒柱のゲリット・コールが15勝4敗、リーグトップの防御率2.63をマークしてサイ・ヤング賞に輝いたが、先発陣に故障離脱者が続出したこともあって2ケタ勝利達成者はコールだけ。来季の巻き返しに向けて、先発投手は今オフの補強ポイントのひとつであることは間違いない。

また、ここに来て地元・ニューヨークのメディアでは“ヤンキースは山本獲得に向けて背番号18を空けていた”ということも話題に。過去には黒田博樹も背負ったヤンキースの「18」はホワイトソックスに移籍したアンドリュー・ベニンテンディが2022年シーズンまで背負い、今季は空き番号となっていた。

金銭面だけでなく、山本自身も2020年から背負っている慣れ親しんだ番号であり、日本人にとってエースナンバーとして親しみある番号を空けて待つという“誠意”も含めて本気度の高さが伝えられている。

契約総額は2億ドル(約293億円)近辺になるのではないかとも言われている日本最高の投手の大争奪戦。はじめて「3年連続MVP」を引っ提げて海を渡る右腕はどのチームと契約を交わし、どんな成績を残すのか。先人たちが成しえなかった新人王の獲得や、3年連続沢村賞に続いて1年目からサイ・ヤング賞を獲得するような大暴れに期待したい。


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